ネットワークオーディオに光LANを導入してルーター等の機器からのノイズアイソレーションを図るトライアルを1月10日にスタートさせました。
オーディオ用光LAN導入①:ヘッドホンオーディオ用ネットワークに光LANを導入 - memento
1stステップはオーディオ用スイッチと他のネットワーク用スイッチを光LANでアイソレートする試みでしたが、結果は期待以上の効果を得ることができました。
オーディオ用光LAN導入③:光LAN導入後の音の感想と電源のアップグレード - memento
そこで2ndステップとして、ミュージックサーバーとスイッチの間(音楽情報経路)に光LANを追加導入し効果を確認してみましたが、残念ながら思っていたような効果は得られなかったため(加えて弊害らしきものも出てきた)、これまでのメタルケーブルによる接続に戻しました。
オーディオ用光LAN導入④(完):サーバーとスイッチの間に光LANを追加した結果は... - memento
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という教えが論語にありますが、まさにそんな感じです。
以上のトライアルにおいてレファレンスとして使用してきたヘッドホンはUltrasone Edition8で、2010年10月の導入以降、間違いなく最高の音で鳴っています。
以前はあまり得意ではなかったヴァイオリンの音も良い感じで鳴ってくれているし、ピアノの音なんか本当に過去最高なんですよ。
嬉しくなってしばらくはEdition8で色々な楽曲を聴いて楽しんでいたのですが、十分聴いたので次は就寝時のメインヘッドホンとして使うつもりのSONY MDR-MV1を試してみることに。
当然MV1も良い音で鳴ってくれるに違いないと思っていました。
ところが鳴らしてみるとなんかパッとしない音なんですよね。
光LANの効果はちゃんと出ていて、情報量や解像力は以前より上がっているんだけれど、高音・中音・低音のバランスが微妙に気持ち悪い感じ。
Bill Evansのピアノはイメージ通りで気持ちよく聴けるけどKeith Jarrettのピアノには少し違和感を感じたり、ボーカルが入った楽曲でのボーカルの力強さが今一つだったり...。
そこで今度はSennheiser HD800を繋いで聴いてみたのですが、MV1と同様、音のバランスが微妙に悪い感じがします。
高音は抜けきっておらず、中音は少しもっさり感があるため、音にキレがないというか粒立ちが悪いというか、なんかそんな感じ。
Isabelle Faustのヴァイオリンソロの音も、音の襞の深さが浅くなってあっさりした音になっています。
Edition8は元々高音が尖っていて音に勢いがあるヘッドホンだったので結果的に良いバランスになったけど、HD800やMV1は高音が若干おとなしめのフラットバランスだったから、そのバランスが崩れてしまったようです。
つまり光LANによるノイズアイソレーションには高音のインパクトを下げる弊害があるのかもしれません。
と言っても高音のレベルが下がっているわけではなくて、ノイズが減少し雑味がなくなった結果として高音がおとなしく聞こえてしまうのではないかと。
※あくまで我が家のシステムにおける結果であり、他のシステムでも同様になるかどうかはわかりません。
尤もそれだけが原因の全てではないような気もしていて...。
光LAN導入が直接的な引き金を引いた(結果として音のバランスが悪くなった)のは間違いありません。
でもHD800に関して言えば、光LAN導入前の音は確かに悪くはなかったけれどHD800の良さを十全に引き出せていたかと問われると必ずしもそうではなかったかと。
Edition8とは逆で、実は東京で使っていた(Luxman P-700uで鳴らしていた)時の方が音が良かった(HD800をちゃんと鳴らせていた)と思うんですよね....。
もしかすると、HD800をしっかり鳴らせている状態(システム)だったら例え光LANを導入したとしてもさほど崩れなかったのではないか...とか。
言い換えるなら今のシステム自体のポテンシャルが低い〜Edition8は鳴らせるけどHD800は鳴らしきれない、密閉型は鳴らせるけど開放型は鳴らしきれない、低インピーダンスのヘッドホンは鳴らせるけど高インピーダンスのヘッドホンは鳴らしきれない〜ことがそもそも根底にある原因なのではないかと。
対症的には光LANを外してメタルケーブルに戻せばバランスの悪さは解消すると思うけど、それだと折角得られたノイズフロアの低さや解像感を失うことになるし、過去最高の音で鳴っているEdition8の音も聴けなくなってしまいます。
一度味わってしまった蜜の味は決して忘れることはできないし、例え困難が待ち受けていたとしても前向きでチャレンジングな選択をする方が最終的には良い結果につながることが多いと思うのです。
生活がかかっているわけでも何でもない、所詮は趣味の世界の話ですしね。
と言うことで光LANは外さず、システム自体をHD800(と言うか手持ちのヘッドホン全て)を鳴らし切れるレベルにまで引き上げることに決めました。
加えて、今のシステムでは十分に表現できていない艶感やしなやかさも出せるようにできたら良いなと思います。
となると小手先の対処ではどうにもならないと思うから、機器の変更もしくは追加は避けられません!(と言い切ってみた)
※詰まるところ、新しい機器を導入したいが故に屁理屈を並べているだけのような気が...(^^;;
以前のブログで、高音の物足りなさの解消策としてEQを備えたDAC&アンプ:RME ADI-2/4 Pro SEの導入について少し検討しました。
これも有力な選択肢だとは思うけど、HD800を鳴らし切るという新たな目標の下で一から考え直そうと思います。
HD800を鳴らし切るために最も重要な要因はアンプのドライブ力だと思います。
当然出力の高さはある程度必要になりますが、"出力=ドライブ力"と言うわけではないですよね。
※現在使用しているK9 Pro ESSの出力は 32Ω:≥2100mW(バランス)、300Ω:≥1,100mW(バランス)で、高インピーダンス時の出力はかなり高いと思うけど、それでも鳴らしきれていない気がしているわけです。
我が家のメインシステムのパワーアンプであるVitus Audio SS-010の出力は25W(A級/AB級)しかないにもかかわらず、大型スピーカーを駆動できる強力なドライブ力を持っています。
その理由の一つは電源ステージで、トランス容量は1400VAと当時のフラッグシップクラスであるLuxman M-800A(A級:60W×2ch)やAccuphase P-7100(B級:1000W×2ch)と同規模の電源を有しています。
スイッチング電源を使ったアンプについてはわかりませんが、リニア電源を使ったアンプの場合は電源の容量と瞬発力がドライブ力のベースになると思うのです。
そう言う視点で考えると、新たに導入する機器がK9 Pro ESSよりも強力な電源ステージを有していることは必須条件であり、必然的に筐体サイズも大きくならざるを得ないと思っています。
勿論、最終的には国内外のレビューを参考にし総合的視点で導入機種を決めるつもりだけど、その視点の一つに電源ステージがあると言うことです。
※本当は試聴して決めたいけど富山では無理なので。
ちなみに現時点で新規導入アンプもしくはDAC&アンプに求めているスペック要件は次の通りです。
- 4.4mmバランス出力端子、6.35mmシングルエンド出力端子は必須
- XLR3pinバランス出力があればなお良い
- 強力なリニア電源
- 幅450mm 以下、奥行300mm以下のサイズ(置き場所からの要件)
- ( DAC内蔵の場合)DAC回路に汎用チップを使っている場合はフラッグシップクラスのDACチップであること。独自のDACチップもしくはディスクリート回路でも構わない
- アナログライクのボリュームが望ましい
いっその事、ネットワークストリーマーのZEN Streamも置き換えてEsoteric N-05XD(ネットワークDAC&プリ)1台に集約するというアイデアも頭を過りました。
N-05XDはヘッドホンアンプ部も優秀らしいのでこれはこれで魅力的ではありますが、XLR4pinバランス出力端子はあるけど4.4mmバランス出力端子が無いこと(ヘッドホンケーブル買い替えのためさらに追加費用がかかる)、そもそも価格が高すぎる(最安でも84万円強)故にNG。
RME ADI-2/4 Pro SEに関しては、左右独立PEQ搭載はとても魅力的だけど、DC入力なので強力な外部DC電源〜例えばFerrum Audio HYPSOS(22万弱)は頗る評判が良い〜が必要になりトータル費用が60万円を超えてしまいます。
ELSOUNDの外部電源(3万円弱)を使うことも考えましたが、何となく中途半端な感じがして後々後悔しそうなのでNG。
※海外サイトのレビューによると、付属のACアダプターではHD800を十分に駆動することはできない模様。
最終的な候補として残ったのが、以前から気になっていたSPL Phonitor xe + DAC768(34万円強)と、これまで一度も言及したことがないHIFIMAN GoldenWave PRELUDE(40万円弱)です。
様々なレビューを検討した結果、どちらもHD800をしっかりとドライブする能力があると判断しました。
⚫︎SPL Phonitor xe + DAC768
⚫︎HIFIMAN GoldenWave PRELUDE
⚫︎FiiO K9 Pro ESS(参考)
※右側半分弱が電源部(ただし筐体サイズが小さいので電源部の面積/容積は3機種の中で一番小さい)
なおPhonitor xe + DAC768には4.4mmバランス出力端子がありませんが、HIFIMAN PRELUDEより価格が安いのでケーブルを買い替えることができます。
またPhonitor xeにはDAC無しバージョン(26万円強)もありますが、どうせ買うならDAC(AKM AK4490 Velvet Sound™)有りの方ですかね。
尤もDAC有りバージョンもDAC無しバージョンも在庫がある店は見つけられず、納期未定の取り寄せになります。
ただ、恐らく今回の買い替え(買い増し)がヘッドホンアンプに関しては人生最後になると思うので、納期については不問としました。
届くまでの間は今のシステムを使えば良いので、後悔だけはしないようにしたいです。
HIFIMAN GoldenWave PRELUDEは当ブログ初登場なので少しだけ説明しておきます。
- フルバランス構成のA級アナログヘッドホンアンプ
- 同社の平面駆動型ヘッドホンをドライブするだけの強力なパワーを備えている(32Ωで10W、300Ωで1W)
- 4.4mmバランス出力端子、XLR3pinバランス出力端子、6.35mmシングルエンド出力端子を装備
- アナログ入力はXLRバランスとRCAアンバランスの2系統だが、RCAアンバランス入力の場合でも完全バランス駆動の効果を得られるように内部変換するらしい
- 筐体サイズは330 x 56 x 260mm で重量は6.5kg(ちなみにPhonitor xeは278 x 100 x 330mmで重量は5.1kg、K9 Pro ESSは200 x 72 x 224.5mmで重量は2.7kgなので、PRELUDEの重さが際立っている)
純粋なヘッドホンアンプなので、我が家の場合はK9 Pro ESSのアナログ出力をPRELUDEに入力する形で使うことになります。
XLRバランスケーブルはWireWorld SuperEclipseとZonotone 7N AC-Neo Grandio 10Hiがストックにあるので、両方試してみて気に入った方を使うことになるかな。
SPL Phonitor xe + DAC768、HIFIMAN GoldenWave PRELUDE のどちらも魅力的なので、現時点ではどちらにするか決めかねている状況。
もう少しだけ悩んでから決断しようと思います。