地震等もあったのでX100はまだ室内で試し撮りしたレベルですが、操作性を中心に第一印象を書き留めておきましょう。
■デザイン
化粧箱を開けて実機を手にした時、子供の頃に親父が使っていたレンジファインダーカメラを思い出しました。確かキヤノン製だったかなぁ。特に軍艦部の造形は懐かしい感じでとても好きです。
手に持った時の重みも、軽すぎず重すぎず、丁度良いと思うし、何より金属の質感が良い感じですね。やっぱりカメラボディは金属がいいです!
■操作性
十数枚の試し撮りをしてみた時点での感想ですが、操作性についてはどうもしっくりきません。とりあえず気になった点を上げてみると、
・OVF/EVF/LCDの切替はViewModeボタンを押すことによって次の3つのモードをトグルで切り替えます。
1)LCDとファインダーを切り替えて使うモード。アイセンサーにより、ファインダーに顔が近づくとLCDが消えてファインダーに情報が表示される。逆に顔を離せばLCDを見て撮影ができる。この際ファインダー表示は前面の切替レバーによりOVF/EVFの切り替えが可能。
2)ファインダーのみを使用するモードでLCDはオフとなる。ファインダー表示は切替レバーによりOVF/EVFの切り替え可能。
3)LCD表示のみのモード。
この3つのモードがあれば基本的に事足りていることはわかるのですが、この3つをトグルで切り替えるよりはむしろOVF/EVFの切替レバーとLCD表示の切替ボタンをそれぞれ独立して用意した方が良かったのではないかと思うのです(LCD表示の切替ボタンはViewModeボタンに代わるもので、Auto/On/Offの3つのLCDモード切替が可能。Autoはアイセンサー連動でファインダー利用時にはLCD表示をOFFにする)。あるいは(3が無くて)1と2だけだったらまだわかりやすかったのですが...。
何でこんなこと書いているかというと、ファインダーから顔を離した状態でLCDがONになっている場合、現在のモードが1なのか3なのかが判別できないわけです。そうすると何が不便かというと、もしモード3になっているとファインダーをのぞいて撮ろうとしてもファインダーが使えないわけです。使おうと思っても使えない、そこが問題なのです。
そもそもこのX100を買う人が3のLCDのみのモードを多用するとは思えないわけで(ファインダーを使いたくて買っていると思うので)、必然1か2がメインになりますが、1と2はLCDのON/OFF状態で明らかに区別できます。この2つのモードに加えてさらにファインダーが使えないモード3(しかもパッと見ただけではモード1なのか3なのかが判別できない)が他のモードと同列で入っていることが良くないと思うのです。
確かにモード1〜3の切替によって必要なニーズのほとんどは満たせるのですが、だからといってそれを横並びで配置することが最適解だとは言えないのではないでしょうか。このカメラを買うくらいの人にとっては、OVF/EVFの切替とLCD表示の切替を独立して(意識的に)設定できる方がよりベターなのではないかということなのです。
ま、モード1しか使わないと割り切ってViewModeボタンには一切触らなければいいっちゃいいんですけどね...。
・OVFを使って撮影した後、自動的にEVFに切り替わって撮影画像の確認ができます。でもEVFは小さいのでLCDで確認しようと顔を離してもLCDには撮影画像が表示されていません(撮影画像表示時間が1.5秒もしくは3秒の場合)。なぜかというと、撮影後についEVFでの撮影画像表示を見てしまって、その後LCDを見ても既に3秒たってしまっているわけです。設定で撮影画像表示を“連続”にしておけばよいのですが、そうするとシャッターの半押し/あるいはMenu/OKボタンを押さないと表示が消えません。
要するに3秒よりも長い表示時間の設定があればよいわけです。LCDでフレーミングして撮る場合は3秒でも良いと思うのですが、ファインダーを前提にするならばせめて5〜7秒は欲しいなぁと。
・EVFの表示が思ったほど綺麗ではありませんでした。これはあまり明るくはない室内でしか使っていないからかもしれません。明るいところだったら綺麗なのかも。とは言え、EVFだと薄暗い中でもハッキリ見えるので便利ですけどね。
・Menu/OKボタンが非常に押しにくいです。ちゃんと押したつもりなのにコマンドダイヤルの方を押してしまったということが多々あります。こればかりはファームウェアアップデートでは何ともならないので諦めるしかないですが、もうちょっと使いやすく作って欲しかった。
・絞り環のトルクとかフィーリング自体は良いのですが、どうも回しづらいです。そのせいかマニュアルで撮ろうとするとカメラの持ち方がしっくり来ません。これは慣れが解決してくれるかもしれませんが…。
・マニュアルフォーカスの場合、フォーカスリングだけでピントを合わせようとすると思った以上に沢山回さなければいけないので大変です!(しかもフォーカスの変化が緩やかなので時々どっちに回せばよいのかわからなくなる)
どうやらAE/AFロックボタンで大凡のフォーカスを合わせておき、そこからフォーカスリングを使ってピント合わせをするとよいらしいのですが、何か面倒だなぁ...。
・せっかくコマンドレバーがついているのにコマンドダイヤルの代替みたいな位置づけなので勿体ないです。Fnボタンがそうであるように、ユーザー設定で使える機能を選べたらよいのに。これはファームウェアアップデートで対応できるはずなので、是非検討してもらいたいです。
・シャッター音の選択(レンズシャッター風/フォーカルプレーン風/ミラーアップ風)ができるのはとてもよいのだけれど、設定後に実際に押してみないと音がわかりません。メニュー画面で“テスト再生”ができたら便利なのに...。ま、一回設定すれば変えないのでどうでもいいといえばどうでもよいことなのですが...。
・アダプターリングを使用して保護フィルターをつけたら純正のレンズキャップが使用できません。まあそれは仕方がないとしても、折角なので49mm用のロゴ入りレンズキャップ(フィルターのフレーム内側にはめるタイプ)を別売して欲しいです。
【3/23追記:この記事によればフィルターをつけた状態でも純正レンズキャップが使用できるとあります。あれっ?と思って確かめてみましたが、やっぱり無理です。もしかすると私が購入したマルミのフィルターよりも薄いフレームのフィルターであればつけられるのかもしれません。ちなみにアダプターリングだけを装着した状態であれば純正レンズキャップをつけることができました。】
・そして最大の問題がOVF使用時のフレームの傾き。ファインダー内の四角いフレームを基準として試し撮りした際、撮影画像が何故か傾いていました。最初は単純なフレーミングミスかと思ったのですが、何度も同じことが起こるので水準器を表示してみたところ、水準器の表示とフレームの上下の水平線の傾きが明らかにずれています。気持ち悪さを我慢して水準器に合わせて撮るとちゃんと水平がとれた撮影画像になります。初期不良かと思ってググって見たら、同じような状態の人が結構いらっしゃるみたいです。EVFの方は問題ないのでEVFを使えばよいのですが、折角のOVFなのに...。
いずれメーカーから何らかのリアクションがあると思うので、しばらく様子を見ることにします。
ちょっと使ってみた段階での不満点としてはこんなところですが、結構多いですね。一方、X100の機能で良いなぁと思うものを挙げてみると、
・(フレームの傾きは別として)OVFはクリアで綺麗!しかも表示する情報を自由に選ぶことができます!素晴らしいです!エクセレントです!
・ファインダーをのぞきながらでも様々な機能が設定できるのは便利。尤もファインダーをのぞきながら使う機能は限られているので、コマンドレバーの設定と合わせて表示機能を選べるともっと良いと思います。
・フォーカス距離と同時に被写界深度が表示されるのが(へたくそな私には)便利。
・薄暗い中でもEVFだとハッキリ見えるのでとても便利。でも個人的にはOVFの方が好きなので、(OVFの傾きが直ったら)EVFを使うケースは薄暗い場合かマクロ撮影に限られるかも。
・フィルムシミュレーションは面白そう!外で撮影する機会には是非試してみたいです!
・マクロモードの際にフォーカス部分を拡大表示できるのはとても便利。
・RAWボタンが独立でついているためいちいちメニュー画面で設定し直さなくて良いので便利。
・(使ってみないとわかりませんが)ダイナミックレンジを変更できるのは便利なような気がします。
何か不満点の方が多くなってしまいましたが、X100自体はとても気に入っているので誤解の無きよう。気に入っているものほど細かいところが気になってしまうということです。
まだX100を入れる汎用カメラケースが入手できていないので外には持ち出していませんが、早く外で撮影してみたいなぁ!