仕事とプライベイトでいろいろあってオーディオで遊ぶ時間がなかなかとれないのですが、とりあえず検証課題の1つであるPL-L初段の真空管交換(Mullard ECC83→TESLA E83CC)を実施しました。
Tesla E83CC はかの有名な Telefunken ECC803S の完全レプリカ球なので、このセットは実質的に Telefunken ECC803S + ECC801S という(ある意味では)最強のセットと言えます。
しかしながら以前このセットを試してみた際の感想を読み返してみると
一方、TESLA+Telefunkenだと中域の厚みが薄くなり、かつ低域が軽くなってしまいます。試してみた全ての組み合わせの中では最もHiFi的な音だし、ある意味優等生的な音ではあるのですが、何か物足りない感じ。
となっているように、情報量、解像力、S/N比等は他のセットに比べて抜きん出ているものの、聞いていて面白みが無い(楽しくない)音だったんですよね。
でもその時(2011年10月)のシステムと今のシステムでは随分違っています。
P10の導入で電源環境は根本的に強化されたし、NBS Omega0、Transparent PLMMという2本の電源ケーブルが加わったし、ラックのスパイク受けはSilent Mount(チタンバージョン)に、KS-3033のYラグはオーディオリプラスのルテニウムバージョンに、ES105Aのケーブルもタンノイ製に変更したし、機器インシュレーターの大半をD-PROPファミリーで揃えたし、何よりデジタルケーブルにValhallaが加わったし...。
使っている機器の変更はP10だけですが、ケーブルを含めたセッティングは大幅に変わっているといっても過言では無いでしょう。
仮に以前の試聴感想で言及していた「中域の厚みが薄くなる、低域が軽くなる」というベクトルでの変化があったとしても、今のシステムは以前よりも中低域が強化されているのでさほど不満を感じないのではないかと思うのです。また肝心の“面白み(楽しさ)”についてもValhallaがカバーしてくれるのではないか...と。
もし目論見通りにいかなかったら、ECC803SをA2900に戻せばよいだけのことです。
でもって、試聴結果です。
- 解像力が高く、細かな音の分離感も良いです。
- 音のエッジが立ってきたせいか、楽器の実体感が増した。楽器の定位もとても明確。
- 我が家は暗騒音が多いのでわかりにくいのだが、S/N比がさらに良くなった(ノイズフロアがさらに下がった)かも。
- 低音が軽くなった感じはあまりしませんが、量感は少し減りました。でも弾力感は健在。
- 中域の厚みは若干薄くなったものの、不足しているようには感じません。及第点でしょう。
- Mullardの柔らかさは後退しましたが、しなやかさは失われていないのでOK。
- 音の強弱(抑揚)による訴求力(ドラマチックさ)、倍音の多さ、有機的な肌触りなどはMullardの方が少し良かったかな。そういう情報が少しだけ整理されてしまった感があります。
- Mullardでは聞く気にならなかったCD(特にRock系)も“まったりさ”を感じることなくそこそこ聞くことができます。
- 肝心の“面白み(楽しさ)”については、Mullardのツボにはまった時の強さは無くなったものの、普段良く聞くCDの7割〜8割方は楽しく聞くことができそう。
以前このセットを聞いた時に比べれば断然今の方が良いですね。何より、聞いていて楽しいし、物足りなさや味気なさは感じません。面白みがあるかといわれるとそこまで個性的ではないけれど、この音なら概ね不満はないかなぁ。
欲を言うならもう少しだけ色っぽい音になると良いのですが、この真空管セットにそれを望むのは酷というものかもしれません。
というわけで、初段はTESLA E83CCで決まりです。後はECC803SをA2900に交換した音を確かめて、好ましい方の真空管セットでFixしましょう。
>nakashin様
Valhallaをクロックケーブルとして試してみる件、決して忘れてはいませんので、もうしばらくお時間を下さい。