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audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

FoKus PRO の感想 #4:音について

ようやくエージング時間が100時間を超えたので、音についての感想を書き留めておきたいと思います。

同じ楽曲をSONY WF-1000XM4(以下XM4)と変わりばんこに試聴したので、FoKus PROの絶対的印象とXM4との比較が入り混じっていますが、ご容赦の程。


まず最初に同じコーデックで両機を比較してみました。使用したのはiPhone 11 ProでコーデックはAACです。

本当はWM1Zを使いたいところなのですが、WM1ZはAACでの送信ができないためSBCになってしまいます。個人的にはSBCよりはAACの方が音が良いと思っているので、ここではiPhoneを使用することにしました。

  • エレキギターの高音がクリアでキレが良い
  • 全体的に音に透明感がある。一方のXM4は音がややこもっていてベールがかかった感じ
  • ベースが締まっていて、低音の解像感はXM4よりも高い
  • 低音の量感はXM4とそれほど変わらないが、やや深い
  • ボーカルもピアノの音も明瞭で高音に煌びやかさがある
  • アコギも音がシャープでXM4よりも解像感が高い

総合的な印象では、FoKus PROは1000XM4よりも明らかにオーディオ的性能が1ランク高いと感じました。正直ここまで差があるとは予想外でした。
音の特徴としては、クリアでキレが良い高音と、量感はあるけど膨らまずに締まっている低音が印象的。

しかしながら、音の絶対的評価に点をつけるなら70点くらいかな。(XM4は55点くらい)
音の基本骨格は良いんだけど、表現がやや粗く細かな描写に物足りなさを感じます。聞き流している分には気にならないけど、しっかり聴くとちょっと残念な感じ。

まあコーデックがAACなので、FoKus PROというよりもコーデックの性能限界と言うことでしょうね。


次はWM1Zを使用して、両機それぞれで接続可能な最も高音質のコーデックを使用しました。
具体的には、FoKus PROはAptXで、XM4はLDACです。

  • まずXM4だが、LDACで接続すると情報量・解像力が一気に上がり、AAC接続のFoKus PROの音を超える
  • 全体的に音像が(AAC接続よりも)シャープになり、響きの量が増え、空間の表現力が高まる
  • 弦楽器の柔らかな音、滑らかな音も上手く表現できているので、クラシックも十分聴ける
  • 一方のFoKus PROは、XM4よりもさらに音像がシャープ
  • XM4だとやや膨らんだ感のあるボーカルもFoKus PROだと締まっているし、低音と重なった場合でもボーカルが明瞭に分離されて聴こえる
  • FoKus PROのピアノのタッチは明瞭で高音の響に華やかさがあるが、音の質はやや固い
  • 対するXM4のピアノは、エッジのシャープさはFoKus PROほどではないけれど、テクスチャーの滑らかさと緻密さが感じられる
  • FoKus PROのシンバルの音は存在感はあるがやや粗い
  • XM4はシンバルの響きがFoKus PROよりも繊細
  • XM4は静けさの表現が上手で、音の消えぎわ、微小音がとても綺麗
  • 空間の表現力はXM4の方がやや上

FoKus PROの良い点は、音像のシャープさ、タイトさ、そして音のキレの良さ。
量感はあるが締まっていて深い低音、明瞭なボーカル、そして高音の響きの華やかさが魅力的。
結果、音楽としてのノリを上手く表現していて、聴いていて楽しい。

一方のXM4は全体的なバランスがとても良く、どんなジャンルの曲でもそつなくこなせる感じ。
LDAC故の情報量と音の密度感が、繊細さ、滑らかさ、柔らかさの表現を可能していて、この点はFoKus PROに勝っている。

音楽ジャンルとの相性は、ROCKやPOPSはFoKus PROで、クラシックやアコースティック系はXM4。ジャズはどちらもいけると思うけど、強いて言うならビッグバンドなどのノリの良い楽曲はFoKus PROで、静かめのピアノトリオ、ピアノソロ、女性ボーカルはXM4みたいな感じかな。

誤解のないように書いておきますが、FoKus PROだとクラシックが聴けないとか、XM4だとPOPSはイマイチと言う意味では全くありません。あくまで、どちらの方が(私にとって)より魅力的な音か、と言う意味です。


恐らくですが、イヤホン自体のオーディオ的性能はFoKus PROの方がXM4よりも上だと思います。

しかしながらコーデックとしてのLDACが性能においてAptXを大きく上回っているため、FoKus PRO/AptX、1000XM4/LDACという組み合わせで聴くと、両者の差はさほど大きくはないと感じました。

一度AptX HDで接続したFoKus PROの音を聴いてみたいものですね...。
※そもそも何故AptX HDではなくAptX Adaptiveを採用したのかが疑問だし、できることならLDACを採用して欲しかったと言うのが本音。
※本日10時に発表されたSONY NW-WM1ZM2(我が家のWM1Zの後継機)のサイトを見てみたのですが、Bluetoothコーデックは新たにAACが追加されましたが、幸か不幸かAptX Adaptiveには対応していませんでした。なおWM1ZM2の話は後日上げようと思います。

今後の運用に関しては、聴く楽曲によって使い分けることにしました。
とは言っても普段イヤホンでクラシックを聴くことは少ないので、メインはFoKus PROになると思います。


最後に、試聴中「これだけは書いておかなければ」と思ったのは、FoKus PROのBluetooth接続の不安定さ。

自宅のソファーに座り、目の前のテーブルにDAPを置いて試聴しているにも関わらず、突然ノイズが入ってまともに再生できなくなるということが2回ありました。

一旦接続を切って再接続すると安定するのですが、1000XM4ではノイズが入るとかキレそうになることは購入以来一度もないので、接続安定性に関しては1000XM4の方が優れていると思います。

これは個人的な推測だけど、FoKus PROって左右イヤホンのロールスワッピング機能でバッテリーの片減りを防止しているのですが、左右イヤホンのハンドオーバーが上手くいかないとノイズが入ったり接続がキレそうになるのではないかなと。

もしそうだとしたらファームウェア・アップデートで改善できそうなものですが、そもそもファームウェアがアップデートできる仕様なのかどうなのかがわからないので、今後の改善には期待できなさそうですね。