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audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

Technics SC-C50の導入 #3

SC-C50の音についての感想を書く前に、SC-C50のスピーカー構成について触れておきましょう。


【スピーカー構成】

◆フロントスピーカー(L/C/R)
形式:2ウェイ、2スピーカーシステム(密閉方式)
ウーハー:6.5cm×1/ch、コーン型
ツィーター: 1.6cm×1/ch、ドーム型

◆サブウーハー
形式:1ウェイ、1スピーカーシステム(バスレフ方式)
サブウーハー:12cm×1/ch、コーン型

※L/C/Rはそれぞれ20W、サブウーハーは40Wの、計4つのフルデジタルアンプで駆動


SC-C50の前面バッフルは見ての通り円弧になっていて、L/Rスピーカー(2way同軸/ホーン)は真正面から60°の角度で配置されています(つまりL/Rのスピーカーの挟み角は120°)。


この構造が小さな筐体(幅375mm。ちなみにX88は359mm)でありながら音の拡がりを表現できる最大の要因ですが、L/Rのスピーカーはホーン構造で指向性が強いため、この2つのスピーカーだけだと通常の平面配置の2chに比べて左右の角度のきつい位置では円弧状のバッフル面に邪魔されて反対側のchの音が聞こえにくくなります。

この問題をセンタースピーカーでL/Rのミックス音を再生することで解決しているわけですね。


L/RスピーカーとCスピーカーの設置位置の違いによる時間差の補正や、フロントスピーカーとサブウーハーとの時間差の補正などの話はPhile Webの開発者インタビューに詳しく載っていますので、興味のある方はぜひご覧下さい。


www.phileweb.com


我が家ではリビングのソファーに寝転んだ時の頭の位置が正面に来るようにSC-C50を設置しましたが、リビングの中を動き回ってもそれなりに音場が感じられるのは結構凄いなと思いました。

SC-C50の左方向(ほぼ真横)にあるキッチンにいても多少なりとも音場感が感じられるのは、X88とは段違いです!



さて、前置きがちょっと長くなってしまいましたが、肝心の音について感想を書き留めておきましょう。

土曜日の14時頃から音出しを開始。最初の頃は全体的に音が固くてキツい感じだったものの、時間が経つにつれて段々と音が解れてきました。この感想を書いているのはエージング時間が10時間くらいの時点(日曜のお昼過ぎ)ですが、朝に比べても音が良くなっている(柔らかさが出てきている)感じがするので、最終的にはこの感想よりももっと良い音になるのではないかと思います。


■X88との比較

  • 音場が広いのは勿論なんだけど、自然な感じなのがとても好印象。この自然さって、上で書いた構造上の違いだけでは無く、響きとかの細かな音の情報が生み出す音の拡がり感が大きいような気がする
  • X88で感じる余裕のなさ(例えば、低音を無理に出している感じ)はほとんど感じない
  • 音の質感が1クラス以上高い感じ〜数万円のイヤホンと10万円オーバーのイヤホンとの差、あるいは数十万円のオーディオシステムと100万円オーバーのシステムの質感の差
  • X88に比べると低音の量感はあるし質感も自然。ただBGM用途が主なのでBOSEの様に低音の伸びがもう少しあっても良いかな
  • 一つ一つの音がキレイ(ピュア)で、透明感のある音も表現できる。SPユニットやアンプの違いが大きいとは思うけど、システムのS/N比の高さもかなり影響していると思う


■オーディオシステムとしての印象

  • メインのオーディオシステムと比べれば勿論レベルが違うんだけど、ヴァイオリンやピアノの音がちゃんとしたオーディオシステムっぽく聞こえるのが凄い
  • それって、ただ音が鳴っているのでは無くって、楽器の音とか演奏のニュアンスが(多少なりとも)感じられるからだと思う
  • つまり(S/N比が良いことも奏功し)表現できる情報量が意外に多く、解像力もそこそこあるということ
  • (不十分ながらも)ここまで音の透明感やしなやかさが表現できるとは思ってもいなかった
  • (頑張ってはいるけど)音量を上げるにつれて五月蠅い感じが徐々に出てくる
  • (頑張ってはいるけど)低音の深さや量感には少し物足りなさを感じる
  • (これは仕方がないと思うけど)本当に低音が多い楽曲を音量をそこそこ上げて再生すると(ノイズは出ないものの)頭打ちになる
  • デジタル領域でのコントロールが優れている点、ユニット口径が小さい点により、全域での音のタイミングが合っているし、立ち上がり/立ち下がりのスピード感がある
  • 温度感はニュートラルかな
  • 個々の楽器がサウンドステージ上の前後左右に配置されて聞こえるというレベルでは(当然ながら)無いにしても、左右方向の楽器の位置くらいは分離して聞こえる


X88は「満足できる音」の最低限の水準に満たなかったけど、SC-C50は何とかクリアしているので、音への不満にイライラすることなく音楽を楽しむことができます。個人的にはそれがとっても大きい。


X88はラジカセのアップグレード版だとしか思えないけど、SC-C50はオーディオシステムと呼んでいいレベルにはある思います。これまで数機種しか聴いたこと無いので一概には言えないのですが、同価格帯のミニコン/シスコンよりも音の質感は高いのではないでしょうか。

劣るとしたらスピーカーの口径差による低音の量感、そしてスピーカーを離して設置することによる音場の左右の大きさだけど、それ以外は、少なくとも音の質感に関しては優れていると思います。


次回(最終回)はこれまで紹介していない機能や感想/不満点などについて書く予定です。


〜もう1回だけつづく