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audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

ヘッドホン&イヤホン再生環境再構築⑦ 〜 FiiO K9 Pro ESSの感想

今日現在、FiiO K9 Pro ESSのエージング時間は100時間を超えましたが、音自体は50時間くらいでほぼ落ち着いたように思います。

実は70時間経過時点でコンセントボックスの改造を行い、さらに今日の午前中にヒューズを交換し今はヒューズのエージングを実施している最中なのですが、その話は後日書くとして、今回は50時間経過時点での感想について書き留めておきます。

ちなみにFiiO R7がトランスポーターでELSOUND製のリニア電源(12V/2.5A)によるDC給電、R7からUSB接続したK9 Pro ESSがDAC&アンプで、ヘッドホンはHD800を使用した感想となります。

  • 基本的にはR7単体で聴く場合と同系統のニュートラルな音色で、そのオーディオ的スペックを高めた感じの音
  • 左右のchセパレーションが良く、サウンドステージも左右に少し広がった
  • 情報量はさほど差がないような気がするけど、解像感は高い
  • R7もノイズフロアが低いと思ったけど、K9 Pro ESSは無音時の静けさがさらに増した感じ
  • 量感はさほどでもないが締まっていて力強い低音
  • 中音(特にボーカル帯域)は少し張り出していて、薄いベールがかかった感じで透明感にやや欠ける
  • 高音は綺麗に伸びていて繊細な音(響き)もうまく表現できているけど、私の好みからすると若干大人しい感じ
  • サウンドステージ自体は狭いわけではないが、中音が張り出しているせいかボーカルが近くに聴こえ、結果として間近で演奏を聴いているような感じが強い(HD800ではなくEdition8で聴いているような感じ)
  • これはR7側の問題だと思うが、ピアノの高音にやや耳につく(キンキンする)帯域がある


総合的にはR7のDAC&アンプ部を使うよりもワンランク上の音で、クオリティとしてこれ以上は必要ない(就寝時に使う分には必要十分)と思える音でした。
出費が無駄にはならなかったので正直ホッとしています。

R7とアンプ回路(THX-AAA 788+モジュール)自体は同じだと思うのですが、電源回路やボリューム回路、あるいはDAC後段のI/V変換回路の違いが効いているのか、K9 Pro ESSの方が上質な音になっています。

ただ上で書いたように不満点がないわけではありません。

一番気になるのはボーカル帯域の透明感がやや不十分な点で、次が高音域がやや物足りない点。

この2つは関連性が高く、R7のPEQで調整することによりかなり改善できることは確認済みなのですが、まずはPEQに頼らず素の音でできるだけ改善したいと思っています。

あとはもう少し華やかさや色気がある音にできれば嬉しいかな。

具体的な改善施策ですが、信号系で唯一交換できるUSBケーブルには既にお気に入りのAIM UA3を使っているので交換するつもりはありません。

となると弄れるのは電源系だけになるけど、余っている電源ケーブルには使えるものがないので(NBSのケーブルがあるけど太くて重くて硬いので繋げると機器が動いてしまう)、コンセントボックスの改造とヒューズ交換だけ試してみるつもりです。
※実際には既にどちらの施策も実施済みなのですが、結果はお楽しみと言うことで。


最後に音以外の点について少しだけ触れておきます。

GAIN切替は3段階で、HD800(インピーダンス300Ω)だとHIGHポジション 11時〜12時くらいのボリューム位置で必要十分な音量を得られますが、ヘッドホン出力自体はR7の方が大きいです。

ただ個人的にはR7の出力は大きすぎると思っていたのでK9 Pro ESSくらいの方が使いやすいかな。

ボリュームノブの感触は(もう少しトルクがあれば言うことないけど)思っていたよりも上質で、微妙な音量調整もしやすいです。R7とは格が違う感じ。

FiiO CONTROLアプリで調整できるのは次の6項目で、入力切替以外はアプリだけで設定できる機能となります。

  • ボリュームノブ周りのLEDインジケーターの表示パターン切替と明るさ調整
  • Bluetoothコーデック選択(6つのコーデックそれぞれについてON/OFFが可能)
  • 入力切替
  • 10バンドEQ(ON/OFFの切替、プリセット7種類、ユーザー調整可能なカスタムが1つ)
  • デジタルフィルター(7種類、フィルターOFFは不可)
  • LR出力バランス

R7はインジケーターを固定色にできたけどK9 Pro ESSはそれができず、入力信号のフォーマットとサンプリング周波数に応じた色になります。
入力信号が無い時は色が順に切り替わって鬱陶しいのでOFFにしました。

デジタルフィルターは7種類から選択できるけど、フィルターOFFモードが無いのがかなり残念。
※NT-505を使っていた時はデジタルフィルターをOFFにしていました。DACチップはESSではなくAKMだったので、AKM独自の仕様なのかもしれません。

EQはR7のFiiO MusicアプリのPEQも有効なので、K9 Pro ESSのEQとどちらを使うか選択できますが、機能的にはR7のPEQの方が高機能だから私はR7のPEQの方を使うつもり。
※まずは電源周りの施策を試してみてそれでもダメだった場合にのみ使うつもりで、できればEQは使いたく無いです。

あと、各種設定をリセットしたい時は、背面の電源スイッチをOFF→ONして再起動すれば良いです。
Bluetooth入力は使わないので全てのコーデックをオフにしたらアプリとの接続が切れてしまって焦ったけど、上記操作で事なきを得ました...^^;

筐体も思っていたよりもしっかり作られていて強度があるし、各種スイッチやボリュームノブの操作質感も良いし、個人的にはやや不満点はあるものの基本的には良い音だと思うので、10万円台のDAC&アンプとしてはお薦めできるクオリティだと思います。


ただ、結局のところR7のDAC&アンプ部は使わないという無駄なシステム構成になってしまったので、FiiOさんには最初からR7のプレイヤー機能とK9 Pro ESSのDAC&アンプを合体したクオリティの機種(R7の上位機種)を作って欲しかったですね。