6月16日から運用を開始してから2週間経過したSynology DS224+。
先日のブログに書いた通り、想像していた以上に転送速度が遅かったので、色々調べたり、設定を変更して試したりした結果、当初よりも速度アップすることができたので書き留めておきます。
まず最初にDS224+とMacBook Pro(M1 pro/14inch/2021)との接続環境についてまとめておくとこんな感じ。
MacBook Pro:802.11ax/最大PHYデータレート1200Mbps(150MB/s)↓ 1200Mbps(150MB/s)
Synology WRX560:802.11ax 5GHz: 2400Mbps(300MB/s)
↓ 1000Mbps(125MB/s)※2本のLANケーブルで接続してリンクアグリゲーションを設定
Synology DS224+:Synology HAT3300-4T x2/最大持続転送速度:1616Mbps(202MB/s) ※RAID1
MacBook ProとAPの WRX560とのリンクスピードはMacBook Proの上限速度である1200Mbps(150MB/s)で接続できていますが、 WRX560とDS224+との間はギガビットイーサーなので最大1000Mbps(125MB/s)となります。
WRX560とDS224+との接続にはLANケーブルを2本使い、2本を束ねて使用するリンクアグリゲーションを設定していますが、これは転送速度が上がるわけではなくて転送帯域が倍になるだけなので、転送速度は1000Mbpsと変わりません。
※道路に例えると、片側1車線の道が2車線になる感じ。車線の制限スピードは変わらないけど2車線なので同時に転送できるデータ量が倍になります。
※MacBook ProだけDS224+に接続する際には意味がないけど、MacBook ProとiPad Proの2台を同時に接続してデータ転送する場合にはそれぞれの転送速度が落ちないというメリットがあります。
そしてDS224+内蔵のHDDは最大持続転送速度が1616Mbps(202MB/s)なので、MacBook ProからDS224+にデータ転送する場合のボトルネックはHDDではなく、WRX560とDS224+を繋ぐLANの速度 1000Mbps(125MB/s)になります。
※飽くまでデータをシーケンシャルで書き込む場合の理論最大速度です。
この設定での実際の転送速度をAmorphousDiskMark4.0.1で計測した結果(3回計測)はこうなりました。
【参考:MacBook Pro 内蔵SSDの速度】
PCの測定をする場合はQD1(Que Depth=1)を見るのが実際に近いとのことなのでQD1のシーケンシャル書き込み速度を見ると、
- 1回目:31.74MB/s(254Mbps)
- 2回目:11.50MB/s(92Mbps)
- 3回目:18.75MB/s(150Mbps)
と大きなバラツキがありますが、概ね数十MB/sくらいですかね。
これがランダムの書き込み速度になると0.41MB/s(3.28Mbps)、1.25MB/s(10Mbps)、0.39MB/s(3.12Mbps)と一気に遅くなります。
先日CDを3枚リッピングした際のざっくりしたアップロード速度は安定状態で上限が30MB/sくらいだったから、シーケンシャル書き込みの結果は納得感があります。
※別の日にCDを1枚リッピングした際には何と12分もかかったので、原因はわからないけど書き込み速度のバラツキが非常に大きいです。
でも(飽くまで理論上ではあるけど)ボトルネックであるLANの速度は125MB/sなのだから、実際の書き込み速度との乖離が大き過ぎるような...。
ちなみにMacBook Proの場合はSMB(Server Message Block)プロトコルでDS224+と通信するのですが、調べてみたところMacOSのSMB転送速度が遅いことが以前から問題になっているようでした。
※Intelチップを使っていた時はそれ程でもなかったみたいだけど(SMBに関するノウハウがあった)、M1チップに切り替えてからいきなり遅くなったみたいで、OSのバージョンが上がると解消されるかと思いきや、むしろ悪化していると言う意見もありました。
※ちなみに昔はAFSプロトコルを使っていましたが(今も使おうと思えば使える)、他社機器との互換性を考慮してSMBに変更したみたいです。やたらと独自規格を使いたがる(使いたがった)Appleの悪いところが出た感じですかね。
それから試行錯誤を行った結果辿り着いた現在の速度はこうなりました。
QD1の結果を見ると4回ともかなり近しい数値になってバラツキが減り、シーケンシャル書き込みで50MB/s弱、ランダム書き込みで1.36MB/s前後まで書き込み速度が上がりました♪
まだ物足りなさはあるけど、これ以上は打つ手(設定の仕方)を思いつかないので、これで良しとすることにしました。
速度アップのポイントは、リンクアグリゲーションを止めてSMB3 マルチチャンネルに変更したことです。
リンクアグリゲーションは複数のネットワークチャンネルを同時に使うことで帯域幅(車線数)を増やす効果でしたが、マルチチャンネルの方は速度(制限速度)を上げる効果があり、実際に速度が上がると同時に安定性(速度のバラツキの無さ)も上がりました!
※Synology NAS またはクライアントのいずれかが同じ転送速度を持つ複数のネットワーク アダプタを持っている場合は、SMB3 マルチチャンネルを有効にすることができます。ただし、ネットワーク アダプターが 1 つしかない場合でも、アダプターが受信側スケーリング (RSS) をサポートしている限り、マルチチャンネルを有効にすることができます。(Synologyナレッジセンターより引用)
なおマルチチャンネル設定はSMBプロトコルを使用する際の設定なので、HTTPを使用するiPad Proには全く影響ないのが残念。
と言うことで、MacでSynology NAS(※ネットワークポートが2つ以上ある機種)を使用する場合にはSMB3 マルチチャンネルを設定することをお薦めします。
ちなみに標準の2GBから18GBに増設したメモリの効果についてですが、私のように単にバックアップに使う場合は全く効果が無く、標準の2GBで十分でした...(^^;;
※実際には1GBも使っていないので、バックアップ目的であればメモリ1GBのDS223jでも十分だと思います。
※ただしDS223jはネットワークアダプターが1つなので、SMB3 マルチチャンネルは使えないかもしれません。
NAS上で動画を再生してクライアント機器で見る場合にはメモリ増設の効果がありそうですが、私はそういう使い方はしませんからね。
呉々も無駄な投資にはお気をつけくださいませ。