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オーディオ用光LAN導入②:光LANに関する備忘録

ヘッドホンオーディオ用に光LANを導入するにあたり、色々調べてわかったことを書き留めておきます。
ただしオーディオにあまり関係がなさそうなもの(伝送距離、マルチモード規格など)には触れていません。
まだ不明な点もあるし、もしかしたら間違って理解していることがあるかもしれませんのでご留意ください。

▪️最低限必要な機材(既存のLANの一部を光LANに置き換える場合)

  1. メディアコンバーター(2個)
  2. SFPトランシーバー(2個)
  3. 光ファイバーケーブル(1本)
  4. LANケーブル(1本)


1. メディアコンバーター(MC)

  • 電気信号と光信号を変換するための機器で、光モジュールを内蔵するタイプとSFPトランシーバーを実装して使用するタイプがある。
  • 通信速度(10/100/1000Mbpsみたいな。機器側のLANポート表記では10Baseや1000Baseとか書いてある)が固定のリピータータイプと、メタル側の通信速度に同調する(速度変換を行う)スイッチタイプ(ブリッジタイプ)がある。
  • スイッチタイプはパケットを最後まで受信完了してから送信開始するので、リピータータイプと比較すると伝送遅延は大きくなるが、エラーパケットのフィルタリングが可能。
  • オーディオの場合、伝送遅延はさほど問題にならないと思うので、通信速度自動同調のスイッチタイプを導入した方が無難(オーディオ機器側の通信速度に合ったメディアコンバーターを選ばなくて良い)かも。
  • メディアコンバーターへの供給電源の質が音質に影響するらしい。
  • 機器の価格差がどの程度音質に影響するのかは不明。

2. SFPトランシーバー(SFPモジュール)

  • 電気信号と光信号を変換する上での中核機器で、これを差し替えることで同じメディアコンバーターでも多様な通信方式に対応できるようになる。
  • 使用するSFPトランシーバーに合った光ファイバーケーブルを使う必要があるのだが、通信方式や光ファイバーの種類などと関連するので光ファイバーのところでまとめる。
  • SFPトランシーバーを変えると音が変わるらしい(音の変化は "MCの電源 > SFPトランシーバー"と書いている人がいた)。

3. 光ファイバー

A:光ファイバーケーブルの種類

  • マルチモード光ファイバMMF)と、シングルモード光ファイバ(SMF)がある。
  • コア径や屈折率など分布によって複数モードの光が伝搬するように設計された(一定の幅をもって通る)のが「マルチモード」。シングルモードに比べて伝送損失は大きいが、接続が簡単。
  • 光ファイバーの狭い中心部を通るのが「シングルモード」で、コア径を小さくすることで伝搬するモードを1つにしている。伝送損失が小さく、安定した通信が可能。ガラス繊維のためマルチモードより高価で曲げに弱い。
  • 「シングルモード」と「マルチモード」は同じファイバー外径(125μm)だが、コア径がシングルモードが9μm前後なのに対し、マルチモードは50μm以上と全く異なっている。
  • シングルモード光ファイバーの最小曲げ半径は30mm。
  • 安定した伝送を確保するには一定(1m?)以上のケーブル長が必要みたい。

B:通信方式と芯数
シンプレックス通信(1芯)

  • シンプレックス通信」は、一方通行あるいは単方向通信のことを意味し、送信か受信かどちらかしか実行できない。
  • ただし、BiDi(BiDirectional:双方向)対応SFPトランシーバーを使用すると、1芯の光ファイバーケーブルに波長の異なる2つの信号を同時に乗せることができるので双方向通信が可能。BiDi SFPトランシーバーを使用する場合、光ファイバーケーブルは2m以上必要と記載してあるメーカーもある。

・デュプレックス通信(2芯)

  • 「デュプレックス通信」は、双方向通信のことを意味する。一般的には2本のコア(芯)に対して送信(TX)と受信(RX)を専用で割り振っている。
  • さらに、「デュプレックス通信」には「半二重通信(ハーフデュプレックス)」と「全二重通信(フルデュプレックス)」という2種類の通信方式があり、「半二重通信」の場合は送信と受信はできるけど同時にはできないが、「全二重通信」の場合は送信も受信も同時に行われる。尤も全二重/半二重自動ネゴシエーション対応の機器が多いようなので、気にする必要はなさそう。

C:コネクタ形状
・光ケーブルのコネクタ形状で主な種類はLCコネクタとSCコネクタ。

  • LCコネクタは小型なので高密度実装ができる。
  • SCコネクタは最も一般的なコネクタで、LANの世界標準となっている。
  • この2種類以外にFCコネクタ、STコネクタがあるが割愛。
  • それぞれに対して1芯タイプと2芯タイプがある。


まとめると、ネットワークオーディオで使用する機器を選ぶ際に留意すべきは次の3要素で、SFPトランシーバーと光ファイバーケーブルの仕様が3要素全て同一でないとダメ(通信できない)と言うことです。

  1. マルチモード(MMF) or シングルモード(SMF)
  2. 1芯(要:BiDi対応SFP) or 2芯(デュプレックス)
  3. LCコネクタ or SCコネクタ

⚫︎ 私が導入した10GTekの製品

  1. シングルモード(SMF)
  2. 1芯
  3. LCコネクタ

※SFPトランシーバーはBiDi対応


⚫︎ SONORE opticalModule Deluxe V3

  1. マルチモード(MMF
  2. 2芯
  3. LCコネクタ


⚫︎ DELA OP-S100

  1. マルチモード(MMF
  2. 2芯
  3. LCコネクタ


ちなみに「シングルモード」の方が信号の伝搬が良く伝送パルスの波形もきれいだと思われますが、ネットワークオーディオではTCP/IPによるパケット通信になるので、理論上は伝送波形のきれいさが音質に影響することはないとのこと。

そう言う意味では3要素の組み合わせ方に音質上の優劣は無いのかもしれませんが、オーディオって何を変えても音が変わるし理屈通りには行かない場合もあるので、実際にどうなのかはやってみないとわかりませんね。