連休の間に手持ちのヘッドフォンとの聞き比べをしようと思っていたのですが、結果的には時間がとれず、十分な聞き比べはできませんでした。
とは言うものの、Edition8は睡眠導入剤代わりに毎日使っているし、ちょっとだけ比較試聴はしたので、とりあえず感想などを書き留めておきます。
◆使用感について
ポータブルにも使える設計故に(ESW9程ではないけど)パッドが小さく、また側圧もやや強めのため、長時間使っていると耳のあたりが痛くなります。使い込んでいくと側圧は多少弱まるのではないかと期待していますが、現時点では連続2時間が限度。
反面、パッドが小さいが故、ベッドに仰向けに寝ながら使用する際のパッドと枕の干渉が少ない点はGood。これで側圧が弱まってくれば最高なのですが。
◆音について
低音はタイトでスピード感があります。量感も十分。DT990よりも低い音まで聞こえるところが凄い!
お店で試聴した際には低音の印象が強かったのですが、自宅で聞いているうちに高音の素晴らしさにも気がつきました。余計な響きを付加することなく、繊細かつ緻密な音を奏でてくれます。
ARIAサウンドトラックでピアノの音を比較してみたのですが、W1000Xは本来ソースに入っている響きに加えてW1000X自体の(ウッドハウジングの)響きが乗っていることが明確にわかります。DT990は固有の響きは乗っていませんが、E8に比べて響きの情報が少なく、また全体として精細さと緻密さにかけています。E8は若干クールな感じはあるけれども、オーディオスペック的には文句なしです。
ピアノの音だけ比べると、E8>>W1000X>DT990という感じですね。
中音は強力な低音に埋もれることなく、クリアな音を奏でてくれますが、低音、高音の存在感と比べるとやや控えめ。ていうか、E8って明らかに低音と高音が強調されて(周波数特性的に盛り上がって)ますよね? 悪く言えばドンシャリ的特性だと思いますが、モニターヘッドフォンじゃないんだから、聴いていて気持ちが良ければそれで良いのです。
そんなわけで、ROCK、POPS、JAZZに関しては概ねE8の音が最も優れており、かつ気持ちが良いと思いますが、クラシックに関しては全く違った結果でした。この音はちょっとダメかなぁ...。
一番の問題点は弦楽器〜特にヴァイオリンの音がソリッドな感じでややもするとヒステリックに聞こえてしまうところ。情報量自体は多いのですが、如何せん気持ちよくない。
またサウンドステージが広くない(狭い)ので、大編成だと(混濁はしていないのですが)ごちゃごちゃした感が強く、これもまた気持ちよさをスポイルしてしまっています。
クラシックに関してはW1000Xが聴いていて一番気持が良いですね。DT990はサウンドステージは一番広くて良いのですが、E8やW1000Xに比べると一つ一つの音がやや雑に感じます。やっぱりT1に買い替えたいなぁ...(^_^;)
上でも触れたようにサウンドステージは狭く、特に前後の奥行き方向が狭いように感じます。サウンドステージの広さで言うと、DT990>W1000X>E8ですね。
またボーカル/楽器のセンター定位がビシッと決まらず、やや揺らいでいるように感じる時があります。これがULTRASONE独自のS-Logic Plusのせいなのかどうなのかはわかりませんが、不思議なことにm902のXfeed(クロスフィード)機能をONにするとほとんど気にならなくなります。
書きながら思ったのですが、E8ってある意味“音のルーペ”かもしれません。情報量/解像度が高く、また楽器の位置が耳に近い故に、聞きたい音にフォーカスを当てると音の細かな表情まで聞き取れるんですよね。それだけ性能が高いということなのですが、クール寄りの固い音色とサウンドステージの狭さが、ことクラシックに関しては足を引っ張っているように思えます。
このあたりは、E8と同じく情報量/解像度が高いにもかかわらず、クラシック再生に秀でるSTAXとは真逆なところが面白いです。(無論、ROCK/POPSは圧倒的にE8の方が優れているわけですが...)
現時点の感想としてはこんなところ。
もともとROCK/POPS用に購入したので割り切ってはいますが、ヴァイオリンの音色に関してはちょっと残念だなぁ。
現在m902の電源ケーブルにはMIT ORACLE AC1を使用していますが、近いうちにCARDAS GOLDEN REFERENCEに交換してみて、音色の変化〜柔らかさが出せるかどうかを確かめてみようと思います。