昨年2月、FiiO R7のDAC&アンプ部に物足りなさを感じ、それをリプレイスする形で導入したFiiO K9 Pro ESS。
最初は気に入っていたものの、今年1月、オーディオ用LANに光アイソレーションを導入したあたりから徐々に不満を感じ始め、翌2月にヘッドホンアンプとしてHIFIMAN PRELUDEを導入しK9 Pro ESSはDAC部(ES9038PRO)のみを使うようになってからその不満が一気に噴出。
その不満〜情報量や解像力などのディティールは素晴らしいと思うけど音全体として訴えてくるものが弱い〜を解消するため導入したのがDAC専用機のGUSTARD R26でした。
その後時を置かずして4台目のヘッドホン HIFIMAN Arya Organicを、I2S接続を行うためのDDCとしてGUSTARD U18を、さらに外部マスタークロックジェネレーターとしてLHY Audio OCK-2を立て続けに導入。
そのせいで、あれよあれよという間にR26導入から1ヶ月が経ってしまいましたが、ようやく一段落したのでR26の音について感想を書き留めておきたいと思います。
※比較対象はK9 Pro ESSです。
- 音色はやや暖色寄り
- 音が自然で違和感が無い
- 骨格はやや太いが芯のある音(特にピアノ)
- コントラバスの低音が深く、ジャズベースの低音の形が見える
- ヴァイオリンの音が滑らかにつながっている
- 響の広がり方が自然で綺麗
- 歪んだ音、クリアトーンともにギターの音がとても良い(Wadia 521を思い出した)
- 女性ボーカルの口元が生々しい
- 情報量や解像力はK9に比べると少し劣る
- 楽器の位置が少し近く感じる
- (マルチビットは一般的にサウンドステージが広いと思ってたけど)R26は狭いというわけではないが広くもない
- 音像は少し大きい
R26の特徴を一言で表すなら"自然な音"でしょうか。
HiFiオーディオ的視点で言うならES9038PRO(ΔΣ変換)の方が情報量や解像力の点で優れていると思うけど、音全体として何かしっくりこない感じがありました。
でもR26(R-2R/マルチビット変換)の音にはその違和感が無く、とても自然な音に感じます。
自然と言えば、音のグラデーションも自然ですね。
残響音は滑らかに少しずつ消えていく感じだし、ヴァイオリンの音の強弱も至極滑らか。
そして音に芯があり、音像/音の形がΔΣよりもハッキリしています。
音のエッジ(輪郭だけ)が立っているのではなく、音が"中身のある塊"としてそこにある感じかな。
あと、これはマルチビットDACの特徴なのかもしれないけど、エレキギターの音が凄くリアルなのです。
今は昔の2008年10月、当時はChord DAC64を使っていたのですが、システムの音をグレードアップしたくなり、DACを替えるつもりでWadia521の自宅試聴をしました。
音はとても良かったんだけど、DAC64の3倍の価格ということを考えると正直躊躇する気持ちもありました。
そのためらいを吹き飛ばして「絶対に導入したい!」と思わせたのが「Led Zeppelin / Stairway to Heaven」を再生した時のギターの音だったんですよね。
心の琴線に触れると言うか、そんな音だったのです。
あれから15年も経ってしまったけど、久しぶりにあの時の感動が甦ってきました。
現在メインシステムで使っているMeitner MA1 DACの音も好きだけど、「やっぱり私はマルチビットの音が好きなんだなぁ」と、つくづく思った次第。
現時点、R26をヘッドホンシステム用DACとして使い続けるつもりだけど、もし買い替えることがあるとするならば次もマルチビット(R-2R)変換のDACにすると思います。