前編から随分時間が経ってしまいましたが、AK70の試聴感想を書き留めておきたいと思います。
購入直後の第一印象はあまり良くありませんでした。音はほぐれないし低音もイマイチだし...。それまで使っていたSonyのA35の方が良く思えたくらいです。とは言えこの音がAK70の実力とはさらさら思わなかったので、毎日12時間のエージング(帰宅してから翌朝まで、同じアルバムをリピート再生する。できるだけ音数の多いアルバムを毎日選定)を5日間連続で実施。その期間中の何日かは会社でも使ったので、大体70時間くらいのエージングを実施したと思います。以下はその状態での感想です。
なお比較対象はA35(DSEE HX、DCフェーズリニアライザー、イコライザーは全てOFF)で、使用したイヤホンはRHA T20です。
- 背景が静か。A35でノイズが聞こえるというわけでは無いのだが、AK70の方が静けさが深いので、A35よりもS/N比が高いように思う(AK70はアンバランス端子で116dBだけど、A35のS/N比は見つかりませんでした)。
- ニュートラルよりも若干温度感が高い(ウォーム)。対してA35は若干クールに聞こえる。
- 中低域の音の厚みがある。
- 低音が太く、密度感も高い。
- 高音は素直に良く伸びている感じ。A35の方はちょっと高音が耳につく感じ。
- A35よりも音が少し有機的な感じ(しなやかさがある)。特に弦楽器でそう感じる。
- 低音のダンピングがA35よりも効いていて、低音自体も深い。
- サウンドステージはAK70の方がやや大きい。
- 一つ一つの楽器の音の分離感(解像力)がやや良い。
- 情報量に関しては差があるようには感じなかった。
スペック的にはAK70の方がA35より若干優れているように思うけど、それよりも、周波数バランス、音の厚み、温度感の違いによる聞こえ方の差の方が大きいです。個人的な好みはAK70の方ですね。
ハイエンドのDAPを聞いたことがないのでAK70の音がどの程度のものなのかわかりませんが、ベッドサイドのヘッドフォンオーディオシステムと比較しても結構良い勝負をしていると思うので、それなりに水準は高いと思います。
AK70とA35だと価格差が倍くらいあるのでAK70の方が音が良くて然るべきだと思いますが、じゃあA35がAK70の半分くらいかといえばそんなことは全く無くて、個人的感覚ではAK70を100点だとすると、A35は80点くらいはつけられると思いました。
さらに言うなら、A35のDSEE HXとDCフェーズリニアライザーをONにするとその差はもっと縮まるわけで、DSEE HXは明らかに高域の精細さがアップし、響きも増えてサウンドステージの存在感が増すし(ただし効果が不自然に感じる曲もある)、DCフェーズリニアライザーは低域の力強さが増して質感も良くなるので、合わせて90点くらいにはなるかと。
そういう意味では「音だけならA35は決して悪くない」とAK70と比較してみて感じた次第。でもやっぱりあのタッチパネルの反応の悪さには辟易するので、個人的にはAK70に買い替えて正解でした。
最後に、AK70の操作性について少し触れておきます。
- ボリュームがきめ細かいので適音量に調整しやすいのだが、音量を大きく動かすにはノブを沢山回さなければならないのが面倒だと思っていたところ、実はボリュームを回した際に表示される音量画面を上に動かせば素早く音量が上がり、下に動かせば素早く音量が下がることがわかったので、面倒さは解消。
- タッチパネルの反応が抜群に速いというわけではないのだが、イラッとさせないぐらいには速いので操作性は良いと思う。電源オフからの立ち上がり時間もA35より速いので嬉しい。
- ケースに入れた状態での手探り操作だと、左サイドのボタンが操作しづらい。もっと正確に言うなら、ボタンの位置はわかるのだが指がさわっているボタンがどのボタンなのか判別がつかない。指を上下に動かして一番上のボタン(もしくは下のボタン)の位置を確認し、それを基準に操作しなければならないのが面倒。そのうち真ん中の再生/一時停止ボタンの部分を加工して判別しやすいようにする予定。
- ケースをつけると、ケースと液晶面に段差が出来るため、液晶上部をプルダウンして設定画面を出すのが(指がケースに当たって)非常にやりづらい。最初はもの凄くイライラしたが、何度も使っているうちに、指を少しの間だけ最上部に触れたままにしておくと設定画面が出てくることがわかった。つまり最初からプルダウンするのではなく、指を置いて設定画面が出てきてからプルダウンする感じ。これだとイライラせずに操作できます。
- 電池の持ちはあまり良くないので、現状(毎日数時間使用)の使い方だと、3日に1回は充電している感じ。使い終わった後はこまめに電源をOFFにしてるけど、それを忘れてスタンバイ状態のままにしておくと電池の減りはさらに激しいです。ちなみにPCのUSB端子で充電しながら使用する状態では、バッテリー残量はほとんど増えません。