まずケイデンスセンサー用マグネットの取付ですが、スタンドとの干渉を避けるためにはできるだけ厚みを減らす必要があるため、マグネットそのものをアームに接着することにしました。
それだけではスタンドとの干渉は避けられないので、マグネットとの干渉部分をヤスリで削りました。
削った結果、クリアランスを確保できました。
ちなみに、今日の試走でマグネットセンサーとスタンドの干渉は起きないことを確認済み。サイクルコンピューターは問題なくケイデンスを測定しています。
以上で、今回のアルテグラ化作業は全て完了(多分)。
と言うことで、最後にTern Eclipse P20のアルテグラ化についてポイントをまとめておきたいと思います。
まず使用したパーツや工具について。実際には使用できなかったものも購入したのですが、以下は必要なパーツだけ挙げています。
■使用したパーツ
クランクアームユニット | SHIMANO FC-R8000 50X34T 172.5mm 11S(アーム長は適宜) |
ボトムブラケット | SHIMANO ボトムブラケット SM-BBR60 BSA 付属/TL-FC25 |
ボトムブラケット用スペーサー | SHIMANO スペーサー(2.5mm) |
カセットスプロケット | SHIMANO CS-HG800 11S 11-34T |
フロントディレーラー | SHIMANO フロントディレイラーFD-6800 直付 2X11S |
リアディレーラー | SHIMANO RD-R8000 11S GS |
チェーン | SHIMANO CN-HG901-11s-116L-Q |
ミッシングリンク | KMC ミッシングリンク 11速用 CL555R ゴールド2個 |
シフター(F&R) | SHIMANO SL-RS700 Rapidfire Plus |
シフトケーブルセット(Rear) | SHIMANO MTBオプティスリックシフトケーブルセット ブラック |
シフトケーブルセット(Front) | SHIMANO オプティスリックシフトケーブルセット ブラック |
次に必要な工具(同機能の他社製でもOK)について。カセットBB取外し用工具を含みます。
■最低限必要:使用した工具
【カセットBB取外し】 | |
コッタレスクランク専用工具 | SHIMANO TL-FC10 |
アダプター戻し工具 | SHIMANO TL-UN74-S |
【ボトムブラケット取付】 | |
ホローテックII BBユニット取付工具 | SHIMANO TL-FC36 オフセットタイプ グリップ付 |
【クランクアームユニット取付】 | |
クランク取付工具 | SHIMANO TL-FC16 |
【カセットスプロケット取外/取付】 | |
スプロケット戻し工具(11S対応) | SHIMANO TL-SR23 |
ロックリング締付け工具 | SHIMANO TL-LR15 |
【シフトケーブル取付】 | |
ケーブルカッター | ParkTool プロフェッショナルケーブルカッター CN-10 |
【チェーン取り付け】 | |
チェーン切り | SHIMANO IG/HG/UGチェーン用11段対応 TL-CN28 |
ミッシングリンク マスターリンクツール | PWT MLT335 |
チェーンフィキサー | バイクハンド YC-207 |
【ペダル取付】 | |
ペダル用薄型レンチ | 適宜 |
【その他】 | |
グリス | 適宜 |
ウェス | 適宜 |
モンキーレンチ | 適宜 |
六角レンチ | 適宜 |
プラスドライバー | 適宜 |
平ヤスリ、丸棒ヤスリ(アウターケーシング/クランクアーム/スタンド加工用) | 適宜 |
※クイックリンク/ミッシングリンクを使わない場合はチェーンピン(コネクティングピン)が必要
■あった方が良い:主にトルク管理用
デジタルトルクレンチ | SK11 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060 |
ラチェットレンチ | 適宜 |
【インナーケーブル取付】 | |
ロッキングプライヤー | 適宜 |
【ボトムブラケット取付】 | |
アダプター取付工具 | SHIMANO TL-FC37(SM-BBR60を使用する場合) |
レンチ用変換アダプタ | TONEソケットアダプター HP58 差込角9.5mm(3/8") &12.7mm(1/2") |
【カセットスプロケット取外/取付】 | |
レンチ用アダプタ | KTC ソケット 6角 B324 |
最後に、Eclipse P20をアルテグラ化する作業のポイントについて。
■各部の現状写真を撮る
- まず最初にやっておくことをお薦めします。特にケーブルのルーティングとか、パーツの位置や角度とかは、新しいパーツを取り付ける際の参考になります。
■カセットBBの取外し
- 今回の作業で一番不安でしたが、専用工具があればさほど難しくありませんでした。
■BBの取付
- 私はアルテグラ・クランクアームユニット推奨のSM-BBR60を使いましたが、68mm/BSAのモノなら取り付けられると思います。
- P20にアルテグラ・クランクアームユニットを取り付けるにあたり2.5mmスペーサーを併用しました。多分1.8mmだと薄すぎで(アームをその分削れば別)、3mmだと厚すぎてフロントディレーラーの調整範囲外になると思われるので、2.5mmがお薦めかと(もしかしたら3mmでも調整できるかもしれませんが、試していないので)。
- とは言え、2.5mmスペーサーを付けただけでは右クランクアームとチェーンステイが干渉するので、アームを削ります。削った後は塗装しておくのがお薦め。仮に3mmスペーサーを使ったとしても、削らないとチェーンステイに干渉すると思います。
- トルクレンチを使わない場合、35-50N・mというトルクは「これ以上回らないぐらい強く締め付けるトルクよりも少し緩いくらい」に感じました。とは言え普通に締めて回らなくなるよりも少し強く締める必要があります。個人的には、他の箇所にも使えるのでトルクレンチを入手することを強くお薦めします。
■クランクアームユニットの取付
- 右クランクアームをボトムブラケットに差し込む際には、ゴムハンマー、もしくは木槌(クランクに傷がつかないように布をあて、さらに当て木を併用)を使ってクランクの中心を軽く叩いて奥まで押し込むことをお薦めします。手だけでは不十分かと。
- 右側ボトムブラケットに2.5mmスペーサーを取付けたことによりクランクシャフトが本来の位置よりも車体右側に2.5mmずれるため、左アームの外れ止めプレートはマニュアル通りには取付けられませんでした。これは諦めるしかなさそう。
■シフターとシフトケーブル取付
- リアのアウターケーシングは2m近く必要なため、シマノのMTB用のシフトケーブルセットを使いました。アウターケーシングを別途入手できるのであればその限りではありません。
- 現状のアウターケーシングをフレームに固定しているタイラップは外さなくても大丈夫です(螺旋状のケーブル固定パーツは外さないとダメ)。現状のアウターケーシングを外し、その後新しいアウターケーシングを差し込めばOK。
- アウターケーシングやインナーケーブルのカットにはケーブルカッターを使った方が簡単で綺麗に出来ます。アウターケーシングを切った後、丸棒ヤスリ等でケーブル内側を成形し、切断面は平ヤスリで整えた方が良いと思います。
■フロントディレーラー取付
- 最新型のアルテグラ(FD-R8000)を使う場合、従来のケーブルルートではインナーケーブルの取り回しがうまく行きません。どうしても最新型を使いたい場合はアウターケーシングの取り回しルートを大幅に変更する必要があると思われます(リスクが大きそうなので私はやっていません)。故に私は一つ前のモデル(FD-6800)を使いました。こちらは問題なく使用できます。
- FD-6800のコンバーターポジションはONで大丈夫でした。
- ケーブルエンドキャップの取付にはオーディオ用に持っていた圧着工具を使用しましたが、ケーブルカッター(あるいはニッパー)を使って緩く挟み込んでも大丈夫なようです。強く挟むとキャップやケーブルが切れてしまうので気をつけましょう。最初はラジオペンチを使ったのですがダメでした。
■カセットスプロケットとリアディレーラー取付
- Eclipse P20のリアホイールは10速対応です。従って、シマノのアルテグラグレードで11速化する場合は、HG800 11S 11-34TとRD-R8000 11S GS(34T対応)のセットを使用するしかありません。HG800を取り付ける際は付属のスペーサーを必ず外して下さい。
- 11速ホイールの場合(Eclipse X22)はトータルキャパシティが許す範囲でお好きなスプロケットとディレーラーを使えると思います。
■ディレーラー調整
- ディレーラーの調整ボルトで調整するのは勿論重要なのですが、その前にインナーケーブルを固定する作業がちゃんと出来ていないといくらボルトで調整しても調整範囲に限界があります。最初にケーブルを固定する際、ケーブルが一番緩むシフトポジションにしてケーブルを固定しましょう。その際、ロッキングプライヤーを使うとやりやすいようです。調整ボルトを限界まで回してもローやトップに入らない場合は、最初のケーブル固定位置に問題があると思われます。
- インナーワイヤーを固定する前に、シフターのケーブルアジャスターボルトは「一番締め込む〜一番緩める」の中間くらいのポジションにしておいた方が後の調整が楽だと思いました。その方が後々の調整範囲が前後に広くなるので。
■チェーンの長さ調整
- シマノのマニュアルでは、フロントのアウターギアとリアのローギアにチェーンをかけて丁度くらい(緩みがないくらい)の長さをベースとし、それに2駒位足す長さがベストだとありました。最初はその長さにしてみたのですが、ギアチェンジをしながら挙動を見てみると少し長すぎるように思えたので、そこから2駒詰めました。正しいかどうかはわかりませんが、試走した感じでは問題ないように思います。
- 私はシマノのクイックリンク(ミッシングリンク)付のチェーンを買いましたが、そのクイックリンクが非常に固くて接続箇所を広げて固定することができませんでした。個体差かもしれませんが、個人的にはKMCのミッシングリンク(11速用 CL555R ゴールド)の方が使いやすかったです。色が金色なのでミッシングリンクの場所がわかりやすいのもポイントかと。
- (蛇足かもしれませんが)チェーンは必ず11速対応のモノを使いましょう。
■ケイデンスセンサー用マグネットの取り付け
- 左アームに取り付けるマグネットですが、マグネットホルダーを使ってアームに固定しようとするとスタンドに干渉します。これがベストな対策とは思わないけど、マグネットはアームに接着剤で直接貼り付け、かつ干渉しないようにスタンドをヤスリで削れば大丈夫でした。
これまでコンポーネントの交換はやったことがなかったので、不安を抱えながらアルテグラ化を始めました。振り返ってみると、次から次へと問題が発生し、その都度解決策を調べて(あるいは考え出して)対応してきましたが、最終的には何とかアルテグラ化を完了することが出来ました。
障害の半分くらいはパーツの選択ミスで、残りの半分はEclipseのフレームとアルテグラの相性問題だと思います。前者は適切なパーツを選択すれば大丈夫ですが、後者はそうもいきません。私は右アームをヤスリで削るという荒療治で対応しましたが、これしか方法がないとも思いません。
X22(P20の上位モデル)はもとからリア11速仕様なので、シマノ(アルテグラ)に拘らなければアームをヤスリで削る必要はないのでしょう(X22は、BBとクランクアームユニットはFSA製を使っているが、通常サイズではなくオーバーサイズのものを使用しているみたい)。尤も、どのパーツを使えば大丈夫なのかは私にはわかりませんので悪しからず。
何にせよ、自転車のコンポーネント交換というやつは純粋にメカニカルな作業なので、電子回路を弄るのとは違い、目で見て何が悪いのかを判断することが出来ます。それ故に対処方法も考え出しやすいと思うのです。勿論、(私がそうだったように)パーツ選択を間違えると物理的にどうしようも無くなるので、それだけは気をつけなくてはなりませんが。
Eclipse P20に乗っている方はあまりいらっしゃらないのではないかと思うけど、標準のクランクアームユニットは剛性が低いし、ティアグラグレードのコンポーネントは使用感が必ずしも良くないので、それが気に入らないと思われる方はアルテグラ化にトライしてみては如何でしょうか。私に出来たのだから、絶対に出来ると思いますよ。