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スイフトスポーツのドレスアップ&カスタマイズ #21-⑧ 〜スピーカー交換とデッドニング:作業のポイント②(デッドニング)

●アウターパネル:SP裏のデッドニング&吸音処理
窓ガラスをつたって侵入した雨水の一部は、アウターパネルの内側に沿って落ちていき、下部のドレインから排出されると思われます。
と言うことは、アウターパネルに貼り付ける吸音材は雨水の通路上にあることになるので、吸音材が水を吸ってしまう素材だと、吸音性能的にも、錆という観点からも(湿気が溜まりやすくなる)、良くないのではと思います。

「エーモン 音楽計画 スピーカー周り用」に入っているスピーカー裏の吸音材は密度が粗めのよくある柔らかいウレタン素材で、水を吸いやすそうだったので使うのをやめ、代わりにレアルシルトのアブソーブを使いました。こちらは密度が高く吸水性は低そうな感じ。
どうせなので制振材も同じくレアルシルトのものを使いました。

エーモンの取説に書いてありますが、まず制振材を貼り、その上に吸音材を貼ります。ただし吸音材が制振材からはみ出さないように、との指示があります。恐らくはみ出してしまうとそこから雨水が侵入して吸音材が剥がれやすくなるからだと思われます。

なので制振材の大きさは吸音材よりも上下左右ともに少なくとも1cmの余白ができるくらいの大きさでカットしました(吸音材の寸法よりも縦横が2cmは大きくなるように制振材をカット)。
吸音材を貼る際には奥側が見えないため手探りで位置決めすることになります。その意味でも吸音材より制振材が大きい方が作業がやりやすいです。

◆最終的に使用した吸音材と制振材の大きさ

  • 吸音材:240mm × 135mm(製品説明では138mm)
  • 制振材:260mm × 160mm

実は吸音材は上記サイズを2つ合わせた240mm × 270mmで使うつもりでいたのですが、実際にSP裏のアウターパネルを見てみると思っていた以上に狭かったため、当初予定の半分のサイズで使用することに変更しました。

・制振材と吸音材の準備ができたらまず制振材を貼りますが、剥がれるリスクを避けるためにアウターパネルの脱脂はしっかりやります。
・制振材を貼り付けたら、エーモン 音楽計画に付属の圧着ヘラで表面を満遍なく擦ってしっかりと貼り付けます。
・それから制振材の表面を脱脂して吸音材を貼り付けますが、手探りで制振材の位置を把握しながら吸音材がはみ出さないよう気をつけて貼ります。ちなみに吸音材がアウターパネルや制振材に少し貼り付いてしまっても引っ張れば剥がせます。
・吸音材を貼り付けたら、満遍なく手でしっかり押さえておきます。

制振材を貼り付けた状態
吸音材を貼り付けた状態


●アウターパネル:SP裏以外のデッドニング
エーモン 音楽計画 ドア基本モデルの説明書の図だと、250mm × 75mmサイズにカットした制振材を各部に10枚程度貼るようになっていますが、私は大きめのサイズを2枚(リアは小さめのサイズを1枚プラスして3枚)貼ることにしました。
ここで使用した制振材はエーモンのキットに入っていたものです。

◆右フロントドア(※写真撮ってませんでした)

  • ドア右上の大きめの穴の奥:300mm × 190mm
  • ドア左上の大きめの穴の奥200mm × 75mm

◆右リアドア(※制振材のサイズを測り忘れました)
写真1
写真2

エーモンの説明では制振材の上に吸音材を貼ることになっていますが、付属の吸音材の材質が水を吸いやすそうだったため、私は吸音材を貼りませんでした。
もし水を吸わなさそうな吸音材(吸音シート)が入手できるなら、貼っておいた方が良いかもしれません。


●インナーパネル:雨水侵入防止用ビニールシートの処理
ビニールシートを剥がしたら雨水が侵入してくる危険性があるので、ビニールシート剥がし〜デッドニングは雨が降らない日に一気にやってしまう方が良いです。もし日を分ける場合は、ドア単位で分けましょう。

・ビニールシートを剥がす前に、サービスホール(小さいもの以外全て)の形をマジックで書いておきます。その際、実際の穴よりも少し大きめに書いておきます。この大きめに書いた部分が制振材とインナーパネルとののり代になるので、小さいよりは大きい方が良いです。もし大き過ぎたら後でカットすれば良いので。
・穴を書き写したら、右ドア(R)か左ドア(L)かをビニールに写した穴の中に書いておきます。もし4枚のドアを一気に処理するのであれば、FR(フロント右)とかRR(リア右)とか書いておくと良いです。
・ちなみに右ドアと左ドアのサービスホールは左右反転形状になるので、どちらかのドアを書き写しておけば事足ります。私は右ドアから始めたので、フロント右とリア右のサービスホールのみビニールシートに書き写しました。
サービスホールの型取り

・書き写し終わったら、まずドアについているL字型金具を外します。外した金具とネジは、内装パネルを外した時のネジなどと一緒にしておくと良いです(内装パネルのネジは黒色、L字型金具のネジは銀色なので見分けがつきます)
・次にエーモン 音楽計画 ドア基本モデルに入っているブチル剥がし用ヘラを使いながら、ビニールシートを剥がしていきます。後で制振材にサービスホールの型を写すので、ビニールを伸ばさないよう剥がします。
・残ったブチルはヘラで取れるだけ取りますが、ヘラを使うとブチルが左右に広がることは頭に入れておいてください。もしかすると気温が低い時期だと取りやすいのかもしれませんが、私がやった時はブチルが熱せられて柔らかくなっていたため、ヘラを使っても広がるだけでほとんど取れない状態でした。

・今書いていて思ったのですが、もしかしたらビニールシートを剥がすのではなく、ブチルの内側あたりでハサミで切り取ればよかったかもしれません。この場合ブチルと接着している周辺のビニールは残ることになりますが、少なくともブチルを処理する面積は格段に減るので(制振材貼り付けの際に干渉する部分だけビニールを剥がして処理すれば良い)、そうすればよかったと思います。どのみち残ったブチルの上にマスキングテープを貼るので、その代わりにビニールを残す感じですね。
・この方法だと、切り取ったビニールにはブチルが(ほぼ)ついていないので、制振材に型を写す作業は格段にやりやすくなります。周りをブチルで汚す危険性も減りますしね。

・ちなみにエーモンの説明書では、サービスホールの型取りをしたら、ビニールを剥がす前に型をカッターで切り抜くとあります。切り抜き終えたら、残ったビニールを剥がすというやり方です。これはこれで良いような気がしますが、私がそうしなかった理由はインナーパネルの上でカッターを使いたくなかったから(インナーパネルに傷が入る危険性を避けたかった)。勿論ビニールを浮かせながら切っていけば大丈夫かもしれないけど、なんか嫌だったんですよね。


●インナーパネル:制振材の切り出し
型取りしたビニールシートを使い、サービスホールを塞ぐための制振材(エーモン 音楽計画 ドア基本モデルに入っている制振材)を切り出します。説明の都合上、右側のドアで型取りしたものとしてください。またフロントもリアもやることは同じなので分けて説明はしません。

私はビニールシートにブチルがついた状態で作業しましたが、今考えると、まず最初にブチル部分だけ切り取ってしまった方が作業がやりやすいと思います。気をつけていてもどこかしらにブチルがついてしまうので、皆さんは最初にブチルを処理してしまいましょう。
切り取り作業の際はブチルがついても大丈夫なように大きめの段ボールの上などで作業すると良いです。

以下の説明はブチルを処理した(切り取った)前提で書きます。もしブチルを切り取らない場合はブチル面を上にして作業することになるので、制振材の表面を上にして型取りすると右ではなく左ドア用ができる点に注意してください。

・制振材を表面(銀色面)を上にして置き、その上にビニールシートの表面が上になるように(書いた文字が正しく読める状態で)置きます。
・ビニール表面の型(マジックの線)に沿って圧着用のヘラを押し付けていくと制振材の表面に跡ができるので、型の数だけこの作業を繰り返します。1枚の制振材からできるだけ多くの型が取れるよう考えて作業します。
制振材に写した型

・型写しが終わったら、万能ハサミ(カッターよりもハサミの方が作業が楽)で切り取っていきます。切り取った制振材の裏面にはR(右ドア用)と書いて置きます。

・全て切り終えたら、今度は切り取った制振材を使って左ドア用の型取りをします。新しい制振材を表面を上にして置き、その上に切り取った制振材を裏側が上になるように置き(制振材の銀色面同士がくっつくように置き)、上に置いた制振材の縁に沿って下の制振材にヘラで型(跡)をつけていきます。この際、下の制振材についた型(跡)は上に置いたものよりも少し大きくなるので、切り取る際には型(跡)の内側を切っていくと良いです。
・切り取った型(右ドア用)を使わずにビニールシートから左ドア用の型取りをしても構いません。その場合、ビニールシートは裏面が上になるように置きます(文字が裏向きになる状態)。
・型を写し終えたら切り取っていき、切り取った制振材の裏にL(左ドア用)と書いておきます。
・残った端材の大きめのものは小さいサービスホールを塞ぐのに利用できるので残しておきます。

・切り出した制振材のうち、右ドア用の場合は右上の大きなサービスホール用の、左ドア用の場合は左上の大きなサービスホール用の制振材にバスレフポートを開けておきます。(コンパスカッターがあればインナーパネルに貼り付けた後でも穴開けは可能です)
・まず切り取った型をドアのサービスホールに実際に当ててみて、どの辺りに穴を開けるかを決め、マジックで穴の中心に印をつけておきます。右ドアか左ドアのどちらか一方だけやればOKです。
・バスレフポートの位置については、私はSPの位置とできるだけ離した位置にしました。何となくですが、SPに近いとバスレフポートの機能が下がる(低音の量が減る)ような気がしたからです。正しいかどうかはわかりません。
・次にマジックでつけた印を中心にしてコンパスで円を描き(跡さえつけばOK)、それに沿ってカッターで切り取ります。
・片方(右ドア)の制振材に穴開けができたら、それを使ってもう片方(左ドア)の制振材に穴開けします。

・ネットを見るとバスレフポートの直径は4〜5cmが多かったので、私はフロントは直径5cm、リアは直径4cmにしました。
・バスレフポートは直径が大きいほど、また空気容量(ドアのアウターパネルとインナーパネルの間の空間の空気容量)が小さいほど共振周波数は高くなります。リアドアの空気容量はフロントドアに比べて小さいので、同じポート直径だと共振周波数が高くなります。そこでポート直径を小さくして共振周波数を下げたのですが、厳密に計算したわけではないので気休め程度だとお考えください。
・なおバスレフポートの効果についてですが、ネットで調べたところではバスレフポートを開けた方が低音の量感が増すようです。ただし開けていない方もいらっしゃるので、どうするかはご自身で判断してください。
フロントドアのバスレフポート
リアドアのバスレフポート
【8/19追記】
バスレフポートは塞ぐことにしました。詳しくはこちらをご覧ください。


●インナーパネル:デッドニング
サービスホールへの制振材貼り付けについては、次の基本方針のもとで作業しました。

  • クリップ用の穴およびバスレフポート以外の穴はできるだけ空気を漏らさないように(=SP裏からの音はできるだけバスレフポートだけから出したかった&雨水が表側に侵入してこないように)丁寧に全て塞ぐ。

・まず最初に制振材を貼る際に邪魔になりそうなサービスホール周辺のケーブルクリップやコネクタ(フロントドアについているグレーのコネクタを抜いて緑のパーツは取り外す)を取り外しておきます。
・次にインナーパネルのサービスホール周辺(制振材を貼る場所)を全て脱脂します。
・それから順次サービスホールに制振材を貼っていきます。窪んだ部分に貼る場合は、まず窪んだ部分をヘラで圧着したあと、周辺に向かって圧着していくと良いです。

・一番処理が面倒なのは、サービスホールの表〜裏をケーブル(ワイヤー)が行き来している箇所だと思います。正直、何が正解なのかはわかりませんが、私はまずケーブルの幅で制振材に切れ目を入れ(ケーブルの両側2箇所)、ケーブルがインナーパネルの裏側に潜り込むあたり(インナーパネルとケーブルの交差面)で制振材を切り取りました(結果、制振材にはコの字型の切り取りができる)。切り取った部分は後でケーブルの下のインナーパネルに貼り付けるので残しておきます。
・次にサービスホールに制振材を貼り付けます。そうするとコの字型の穴からケーブルが表に出てきている状態になります。
・先ほど切り取った制振材をケーブルの下のインナーパネルに貼り(既に貼ってある制振材の切れ目を塞ぐ形になる。穴に食み出す部分はカット)、別途用意した少し大きめの長方形の制振材を用い、穴を塞ぐ(ケーブルを覆う)ように貼り付けます。
・後は状況に応じ、空いている隙間を塞ぐように制振材を貼り、場所によってはさらにダメ押しで大きめの制振材で該当箇所全体を覆いました。
・ドアロック用ワイヤーとドアノブ用のワイヤーはスリーブに入っているので上から制振材を貼っても動作に支障はありませんが、スリーブが曲がるほど押さえるとワイヤーの動きが悪くなるかもしれないので注意してください。

・ちなみに、インナーパネルに空いている唯一の穴(クリップ用の穴は除く)であるバスレフポートに関してですが、この穴を伝って雨水が内側に入ってくるのを少しでも避けるため、ポートの上側は少し押し込み、逆に下側は手前に引いておきました(傾斜をつけておく)。こうすればポートが垂直状態よりは雨水が侵入しづらいかなと。まあ、気休めですけどね。

・全ての穴を塞ぎ終えたら、ポイント制振材を貼っていきます。基本方針は次の通り。

  • SP周りに重点的に貼る
  • 拳で叩いてみて振動が大きそうな場所に貼る

理想を言うならインナーパネルの前面全てに制振材を貼れば良いのですが、中々そうは行かないので、手持ちのポイント制振材(余ったインナーパネル用制振材やアウターパネル用制振材でも良い)の量を考慮しつつ、貼っていけば良いと思います。
右フロントドアのデッドニング状態
右リアドアのデッドニング状態

ちなみにエーモンの説明書では吸音テープを貼る指示がありますが、必要性がよくわからなかったので私は貼っていません。

最後に、ビニールを剥がした後に残ったブチルの上にマスキングテープを貼って完了。
当然ですが、ブチルに沿ってビニールを残した場合はマスキングテープは不要です。


●内装パネルのデッドニング&吸音処理
私はエーモンのポイント制振材をフロントは5箇所、リアは9箇所に貼り付けました。何故リアが多いのかというと、単に制振材が余っていたからです。結果論ですが、フロントの制振材はあと2〜3枚増やしても良かったなと思います。

ポイント制振材を貼り付ける場所は、フロントに関してはネットの情報を参考にしましたが、原則としては振動しやすい場所に貼れば良いと思います。
制振してやることで、音の濁りの原因となる共振ノイズをある程度低減できると思います。

ただ、バスレフポートから出てきた低音は内装パネルを振動させることで車内に伝わると思うので(内装パネルに開口部がないから。そう言う意味では構造としてはバスレフ型ではなく密閉型なんだけど、バッフル面=内装パネルが振動して音を伝えるので、擬似バスレフと言うのが正しいかも)、過度に制振しすぎるのはどうかとも思いました。

どの程度制振すれば良いのかについては正直なところわかりませんが、もし内装パネルをガチガチに制振する(振動/音を極力伝えないようにする)のであればバスレフポートは開けない方が良いでしょうね。開ける意味がありませんから。

吸音材に関しては窪みの部分を中心にシンサレート(吸音材)を貼り付けましたが、内装パネルの吸音処理をしていない方も結構いらっしゃるみたいなので、どうするかは個人で判断してください。

私は最低限の処理はやっておいた方が良いと思っていますが、吸音材を入れすぎるとデメリット(バスレフポートから出てきた音が死ぬ)がありそうな気がしたので、音が溜まりそうな窪みを中心に貼りました。

フロントドア内装パネルの制振材貼り付け状態
フロントドア内装パネルの吸音材貼り付け状態
リアドア内装パネルの制振材貼り付け状態
リアドア内装パネルの吸音材貼り付け状態

最後にツイーターカバーの吸音処理についてですが、スイスポのツイータ取り付け位置はバッフル面から浮いた状態になっているため、ツイーターカバー内の反射音がバッフル面から出てしまう構造になっています。
その反射音を少しでも防ぐための対策として、ツイーター背面にシンサレートを貼り付けました。

ツイーターカバーの吸音処理


以上で作業ポイントの説明は終わりです。
文字ばかりで申し訳ないですが、作業を通して感じたことや思ったことをできるだけ書き留めたつもりなので、少しでも参考になれば幸いです。

ちなみに現在の音についてですが、色々なジャンルの楽曲に合うような低音バランス(EQ調整)を模索している状態です。
中音〜高音は概ね満足できる状態にできたけど、やっぱり低音は難しいですね。

理想を言えばもう少し伸びやかな低音が出て欲しいけど、今使っている機材とデッドニングでは難しそうな感じ。
サブウーファーを追加すれば出せると思いますが、流石にそこまでするつもりはないので、もう少しだけEQと格闘して妥協点を探ろうと思っています。

とは言え、純正の音に比べれば格段に良い音にはなったので、音に拘る方はトライしてみては如何でしょうか。