前回のブログで「R26は(条件付きだけど)評価が高い」と書きました。
そしてその"条件付き"というやつが厄介だとも。
海外のレビューによると、R26は使用するデジタル入力の種類によってかなり音質差があるらしいのです。
レビュアーによって若干異なるけど、大体こんな感じ。
LAN >= I2S(I²S、IIS)> USB、AES/EBU、COAX、OPT
一番音質が良いのはLANで、次がI2S。
この2つの音質はかなり近いけど、USB他のデジタル入力はこの2つに比較すると音が良くないとのこと。
※「USBの音が良くない」と直接的に書いてある(言っている)わけではなく、「LANとI2Sは音が良い」という書き方(言い方)ですね。
※ちなみにレビュアーの1人は「USBはゲームやTVを見る時に使える」と言ってました...^^;
つまりR26の高い評価は、LAN入力もしくはI2S入力を前提としているのです。
ここで補足しておくと、R26は純粋なDACとは違い内部にストリーマー&レンダラー回路を有しており、RJ45端子にLANケーブルを接続することで音楽ストリームを直接受信することができます。
対応するプロトコルはRoonとuPnP/DLNAですが、このuPnP/DLNAが曲者で、サーバーとの相性がかなりある模様。
私はSoundgenicを使っているのでuPnPサーバーはTwonky Server(8.5.1-23)なのですが、問題なく接続できたという情報は見つけられませんでした。
つまり、一番音が良いらしいLAN入力を使えるかどうかは実際に使ってみなければわからないのです。
そしてLANの次(もしくは同じくらい)に音が良いとされるI2S入力を使うにはUSB-DDC(デジタルデータコンバーター)が必要だけど、私は持っていないので使えないという状況なわけ。
ここで少し考えてみました。
LAN入力の音が良いのは理解できます。
恐らくは余計な機器(外部Streamer)、USBケーブル、USB入力回路をショートカットできるからでしょう。
でもI2SとUSBでそこまで音質差があると言うのはどうなんですかね?
何故そのようなレビューが多いのかを考えてみたのですが、もしかしたらR26自体のI2S入力とUSB入力には実はそれほどの音質差はなく、I2Sに変換するために使用している(トランスポートにI2S出力がない場合は使用せざるを得ない)USB-DDCの影響が大きいのではないかと。
※データとクロックを分けて送信しているI2Sの方が、R26の内部処理的に多少音質が良い可能性はあります。
DDCとして使用されている機器はGUSTARD DDC-U18もしくはSingxer SU-2が多いように思うのですが、どちらも高精度クロックを搭載し、上流のUSB機器からのノイズアイソレーション機能を備えています。
実はこの機能のおかげでI2S入力の音質がUSB入力よりも良くなっているのではないかと思うんですよね。
※DDCに高精度外部クロックを入れている場合は尚更ですね。
であるならば、(クロックに関しては手が出せないにしても)ノイズアイソレーションに関しては ZEN StreamとR26を iGalvanic3.0を介してUSB接続すればガルバニックアイソレーションを実装できるので、例えUSB入力であっても音が良くなる(I2Sに近くなる)のではないかと考えた次第。
万が一全てが目論見通りに行かなかったとしても(LAN入力では音が出ない、 iGalvanic3.0を入れたUSB入力も音が良くない)、DDCを導入してI2S入力を使うという手段が残されてますしね。
と言うような検討を経て、リスクがあることを承知した上でR26を導入したわけですが、実際はどうだったのでしょうか。
まず試したのはLAN入力が我が家の環境で使えるかどうか。
ZEN Streamに挿してあるLANケーブルをR26に挿し替えてINPUTをLANにし、iPadのfidataアプリを起動してレンダラーリストを見ると Gustarender-1v43 という表示が現れたので選択。
Soundgenicから適当にいくつか曲を選んでリストに入れて再生ボタンを押してみたところ、何とヘッドホンから音が出るではありませんか!
この時点では「賭けに勝ったな!」と思いました。
しかしながらfidataの画面をよく見てみると問題があるのを発見。
それはGustarender-1v43がDMRとなっていることです。
SoundgenicとZEN StreamはOpenHomeで運用しているので、DMR規格のレンダラーを使用する場合はSoundgenicの設定をDMRに変更する必要があります。
案の定、再生はできたものの、それ以降の操作(停止、曲送りなどなど)ができませんでした。
そこでSoundgenicの設定画面にアクセスしモードをDMRに変更して再生してみたところ、大体の操作はできるけど致命的な問題があることがわかりました。
それは再生キューに複数の曲が入っている場合、通常であれば1曲目の再生終了後は自動的に2曲目を再生するのに、1曲目が終わった時点で再生が停止してしまうこと。
これでは使い物になりません...。
賭けに勝ったと思ったのに、完全なぬか喜びでした... (T.T)
と言うことで、LAN入力を使用し fidataで再生コントロールする方法は諦めたのですが、実はLAN入力を使用して再生する方法がもう一つあります。
それはmconnectというアプリを使う方法で、実際に試してみたところうまく再生できました。
※海外ではこの方法を使っているユーザーもいるようです。
ただしmconnectで再生する場合とfidataで再生する場合とではデータの経路が異なります。
fidataで再生する場合、fidataはコントローラーでしかないので音楽データは
▪️Soundgenic → R26
→:有線
という流れでサーバーからR26に直接入ります。
一方、mconnectで再生する場合は
▪️Soundgenic → WiFi AP → iPad(mconnectアプリ)→ WiFi AP → R26
→:有線、→:無線
となり、データはAP(アクセスポイント)からWiFiでiPadに送られ、そこからWiFiでAPに戻り、最終的に有線でR26に入ることになります(多分)。
データ的には問題ないのかもしれないけど、このデータ経路の冗長さが何か気に入らないんですよね...。
またそれぞれのアプリの役割が異なるので、再生時の挙動も異なります。
fidataの場合は再生する曲を選んでStreamerに送り、再生ボタンを押した後はfidataアプリを落としても再生に全く影響はありませんが、mconnectで再生する場合はアプリを落とすと再生自体が停止してしまうので、mconnectは起動したまま(バックグラウンドでも可)にしておく必要があります。
※mconnectを使う場合はiPadのバッテリー消費も大きくなると思われます。
現時点、mconnectを使って再生できることは確認したものの音質評価はしていないので、とりあえずLAN入力を使う場合の再生方法として残しておくことにします。
LAN入力の次に試したのはUSB接続。
ZEN Streamをストリーマーとして使うので、Soundgenicの設定をOpenHomeに変更。
※DMRのままでも使えなくはないのですが、DMRだとfidataによる操作が不安定だし一部機能が使えないため、OpenHomeを使用します。
K9 Pro ESSに挿してあるUSBケーブルをそのままR26に挿し替え、ZEN Streamの設定画面を起動して出力先リストを見てみたところ、SPDIFとUndefined USBの2つが現れました。
※Undefined USBという名称だったかどうかは不確かなのですが、Gustardという名称が入ったものは現れませんでした。
LAN入力の時はGustarender-1v43という名称が表示されたのに何故だろうと思いつつもUndefined USBを選択し、fidataで再生してみたところちゃんと音が出ました。
※その後いろいろ試してみた結果、iGalvanic3.0を外してZEN StreamとR26を直接接続すると gustard dac(だったと思う)と表示されるようになりました。一旦認識された後はiGalvanic3.0を介して接続してもgustard dacと表示されるので、最初だけは直接接続しないとダメみたいです。
R26のエージングがほとんどできていない時点での感想ですが、LAN入力の音は鮮度感が高くクリアだけど若干元気すぎる印象で、USB入力の方はLAN入力に比べると落ち着いていると言うかまとまった音なんだけど透明感や解像感がイマイチと言う感じでした。
※ここで言うLAN入力の音とは、fidataで数分間だけ再生できた音のことです。mconnectで再生した音ではありません。
事前情報の通り、確かにLAN入力の音の方が良いように思うけど、R26のエージングは100時間(200時間と言う情報もある)以上かかるらしく、しかもエージングで大きく音が変わるようなので、まずはUSB入力を使ってR26のエージングを進めようと思います。
最終的にどの入力を使うかは、エージングが終わった後の試聴結果次第ですね。