memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

HIFIMAN GoldenWave PRELUDE ②:導入直後の試聴感想、そしてトラブル発生について

1月31日に到着したPRELUDEは、毎日14〜15時間のエージングを行なっています。
できれば24時間連続で行いたいところなのですが、「24時間以上の連続稼働は製品寿命を縮める恐れがあるので避けるように」との注意書きが書いてあったので、その指示に従っています。
A級回路で常にフルバイアスがかかっている故の注意だと思うけど、態々書いてあると言うことは過去に長時間の連続稼動によるトラブルがあったからかもしれないので、ここは素直に従うことにしました。

お昼くらいからシステムエンハンサーを流し始め、23時半くらいから音楽を聴きながら就寝し、大体2時から3時くらいにヘッドホンが鬱陶しくなって目が覚めるのでヘッドホンを外すタイミングでPRELUDEの電源を切る、というサイクルでエージングを実施しています。
現時点でのエージング時間は50時間を超えたくらいですかね。

31日の夜(エージング12時間時点)に初めて聴いた時の感想は次の通りです。
ちなみに使用したヘッドホンはHD800でGeekria Apollo 6Nによるバランス接続(4.4mm端子)、K9 Pro ESSとPRELUDEの間はZonotone 7N AC-Neo Grandio 10Hiによるバランス接続です。



  • 音の線は若干太いものの一つ一つの音が明らかに力強くなり、これまでさほど気に留まらなかった音に意識が向くようになった
  • それは特に低音で顕著で、ジャズトリオのベースの存在感が明らかに強まった
  • ノイズフロアの低さ、情報量や解像力に変化は感じない
  • 音色はK9 Pro ESSに比べると僅かに暖色寄り
  • 一つ一つの音の純度がさらに上がった感じがする

HD800って俯瞰的、分析的な音だと思ってたけど、PRELUDEを通すとこれまでよりもエネルギッシュで熱い音で鳴っています!
「高い買物だったけど、買ってよかった♪」と思いました。


それから毎晩ヘッドホンを取っ替え引っ替えして試聴したのですが(XLR 3pin×2 のバランス接続が使えるようになったのでbeyerdynamic T1を引っ張り出してきて4台体制で試聴)、思ってもみなかったトラブルが発生しました。

PRELUDEを導入したきっかけは「HD800を鳴らし切れていないのではないか」という疑問を抱いたからで、その発端は光LAN導入後、Edition8は過去最高の音で鳴っているのにHD800とMDR-MV1(どちらも開放型)がうまく鳴ってくれないからでした。

その時の感想はこうでした。

当然MV1も良い音で鳴ってくれるに違いないと思っていました。
ところが鳴らしてみるとなんかパッとしない音なんですよね。
光LANの効果はちゃんと出ていて、情報量や解像力は以前より上がっているんだけれど、高音・中音・低音のバランスが微妙に気持ち悪い感じ。
Bill Evansのピアノはイメージ通りで気持ちよく聴けるけどKeith Jarrettのピアノには少し違和感を感じたり、ボーカルが入った楽曲でのボーカルの力強さが今一つだったり...。
そこで今度はSennheiser HD800を繋いで聴いてみたのですが、MV1と同様、音のバランスが微妙に悪い感じがします。
高音は抜けきっておらず、中音は少しもっさり感があるため、音にキレがないというか粒立ちが悪いというか、なんかそんな感じ。
Isabelle Faustのヴァイオリンソロの音も、音の襞の深さが浅くなってあっさりした音になっています。


もしかしたら光LANを外せば元の音に戻るかもしれないけど、光LANによるノイズアイソレーションの効果を手放したくなかったので光LANを使う前提での対策を考えることとし、その答えがアンプの強化〜PRELUDEの導入だったわけです。

しかしながら初日は気が付かなかったけど、2日目、3日目と試聴を進めるにつれて段々と違和感を感じ始めました。
アンプをPRELUDEに替えても、HD800とMV1で感じていた高音・中音・低音のバランスの悪さは根本的には解決されていないのではないかと...。
一音一音の力強さが増しているから分かりにくかったけど、相対的なバランスで言うとやっぱり中音(特にボーカル帯域)が不自然に聴こえます。
特に女性ボーカルで顕著で、本来の位置よりも奥に引っ込んだ感じになってプレゼンスが弱いのです。
ところがEdition8だとそんなことは全く無く、ボーカルが前に出てきて歌声も力強いので、要するにK9 Pro ESSで鳴らしていた時の問題点は解決できていないような...。

でも不思議なのはEdition8だと何故かバランスの悪さを全く感じないこと。
最初は「高音のインパクトが強いサウンドバランス」「密閉型である」という2つが原因だと考えていましたが、実はそれ以外に原因と思しきものがもう一つあることに気がつきました。
それはHD800とMV1のヘッドホンケーブルがバランス接続ケーブルなのに対し、Edition8はアンバランス接続であること。

これに気がついたのが昨日(正確には今日)の深夜1時くらいで、手っ取り早く検証する方法はないかと考えた結果、K9 Pro ESSとPRELUDEとの間をバランス接続ではなくてアンバランス接続してみることにしました。
K9 Pro ESSとPRELUDEの内部回路はどちらもフルバランス構成なので、バランスケーブルで接続するとヘッドホン出力までフルバランス構成となります。
もしHD800にはバランスケーブルを使用したままで、K9 Pro ESSとPRELUDEとの間をアンバランス接続にした場合にボーカルが引っ込む感じが無くなるとしたら、原因はPRELUDEまでのバランス接続にあることになります。
そして結果はと言うと、アンバランス接続にするとボーカルが前に出てきたのです!
すでに時間も遅いので原因究明は翌日行うこととし、耳も疲れたのでその日はそのまま就寝。

そして本日午前中に原因究明作業を開始。
何が原因なのか分からないので一旦機器構成を素の状態に戻すことにし、信号系のアクセサリー類は全て外しました。
バランスケーブル(2日目以降はWireWorldのSuperEclipseを極性反転プラグを使用して接続していた)もZonotone 7N AC-Neo Grandioに交換し、この状態で音を確認してまだボーカルが引っ込んだままだったとしたらK9 Pro ESSの内部回路(バランス出力)に問題がある蓋然性が大です。
※SuperEclipseは3番HOT→2番HOTの特注ケーブルのため極性反転プラグを使っています。ぶっちゃけ、使用有無による音の違いは私にはわからなかったけど、極性が反転したままだとなんか気持ち悪いので...。

K9 Pro ESSが原因だとしたら面倒だなと思いつつ音を聴いてみると、昨夜の違和感はすっかり消えてバランス接続でもボーカルが前に出てきました!
つまり原因はケーブルもしくは外したアクセサリー類にあるわけです。

ちょっとホッとしつつ、次にアクセサリー類を一つずつ接続して音を確かめましたが、結果は全て問題なし。
となるとケーブルが原因としか考えられませんが、WireWorldを昨夜と同じように接続して音出ししてみたところ、何とボーカルの違和感はなく普通に聴こえるではありませんか!
つまりケーブル自体にも問題は無かったことになるので、考えられる原因としてはケーブルの接触不良くらいしか思いつきません。
大山鳴動して鼠一匹ですね...(^^;;
※初日に違和感を感じなかったのは気が付かなかったからではなくケーブルの接触不良が起きていなかったから?その後バランスケーブルをWireWorldに交換した際に接触不良が起きたと考えると辻褄は合うのだけど、業務用のXLR端子での接触不良というのは何か釈然としないですね。

なお違和感が解消したHD800の音は高音も伸びているし音の粒立ちも良いので、K9 Pro ESSで聴いていた時に感じた違和感と今回の件は別の問題だったようです。
思い込みって怖いですね。


今回の原因究明作業の過程で色々試してみたのですが、確認できたことがいくつかあったので書き留めておきます。

  • これは東京のヘッドホンシステムでも感じていたことだけど、DACとヘッドホンアンプの接続方式(バランス、アンバランス)によって音がかなり変わることを再確認した。PRELUDEにおいては、バンランス接続の場合は音の広がりが大きく一つ一つの音が力強く感じるが、アンバランス接続だと広がりはやや狭くなるけれどボーカルの存在感が高まってまとまりが良くなる。
  • 東京のシステムよりもケーブルによる音の違い(WireWorldとZONOTONEの違い、CardasとNBSの違い)がわかりやすい。
  • PRELUDEは115V昇圧トランスに繋ぐよりもMTB-4(コンセントボックス)経由で100V給電した方が僅かながら音がクリアになる。
  • ELSOUND DC電源とZEN Streamの間で使っていたFX-AUDIO Petit Susie DC電源ノイズクリーナーは無い方が良い気がする。

これ以外にPRELUDEの4.4mmヘッドホン端子は挿し方によって接触不良が起きやすいので(今回の違和感の原因で無いことは確認済み)、バランス接続の場合はXLR 3pin×2もしくはXLR 4pin端子を使った方が良さそうということもわかりました。
またHD800を接続するバランスケーブルの違いによる音の変化も大きく、現在はGeekria Apollo 6N(4.4mm)ではなく以前使っていたFURUTECH iHP-35Hx-XLR(XLR 3pin×2)を使用しています。


最後にもう一つ書いておかなければならないことがあります。
HD800は就寝時に横になりながら使うには筐体が大きいので代わりになるヘッドホンとしてMDR-MV1を導入しましたが、HD800、Edition8、T1、MV1の4台を取っ替え引っ替え使用した中、MV1だけが明らかに音のクオリティが低いことが気になりました。
K9 Pro ESSで使っていた時はそこまで気にならなかった(許容範囲だった)けど、PRELUDEで聴くと他の3台との差が大きすぎて使う気にならなくなってしまいました。
今となってはクラシカルな機種ではあるものの一時は各ブランドのトップクラスだった3機種が相手だけに、それらと肩を並べるだけの力は残念ながらMV1にはなかったわけです。

と言うことでMV1は売却することにしました。
今ならまだホットな機種なのでそこそこの買取額(購入時の半額弱)になるみたいなので。
MV1の代わりに新たなヘッドホンを導入するかどうかは未定だけど、筐体が小さくて音が良い開放型ヘッドホンを探すのは諦めました(見つからなさそうなので)。
もし導入する場合は筐体の大きさは不問にし、音質重視で選びたいと思います。


なおPRELUDEのエージングは今日以降も続けるつもりで、最終的な試聴レビューはエージングが終わった段階(とりあえず100時間目処)で上げる予定です。