CARY CAD-300-SEI ③：試聴第2日

昨日に引き続きCaryの試聴です。ピアノトリオと女性ボーカルを中心にジャズのCDを何枚か聴いたのですが、試聴したCD全てについて感想を書くのはちょっと面倒なので、ピアノトリオと女性ボーカルからそれぞれ1枚ずつ代表して紹介したいと思います。

◆Keith Jarrett Trio / Standards Live

Standards Live

私がジャズに興味を持ったのはBill EvansのYou Must Believe In Spring というアルバム（その当時はLPで、たしかBill Evansの追悼アルバムとして発売されたのだと思います）をたまたま購入したのがきっかけでして、それ以来、主にピアノトリオを中心に聴きあさってきました。好きなアルバムはミュージシャンを問わず何枚もありますが、好きなピアニストとしてはBill Evans、Keith Jarrettの2人ということになるでしょうか。（そうです。私は白人ジャズピアニスト系な人です。）特にBill Evansは大好きで一時はCD（LPでないところが情けない）を片っ端から買い集めていました。
Keith JarrettはEvansからの流れで必然的にたどり着いたのですが、実はKeithについてはこのStandardsというピアノトリオものが最も好きで（最近のソロも好きですが）、特にこのアルバムはヘビーローテーションとなっています。そしてこのCDは私のリファレンスCDでもあり、自宅でシステムをいじるときの試聴では当然こと、自宅以外で試聴する場合にも必ず持って行くCDとなっています。このCDの1曲目Stella by Starlightの導入部はKeithのソロから始まるのですが、そのソロがいかに美しく聞こえるか、そしてその残響音（ホールの空気感あるいは臨場感と言ってもいいのですが）をどのように表現しているか（不思議とシステムによってこの残響音の印象が異なります）という点が、システムを構成あるいは調整する上での大きな指針となっています。前置きが長くなってしまいましたが、その印象はというと...

とても優しくて軽いタッチなのにピアノの音に芯があり1音1音が明快に区別できます。そしてその一つ一つの音が生み出した残響音がホールの中にかつて無いほど美しく漂います。それほど大きくはないホール、ややWarmな臨場感という印象です。
兎にも角にもピアノの音がもの凄く綺麗。全く不純物が入っていない程クリアに響きます。しかし、だからといって冷たくて金属的な音かというとそうではなく、柔らかさがあってほんのり温かで澄んだ音（変な表現ですが）に聞こえます。特にハンマーが弦をたたく瞬間の柔らかさの表現が見事です。導入部に関しては（お店での試聴を含めて）過去最高ではないでしょうか。
またベースの音の存在感がリアル。低音は弾力性があって気持ちいい音ですね。ただシンバルについては金属感が今ひとつといった感じです。音の立ち上がりが早いのでドラムスのインパクトはとても気持ち良いですが。

◆Jacintha/Here’s To Ben

HERE'S TO BEN (XRCD2

このアルバムはオーディオファンの中では有名なので詳しくは説明しませんが（私が持っているのはFIM版）、Jacintha向けに調整されたヴィンテージ・ノイマンの真空管マイクを使用し、2トラックテープにダイレクトでライブ録音した高音質フルアナログのレコーディングが一つの特徴となっています。

うわぁ〜、ボーカルがめちゃめちゃリアル。とんでもないですね。ボーカルの非常に細かいニュアンスがありありと聞こえてきます。拡大鏡でクローズアップして見ている、いや聴いているみたいです。
またJacinthaがボーカルに込めた情感がひしひしと伝わってきます。特に3曲目のDanny Boyは、このアルバムの中でも一番好きな曲なのですが、素晴らしいの一言です。
このアルバムが目指している音の方向性とCaryの方向性がジャストフィットしているということなのでしょうね。

このアルバム以外にも女性ボーカルものを何枚か聴きましたが、このCaryというアンプ、ボーカルが本当に得意ですね。Fillipa Jiordanoも、Diana Crallも、浜崎あゆみも、彼女たちのボーカルの表情・心情というものをありありと表現してくれます。

ここまでボーカルが得意ならということで、DVDを観て（聴いて）みたのですが、やはりセリフの聞こえ方が素晴らしい！明瞭でかつニュアンスに溢れています。

ということで試聴第2日目を終えました。予定では来週の土曜日までお借りすることにしてあったのですが、明日返送することにしました。理由は明日ということで。