前回の続きです。
aptX Adaptive 48kHz/24bitに対応するBluetoothドングルとして選んだのはeppfun AK3040PLUSです。
aptX-Adaptive以外にもaptX/aptX LL/aptxX HD/SBC と多くの接続方式に対応しているせいか、ゼンハイザーBTD600と比較すると本体サイズは大きいですね。
私は使いませんが、レシーバー(Bluetoothイヤホン)の2台同時接続にも対応しているみたい。
本体の頭の部分に物理スイッチがあり、イヤホンと接続した状態でそのスイッチを押すと意図した接続方式に変更することができます。
FoKus Proとペアリングした際はaptX-Adaptive接続になったので、デフォルトでは一番音質が良い接続方式で繋がるのかもしれません。
ちなみに各接続方式とLEDカラーの対応は次の通り。
- SBC:赤色
- aptX: 紫色
- aptX LL: 黄色
- aptX HD: 緑の光
- aptX- Adaptive: 青
iPad Pro 10.5にTRAOOの変換アダプタを接続し、ゼンハイザーBTD600とeppfun AK3040PLUSの音を比較してみました。
※変換アダプタに給電用のライトニングケーブルを繋がなくてもLEDがついたままなので、もしかしたらBTD600とは違ってiPad Proだけで使えるかもと思い試してみたけど、ペアリングのON/OFFが繰り返し起こって使い物になりませんでした。ライトニングケーブルを繋いで給電すると正常動作になるので、やはりiPad Pro単体(本体のLightning端子)では動作電圧が足りないようです。
音源はWi-Fi(5GHz)で接続したネットワーク上のミュージックサーバー(Soundgenic)で、mconnectHDアプリで再生した音をBluetoothでFoKus Proに飛ばすというやり方です。
44.1kHz&48kHz/16bitの音源を再生した場合の、BTD600に対するAK3040PLUSの音の感想は次の通り。
- BTD600は音が幾つも重なった時に若干ノイジーになる場合があるが、それがかなり減って聴きやすくなった。
- BTD600はヴァイオリン、ギター、ピアノの音のエッジが立ってややキツさを感じる場合があるが、AK3040PLUSはそのキツさがほとんど感じられない。
- 響きが繊細で、響きの存在感が増した。クラシックやジャズではホールの雰囲気が感じ取りやすい。
- S/N比が高い(ノイズフロアが下がった)ように感じる。
少し大きめの音で聴くと差を感じたけど、普段聴く音量(私はあまり大きな音では聴きません)だとほとんど差を感じない楽曲も多かったです。
そう言う意味では、期待していたほどの音質差はないと言う結果ですかね。
今回の試聴はBTD600とAK3040PLUSを何度も差し替えて行ったのですが、気のせいかもしれないけど、音質に変動があるような気がしました。
接続レートを確認する術がないため何とも言えないのですが、aptX Adaptiveは可変ビットレート方式なので、もしかしたらそれが影響している(つまり接続する度に接続ビットレートが変動していた?)のかもしれません。
また原因は不明ですが、今日の試聴においてはBTD600での接続時に音が途切れることが多く、AK3040PLUSの方が安定していました。
ただBTD600導入以降何度も聴いているけど、ここまで接続が途切れることはなかったので、たまたまなのかもしれません。
※そもそもFoKus ProのBluetooth接続自体が不安定さを内包しているので...(^^;;
その後、所謂ハイレゾファイル(48kHz〜192kHz/24bitのWAV、FLACファイル)を再生して試聴してみたのですが、CDクオリティのファイルよりも両者の違いが大きいように感じました。
ハイレゾファイルの場合は転送する情報量が格段に増えるので、AK3040PLUSの優位性が出やすかったと言うことでしょう。
と言うことで、今後は、僅かながらも音が良いと感じられたAK3040PLUSの方を使用することにしました。
※BTD600はとりあえずバックアップ機として置いておきます。AK3040PLUSにしても長期使用で何が起きるかわかりませんしね。
BTD600の1/3以下の価格にもかかわらず音も機能もBTD600より良いと(個人的には)思うので、aptX Adaptive対応 Bluetoothドングルの導入を検討されている方は、ブランドに拘らないのであればAK3040PLUSを導入する方が良いかもしれません。
ただし、BTD600の方が優れている点もあります。
1つ目は、AK3040PLUSは電源が入っていて(給電された変換アダプタ経由でiPad Proに接続されていて)イヤホンが未接続の状態だとLEDが常に点滅状態になって消えないためかなり鬱陶しいですが、BTD600は一定時間経過するとLEDが消えるので、夜にベッドサイドで使う場合はBTD600の方が良いです。
※AK3040PLUSのLEDを消すにはiPadから変換アダプタを外し、さらに変換アダプタに給電しているライトニングケーブルを外す必要があります。勿論AK3040PLUSを変換アダプタから外せばLEDは消えるけど、外したAK3040PLUSがどこにいったかわからなくなるかもしれないので...。
2つ目は、BTD600の方が本体サイズが小さいこと。私の場合はサイズはどうでも良いけど、PCやタブレットのUSB-A端子に常時接続して使うのであればBTD600の方が出っ張りが小さいので使いやすいと思います。
そして3つ目は、BTD600はファームウェアアップデートが可能なこと。
まあファームウェアアップデートによって今後どの程度メリットを享受できるのかは不明ですが、できないよりはできた方が良いですよね。
尤も、ファームウェアアップデートによって24bitに対応することはあり得ないと思いますが...。
最後に。
先日の記事で、LDACに比べるとBTD600のaptX Adaptive接続は密度感みたいなものが弱いと書きましたが、AK3040PLUS(48kHz/24bit)でも同様に感じました。
従って、私が感じている密度感というやつはWM1ZとWF-1000XM4をLDAC接続した場合に感じるものであり、24bit接続に起因するものではないようです。
とは言えWF-1000XM4固有の音とも考えにくいので、もしかすると、細部にまで拘って作られているWM1Zによるところが大きいのかもしれません。
それで思ったのです。
今発売されている高音質DAPって基本的には有線イヤホンでの使用を主眼に置いていますが、Bluetooth接続専用の高音質DAPがあっても良いのではないかと。
全ての高音質な音楽ファイル形式、そして全てのコーデックに対応したBluetooth専用の高音質DAP。
DACもアンプも非搭載になるのでどこまで音質を上げられるのかは分かりませんが、iPad ProよりもWM1Zの方がBluetoothの音が良い(密度感がある)とするならば、開発する価値はあると思うんですよね。
特にここ最近は高音質を謳ったBluetoothイヤホンが増えてきていることでもあるし、Bluetooth専用の高音質DAPの需要も一定量はあると思うのです。
1TBの内蔵メモリと大容量バッテリーを搭載し、(将来、高音質コーデックが登場した場合に備えて)Bluetoothモジュールの有償交換が可能な仕様。
それで価格が10万円以下であれば、私はすぐにでも買いたいです!
SONYさん、作ってくれないかなぁ。