memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

私のオーディオ遍歴〜第1期


私が最初にステレオに目覚めたのは、SONY スカイセンサー ICF5500AのMPX端子にステレオヘッドフォンアダプターをつないで聞いたベートーベンの第九〜喜びの歌〜でした。確かクリスマスプレゼントにステレオヘッドフォンアダプターとヘッドフォンを買って(注文して)もらい、届いた日の夜にこたつに入りながらNHK-FMで聞いたのが第九だったのだと思います。今と違ってその当時のFMはステレオ放送が一部の音楽番組に限定されていたように思うけど、どうだったかな。


まあ細かな経緯はさておいて、その時の衝撃〜左右から違う音が聞こえる〜は、今でも記憶に残っており、それが後にオーディオに嵌まるきっかけとなったことは間違いありません。


その後、高校の入学祝いにステレオコンポを買ってもらい、そこから私のオーディオ遍歴が始まりました。ちなみに当時買ってもらった機器のデザインは憶えているけど、型番まで憶えていたのはカートリッジとデッキだけだったので、ネットで検索してようやく全容を特定。
※以下の写真は“オーディオの足跡”様より拝借しました。


SONY PS-4750(アナログプレーヤー)


◆Technics EPC-205C-II(カートリッジ)


◆Pioneer TX-8900(チューナー)

※もしかすると8800だったかもしれない。


◆Pioneer CT-9(カセットデッキ


◆Pioneer SA-8900(プリメインアンプ)


◆Pioneer CS-T66(スピーカー)


※ラックはパイオニアのもの(8800/8900シリーズの純正ラック)を購入しましたが、特定には至りませんでした。


こうして振り返ってみると、ほぼパイオニアで揃えていますね。なぜそうしたのか明確な理由を思い出せませんが、カセットデッキはCT-9が欲しかった記憶があるので(エアチェックしたカセットテープが中心ソースだったので、カセットデッキを何にするかはとても重要だった)、それ故パイオニアで揃えたのかもしれません。本当はヤマハのCA-800、CT-800で組みたかったけど、ヤマハで揃えると明らかに予算オーバーになるから諦めました。
当時の情報ソースはカタログ(メーカーにはがきを送って取り寄せた)とFM雑誌(私はFM fan派だった)だけで、比較試聴レポートなんてほとんど読んだことがなかったように思うし、(カートリッジは別として)このクラス(価格帯)のコンポの場合は同じメーカーの単品を組み合わせるのが主流だったように思います。(尤も私がそう思い込んでいただけかもしれませんが...)


ではアナログプレーヤーがSONYで、カートリッジがテクニクスなのは何故か。それはこの2つが欲しかったからという単純な理由です。つまりCT-9を含めた3機種は明確な指名買いで、それ以外は当時の(パイオニアの)最新モデルからデザインと価格帯を考慮して選んだのでしょう。
ちなみにSONY PS-4750を選んだ理由は近未来的(だと感じた)デザイン、吸盤でレコードの振動を抑えるというギミックに惹かれたからで、Technics EPC-205C-IIを選んだ理由は、確か雑誌記事での評判が良かったからだったと思います。CT-9は高性能だったこととカセットカバーの曲線がカッコ良かったからかな。今もそうですが、当時もやはりデザイン(個性の強さ)を重要視していたようです。スピーカーのCS-T66のデザインもメカっぽくって結構気に入っていたような...。


とある日曜日。父に連れられて家から随分離れた町の小さな電気屋に行き(パイオニア製品が安く買えると、会社もしくは取引先の人に紹介してもらったらしい)、カタログを見ながら型番を指定して注文。それから父がキャッシュで代金を払ったのですが(全部で30万円台の前半だったと思う)、その時の父は随分カッコ良く見えたものです。
そして次の日曜日に電気屋さんが自宅に届けてくれたました。プレーヤーとカートリッジ(つまりはパイオニア製品以外)は数日遅れて届いた気がするけど、そのあたりの細かな記憶はあやふやですね。


音についても明確には憶えていませんが、低音が凄いなと感じた記憶があります。それまではラジカセがメイン機器だったので当然と言えば当然ですが、今思えば随分緩い低音でした。スピーカーはレンガだかブロックの上に置いた気がするものの、(狭い部屋なので)スピーカーとラックは壁にできるだけくっつけて配置してましたから、今聞けばきっと酷いバランスの音だったに違いありません。でもまあ、音の良し悪しなんてほとんどわからないので(評価する基準を持っていないので)、仕方ありませんね。


その代わりというのも変ですが、「音」ではなくてちゃんと「音楽」を聴いていました。当時持っていた数少ないレコードはほとんどロック/プログレだった故、ついつい大音量で聞いて随分親に怒られた記憶がありますが、もしかすると私の人生の中で一番大音量で聞いていた時期だったかもしれません。


結局そのシステムは高校〜大学〜社会人の3年目まで10年弱ほど使うことになるのですが、大学4回生の時に「ステレオの音」というものを強く意識させられる出来事が起こります。


大学は地元(父が転勤族だったのでその時に住んでいた地域という意味)を選んだので、毎日自宅(福岡市南区長住)からバスを乗り継いで通っていました。教養学部は六本松だったからさして時間はかからなかったものの、学部は箱崎にあったので通学に1時間強かかりました。


そんな事情もあり、大学4回生の1年間だけ学部キャンパスの近くにアパートを借りて一人暮らしをさせてもらえることになりました。正確に記すと、大学3回生の終わり頃に「残り1年間一人暮らしをするか、安いクルマを買うか、どちらか選んで良い」と父から言われたので、迷わず一人暮らしを選んだ次第。当時はアーチェリーに熱中していたので、大学の射場の近くに住みたかったのです。


アパートと言っても安普請ではないちゃんとした部屋で、家賃も35,000円(1DK)と当時としては高い方だったと思います。冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、鍋・包丁と食器、ライティングビューロー、チェスト、寝具一式、カーテンを母が揃えてくれ(ちなみにライティングビューローとチェストは今でも使っています)、私が持ち込んだのは、アーチェリー用具、ステレオ、レコード・カセット、本、衣服くらいでした。テレビは買いませんでしたが、そのことを不便だとか寂しいと思ったことは一度も無かったように思います。そもそも部屋にいる時間が少なかったですからね。


夜は毎日のように大学のアーチェリー部の誰かの部屋にたむろしていましたが、ある時聞かせてもらったステレオ(日本のメーカーのシステムコンポだったがメーカー名は憶えていない)の音を聴いた時、うちのステレオと鳴り方が随分違うと感じたのです。
確かVivaldiの四季を聞いたのだと思うけど、左右のスピーカーの間に楽器が定位し、音の動きが明確に感じられました。つまり「ステレオ感(今で言うサウンドステージの平面的なもの)」が強く感じられたのです。片や自分のステレオは音がゴチャッとしていてステレオ感も乏しく、機器が違うとこんなにも音が違うのかと衝撃を受けました。尤も、負けず嫌いなので口には出しませんでしたが。


そしてその経験が、3年後のステレオシステムの買い替えにつながります。


(第2期に続く予定)