PRELUDEのヒューズをGUSTARD製に交換し、ヒューズおよびGUCraftsmanのリケーブルのエージングもほぼ完了した段階での音(Arya Organic使用)は、少し気になっていた高音の固さや粗さもほぼなくなり、素晴らしい音を奏でてくれています。
情報量や解像力、サウンドステージの広がりおよびその中における楽器の定位、透明感のある空気感、低音から高音までのバランスのどれもが私自身の満足度基準に達しており、オーディオ的視点でみれば「これはこれで一つの完成形だな」と思わなくもありません。
※上には上があることは重々承知していますが、私ができる範囲での完成形ということです。
なので「あとは音楽を楽しむだけ♪」と思っていたのですが...。
一つ一つの音のレベルは間違いなく上がったのだけれど、何かが足りないような気がするのです。
今の音を例えるなら「一つ一つの音を細部まで精緻に表現した音の要素の集合体」みたく思えてしまいます。
ディティールは素晴らしい精緻さで描き込まれているけど、少し下がって全体を俯瞰で見ると主題が今ひとつ見えてこない〜訴えかけてくるものが希薄な絵画みたいな...。
これまではオーディオ的視点で音をパーツとして捉えてそれを磨き上げる努力をしてきたけど、少し近視眼的になっていたのかもしれません。
そもそもヘッドホンオーディオシステムを組んだ目的は、好きな曲を良い音で聴くことにより心地よい眠りにつくことなのです。
もちろん一つ一つの音の良さも重要な要素だけど、本質的には楽曲として気持ちよく聴けることが一番なんですよね。
その意味において、今のシステムは"音"自体は凄く良いのだけど、"楽曲"それぞれが持っている楽しさや素晴らしさが伝わって来にくいような気がするのです。
この如何ともし難い気持ち悪さをどうしたら解決できるのか?
悩んだあげく出した答えは、DAC(ES9038PRO)を変えることでした。
ESSのDACチップとの相性が悪いのか、そもそもΔΣ変換との相性が悪いのかは定かではありませんが、別の変換方式のDACに変えてみることに決めました。
※ΔΣはDSDとの相性は抜群に良いけどPCMとの相性はイマイチです。ちなみに私の音楽ファイルはほぼPCMです。
候補として上がったのは旭化成最新のΔΣチップであるAK4499EX(+AK4191)、そしてR-2R ラダー型(マルチビット)DACですが、ΔΣ変換自体との相性が悪い可能性もあるのでR-2Rに絞りました。
※R-2RはPCMとの相性が抜群だけど、DSDはそのままではデコードできません。なのでFPGAなどを使って前段(R-2Rに入る前)でPCM変換するなどの手間が必要です。
R-2Rのチップとしては今は亡きバーブラウンPCM1704が有名で、以前使っていたWadia521とEsoteric UX-1にも使われていましたが、最近はディスクリートで組んでいるものが多いようです。
※HIFIMANのHIMALAYA-DACはFPGAを核にしてパッケージ化されています。
R-2Rを採用したDACは再び増えて来ており、価格帯もピンキリです。
R-2Rはラダー回路に使う抵抗の数と精度が肝なので安いものは精度的に信用できないけど、かと言って高すぎるものは買えません。
そこで10〜20万円くらいの機種の国内外のレビューを読みまくって評価の高い(音の良い)製品を探し、最終的にGUSTARD R26という機種を選びました。
※予算が許すならHoLo AudioのMay DACが欲しかったです。
GUSTARDと言えば K9 Pro ESSとPRELUDEに使っているヒューズがGUSTARD製なのでメーカー名は当然知っていましたが、DACなどの製品については全く知りませんでした。
でもレビューを調べてみるとR26という機種は(条件付きだけど)評価が高いし、価格もギリギリOKだったので思い切りました。
実は既に昨日届いていて現在エージング中ですが、先ほどチラッと書いた"条件付き"というやつがなかなか厄介で、どうも一筋縄では行かなさそうです...(^^;;
その話は次回に。