memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

ALO SXC Cryo の音

ALO SXC Cryoの使用時間も150時間を超えたので、HD650ストックケーブルとの比較をしてみました。ストックケーブルの使用時間も100時間を超えています。
現在のシステム環境は、

iPod Classic(120GB:AIFF 48KHz)>iTransport>KS-2020>SRC2496(16bit, 48KHz IN/OUT)>MADRIGAL MDC-1>Wadia521>Oyaide PA02 TX>m902

で、m902の電源ケーブルにはTransparent PLPを使用しています。



ちなみにSRC2496にはG-0経由でルビジウムクロックを供給。iTransportからWadia521に直接入れるよりはフォーカスが高まり僅かに明るめの音になります。この段階で24bit/96KHzへの変換も可能なのですが、ピアノの響きに僅かながら耳につく音が乗ってしまうため却下。

試聴は1曲ごとにALO SXCとストックケーブルを入れ替えて行いました。使用した曲はクラシック系が4曲(交響曲弦楽四重奏、ヴァイオリンソナタ、ギターソロ)、Jazz系が3曲(Bill EvansKeith Jarrettのピアノトリオ、Jacinthaのボーカル)、POPS/Rock系が3曲(PerfumeStingKing Crimson)の計10曲です。

曲ごとの感想を書くのは面倒なので、総合的な感想を書き留めておくことにします。


●HD650ストックケーブル
特徴のみを取り出して書くとするならば「柔らかくて、しなやかで、落ち着いた音」です。情報量や分解能、サウンドステージの広さといったオーディオ的スペックに関しては特に強い印象は受けませんでしたが、逆に言えば不足感を感じることもありませんでした。
良い意味でバランスのとれた纏まりのある音であり、総じてニュートラルな印象を受けました。また購入当初感じていた中域のこもり感は、今回は特に感じませんでした。
クラシックに関しては柔らかさやしなやかさがプラスに作用し、かつ色彩感を抑えた音と相俟って、何というか、あまり他では聴いたことがない“独特のサウンドイメージ”を醸し出しているように思います。よく言われる“HD650の音”というのは、このことを指しているのかもしれません。クラシックに限定するならば、正直、私はストックケーブルで充分に満足できると思いました。ていうか、ぶっちゃけ、思ったよりもいい音じゃん!という感じ。(^_^)
しかしながらPOPSやROCKでは不満が出てきます。どの曲を聴いても共通して感じる極々微妙な「カラー」あるいは「トーン」みたいなものがあるんですよね。クラシックではそれがプラスに作用していたのだと思いますが、POPSやROCKのようにアーティストによって音の世界観が大きく異なるようなジャンルでは、個々の世界観を僅かながらスポイルしてしまっているように思います。
また高域が大人しめなので、いまいちノリが良くない。もう少し荒っぽく乱暴な音が出ると良いのでしょうが、それはHD650に求める音ではないのでしょう。


●ALO SXC Cryo
ストックケーブルに比べると、ALO SXCの方はいろいろな特徴に溢れています。基本的にはストックケーブルに対する相対評価と言うことになりますが、メモから言葉を拾ってみると、「情報量が多く響きが豊か」「楽器が綺麗に分離し、それぞれの楽器の存在感が明快」「華やか」「音が綺麗」「サウンドステージが少し広い」「立体感がある」「ニュアンス、音の表情が豊か」「中高域のキレがよい」「リアル」などなど。
一方、ネガティブな言葉としては「音像が少し大きい(響きが豊かなせい?)」「良くも悪くもふわっとした感じがある」「中域が少し曇って聞こえる(これも響きのせい?)」「バスドラの力強さにやや欠ける」などなど。
これらの言葉から想像できるとおり、まずオーディオ的観点からはストックケーブルより優れていることは明らかです。響きの豊かさがややネガティブな印象に結びついてしまっている点もなくはないですが、これは全体の印象をスポイルしてしまうほどのものではありません。ストックケーブルと比較するとちょっと気になるかなぁという程度です。
次に音楽的観点からですが、モーツァルトからキング・クリムゾンまで、幅広いジャンルの音楽をそつなく楽しませてくれます。ただ、敢えて言うならば、ニュアンスの表現力が生きるアコースティック系(特に小編成のもの)が得意であり、メタル系(ここでは試聴したKing CrimsonのRedをもってメタル系と言及しています。異論はあるかもしれませんが悪しからず)では物足りなさを感じますかねぇ...。クラシックに限定するならストックケーブルと優劣はつけがたいところですが、それ以外のジャンルではALO SXCの音の方が好きです。
ただ一つだけ気になるのは(まだ気づかないだけかもしれませんが)、HD650+ALO SXCの音の世界観というか方向性というやつが今ひとつ掴みきれません。STAXは勿論のことですが、HD650+ストックケーブルには(良くも悪くも)独特の世界観みたいなものを感じとることができます。でもHD650+ALO SXCについては、それが何なのかよくわからないんですよねぇ。そこんところが少し物足りないと言えば物足りないかなぁ。


と言うわけで、総合的評価をもってALO SXCの方を常用ケーブルとして使うことに決めましたが、ストックケーブルも決して悪くはないと思いました。少なからず“あの音”を聴きたくなるような気がしています。


さて、ここしばらくヘッドフォン・フィーバーにうかされた日々が続きましたが、ここいらで一区切りつけようと思います。Zuケーブルも聴いてみたいし、DT990も手に入れたいとは思いますが、泥沼にはまりたくはないので小休止。いずれ再び熱に浮かされる日々が来るとは思いますが、今後はベクトルをピュア系の方に向ける予定。
とは言うものの、全く別の散財(近いうちに紹介します)をしてしまったりして先立つものが無いので、お金をかけない方向で取り組んでみようかと。ターゲットはiTransportの外部電源ですが、新規購入はやめにして手持ちの機材(実はすっかり忘れてしまっていたのですが、9Vと12VのDC出力ができる外部電源を持っていたんですよね)で対応することにしました。ただしDCケーブルだけはiTransport側のプラグが特殊(mini-Din3ピン)故に手持ちのケーブルを流用できないため自作することに。既に必要なパーツは発注済みで、今週の土曜日には揃う予定です。
まだ2点ほど調べなければならない点があり不安含みではありますが、ちゃんと使えると思うんですよねぇ...。まあ音が良くなるかどうかはやってみなければわかりませんが、外部電源自体は単純な構造なので(ちゃんと勉強すれば)チューンナップできるかもしれません。果たして目論見通りうまくいくでしょうか?