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audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

ヘッドホン&イヤホン再生環境再構築④ 〜 FiiO R7の感想

R7を使い始めてほぼ1週間が経過。
エージング時間も100時間を超えたので、使い勝手や音について感想を書き留めておきたいと思います。

■ 機能性

R7の導入目的だったヘッドホン環境とイヤホン環境の一本化については、6.3mmと4.4mmのヘッドホン端子を装備していること、Bluetooth送信(私が使うのはLDACとaptX)が可能なことによって実現できました。

先週のブログで書いたように、aptX Adaptive送信については当初のリリースとは異なり使えませんでしたが、背面のUSB-A端子にeppfun AK3040PLUSを挿すことにより(使い勝手は悪くなるけど)一応実現できています。

BluetoothのON/OFFは、画面上部をプルダウンすると表示される6つのメニューアイコン(さらにプルダウンすると9つのメニューアイコンが現れる。4つのメニューアイコンが追加できるので最大で11の表示が可能)の中のBluetoothアイコンを押すことで簡単に切り替えられるので、ヘッドホンを使う際にはOFFにしていて(使わない回路は切っておきたい)、イヤホンを使う時だけONにするようにしています。

この9つのメニュー位置は入れ替えられるので、最初に表示される6つのメニューを次のように設定しました。

Wi-Fi:ネットワークは有線LANを使っているのでOFF
Bluetooth:イヤホン使用時以外はOFF
テーマカラー:夜に使うことが多いので基本はダーク
ヘッドホンゲイン:ヘッドホンモード(Super High)
モード:Pure Musicモード
DSD変換:ON

この中でよく使うのはモードとBluetoothの2つで、残りは必要に応じて...という感じですね。


モード(再生&入力モード)には次の7つがあります。

Android / Pure Music / USB DAC / Bluetooth受信 / AirPlay / COAX入力 / OPT入力

普段(SDカード内のファイル再生)はPure Musicモード(Androidの使わない機能をOFFにして、音楽再生用のFiiO Musicアプリのみが起動する)にしています。
Androidモードと比較しましたが、Pure Musicモードの方が響き(情報量)が若干多いように感じました。
Androidの設定変更をしたりアプリのアップデートをする場合は、都度Androidモードに変更する必要があります。
BluetoothのON/OFFはPure Musicモードでも可能だけど、コーデックの変更はAndroidモードでないとできないのがちょっと面倒かも。


ヘッドホンゲインは当初 Highで使用していましたが、後述するPEQ(パラメトリックイコライザー)の設定との兼ね合いでSuper Highに変更。


DSD変換についてはON/OFFを切り替えて比較試聴した結果、悪影響を感じない&音が若干滑らかになる(気がした)のでONで運用することにしました。
※NT-505のDSD変換は音が不自然になってしまって使わなかったけど、R7(というかES9068AS)のDSD変換は不自然さをほとんど感じません。チップの進化でしょうね。


標準の音楽再生アプリ FiiO Music については、操作性は良いとは言えないけど、設定メニューのLab FeaturesをONにすると現れるPEQ(パラメトリックイコライザー)は優れています。

バンド数は10と標準的ですが、対象周波数とQ値(イコライジングが影響する周波数の幅:1.41だと1オクターブ、0.67だと2オクターブ)を10バンドそれぞれで変更できるので、かなり自由にイコライジングカーブを設定できます。
※ただし操作性は良くないのでイライラします。10バンド全て設定するのはかなり根気が求められる作業でした...^^;
※私はQ値を0.67に設定してEQカーブを滑らかにしています。

PEQを使う際に注意すべきは、一番左にあるGAIN(マスターゲイン)の調整をちゃんとやることです。
マスターゲインをデフォルトのままにして各バンドのゲインを弄る(強調したいバンドのゲインを上げる)とビット飽和を起こして音が割れるので、各バンドの調整が終わったらビット飽和を起こさないようにマスターゲインを調整する(多くの場合は下げる)必要があります。

私はマスターゲインを4.0dB下げましたが、当然ヘッドホン出力はその分下がるので、当初HighにしていたヘッドホンゲインをSuper Highに上げました。
※ちなみにPEQとヘッドフォンゲインはBluetooth送信時には効かないと思います(試してないけど...)。

PEQのメモリは3つ使えるので、HD800用、Edition8用、フラットの3つを設定しました。
EQカーブを弄る際の比較対象として使うために、フラットにはEQカーブは弄らずにマスターゲインだけ4.0dB下げたものを登録してあります。
EQをオフにしてもカーブをフラットにできますが、その場合はマスターゲイン(-4.0dB)もオフになるので音量が上がってしまい比較がしづらいからです。

正直言えばFiiO Musicよりももっと操作性が良いアプリを使いたいところなんだけど、Pure Musicモードで使える唯一のアプリであること、そして(DAPとしては)強力なPEQが使えるという2つの理由により、使い勝手は悪いけどFiiO Musicアプリを使い続けることにしました。


ネットワークサーバー上の音楽ファイルはFiiO Musicでメディアサーバーを選ぶと再生できますが、以前書いたようにサーバー(Soundgenic)内のファイルがトラック順ではなくタイトル順で表示されてしまうこと、サーバー内のファイルはプレイリストに登録できないことから、使い勝手は非常に悪いです。
※サーバー上の音楽ファイル名の頭にトラックNoを振っておけばタイトル順での表示は回避できるけど、今更そんな作業をするつもりはありません。

iPad上のFidata、LUMINでR7をレンダラーにしてコントロールできないか試してみましたが、やっぱりできませんでした。

またFiiO CONTROLというFIIO機器をスマホタブレットでコントロールするアプリがあるのですが、現時点でR7は対象外のようです。
尤も、仮に使えたとしてもそれで音楽再生をコントロールできるわけではないようですが...。


外部DC電源から電源供給できるのは凄く良いと思うし、実際音も僅かに良くなりました。
適合するDCプラグは外径5.5mm/内径2.1φで、説明書では12Vで3A以上の容量の電源を使用するように指定されているけど、我が家の12V/2.5Aの電源でも問題なく使えています。
ヘッドホン出力をかなり大きくして使う場合は電源消費量が増えるので2.5Aでは不足する(DC電源のヒューズが切れる)かもしれませんが、今の使い方であれば大丈夫のようです。


R7は無線LAN接続と有線LAN接続の両方が可能な点も良いですね。
私は少しでもノイズ源を減らしたいので、無線LANはOFFにして有線で接続しました。


■ 操作性

R7自体の操作性については、電源をオフにする際の手順以外に特に不満は感じていません。

電源をオフにする際の手順は次の通り。

  1. ボリュームノブを長押しする
  2. 入力/モード選択画面が表示されるので、右上の電源アイコンを押す
  3. 再起動、電源を切る の2つのアイコンが表示されるので電源を切るアイコンを押す
  4. 電源を切るアイコンだけが画面に表示されるので、そのアイコンを押すと電源が切れる

何が不満かと言うと、Step3で表示される2つのアイコンのどちらかを押した際にそのまま再起動なり電源オフを実行すれば良いと思うのです。
それなのに何故かStep4という余計な手間が入っているため、電源を落としたつもりが落ちていなかったことが数回ありました。

たかが音楽再生機器にここまでの安全策は不要だし、却って使い勝手を悪くしていると思うので、ファームウェアのアップデートで改善して欲しいです。
※エミライさんには要望を入れておきました。


一方、再生アプリのFiiO Musicの操作性はイマイチですね。具体的な不満点は次の通り。

  • ようやく慣れてはきたけど、どこにどの機能があるのかとにかく分かりづらい
  • 例えば、メインメニュー左上の設定メニューアイコンを押すと幾つかの項目が出てくるけど、その中にさらに"設定"という項目があったりする
  • "プレイリスト"の他に"現在のプレイリスト"というものがあり、それが所謂"再生キュー"に近いものだと気づくのにしばらくかかった(最初は何が何だかわからなかった)
  • 例えばアルバム選択メニューでとあるアルバムを選んで楽曲リストの3番目の曲を押した場合、そのアルバム内の全曲が"現在のプレイリスト"に入って3番目の曲から再生されるのだが、楽曲選択メニューからとある1曲を選んで押すと、"現在のプレイリスト"にはその曲だけではなくてSDカード内の全楽曲が入ってしまう。これっておかしくないですか?
  • 複数のアルバムを跨いで好きな曲だけ選んで"現在のプレイリスト"に入れることができない。この時点で"再生キュー"とは根本的に異なっているのだが、"現在のプレイリスト"の使い道として、アルバムを再生する際の楽曲再生順を入れ替えたり再生したくない楽曲を削除するくらいしか活用方法を思いつかないので、何故こんな中途半端な仕様にしたのか理解できない
  • ちなみに複数のアルバムを跨いで好きな曲だけ選んで再生するためには、まず"プレイリスト(本物のプレイリスト)"を作成して保存し、それを再生するしか手立てはない(と思う)
  • メインメニューに戻るためのショートカットが再生画面(現在再生している楽曲の画面)右上にある縦並び三点アイコンの中にしかなく、それ以外の場所からだと辿ってきたメニュー階層を後戻りしていかなければならず、非常に手間がかかる(ちなみに縦並び三点アイコンは他の画面でも表示される場合があるけど、再生画面以外では押しても機能しないので恐らくはバグだと思われる)
  • ジャンル選択メニューが、"ジャンル/アルバム"での表示になっていて、"ジャンル/アーティスト/アルバム"という選択方法が使えないため非常に不便

基本的に小さい画面のスマホDAP用アプリ故に(一つの画面に表示できる情報量が限られるため)メニュー構造が複雑(多層化)になるのは致し方ないにせよ、そもそもとして多くを求めすぎている(機能を詰め込みすぎて分かりづらくなっている)ような気がします。
正直言ってWM1Zの単純なUIの方が使いやすいです。

あまりに使いにくいので、予めプレイリストをいくつも作成し〜よく聴くアルバムはそのままプレイリストにしてあるし、アルバムを跨いだプレイリスト(例えば坂道Bestとか)も複数作成済み〜聴きたいプレイリストを選択するだけで普段は事足りるようにしました。
アルバムをそのままプレイリストに登録するなんてやっぱりおかしいと思うけど、背に腹は変えられません...(^^;;

もしFiiO MusicにPEQがついていなかったら、Pure Musicモードを犠牲にしても良いから使いやすい再生アプリを探したと思います。
※R7では使えないけど、ネットワーク再生用のLUMINアプリとか良く考えられてますよね。


■ 音質

当初は情報量、解像力ともに不十分で、シンバルの音はシャーンという綺麗な音にならず少しノイズっぽく聞こえるし、細かな音は聞き取れず、響きの量も物足りない感じでしたが、エージング50時間でかなり改善され、100時間を超えた現在はR7が持っている実力をほぼ出し切った音になっていると思います。

この1週間は、HD800が8割、Edition8が2割という比率で聞いており、イヤホンは接続確認のために少し聞いただけなので、基本的にはHD800使用時の印象だと思ってください。
※PEQでの調整後の音です。

  • 情報量や解像力はわりとある方だと思う。少なくともNT-505+P700uで聴いていた時と遜色ないし、もしかしたら少し上回っているかもしれない
  • 音色はややクール寄りで硬め。P700uやWM1Zのような弦楽器の柔かさや艶っぽさは出ないが、Rock、J-POP、JAZZをシャキッと鳴らすのは得意。
  • ノイズフロアはかなり低いと思う
  • 透明感もかなりある(AC電源だとやや落ちる)
  • サウンドステージの広さはNT-505+P700uにやや劣るかも。空間表現よりは若干音像表現寄りな感じ
  • ドライブ力は非常に高く、WM1Zでは鳴らし切れなかったHD800も難なく鳴らすことができる
  • 高音の棘感が少し強いので、楽曲によっては耳につくきらいがある(一応PEQで調整はしているのですが...)
  • 総じて言うなら比較的ニュートラルな音だけど、ナチュラルと言うには柔らかさがやや足りないかな

12万円強の据置DAPだと考えればC/Pは悪くない(価格なりか少し上回る音)と思うし、思っていたよりも音は良かったという印象ですが、何なんですかねぇ...何かしら物足りないような気がしてならないのです。

優等生すぎると言うか、R7ならではの突出した所が感じられないと言うか...。

実は一昨日、WM1Zと比較試聴したのですが、笑っちゃうくらい音が違いました。
WM1Zってこんなに柔らかい音だったんだと改めて思ったんだけど、しばらく聴いていると「この音って、これはこれでありだよな」と思えてくるのです。
つまりはそれが個性ですよね。

じゃあR7の個性って何なんだろうと考えた時、よく分からないんですよね。
強いて言うなら情報量や解像力の高さかもしれないけど、残念ながら「凄い!」と言うレベルには達していないわけで、これが個性と言われてもねぇ...と言う感じ。

誤解してもらいたくはないのですが、音は決して悪くないんですよ。
ただ、何か物足りないだけで...。


そんな悶々とした気持ちを抱きながらここ2日ほど悩んだ結果、(中途半端なのがイヤなので)もう一つだけ手段を講じることにしました。

候補が2つあり、私が選んだのは正直言ってコスパが滅茶苦茶悪い選択だと承知しているけど、ESSのDACチップが持つ個性に賭けてみよう(突き詰めてみよう)と思ったのです。

納期はまだ分からないのですが、到着したらブログにアップします。


briareos.hatenablog.jp