10月16日に導入し約1ヶ月毎日のように使ってきました。今現在もまだ試行錯誤中ではありますが、このあたりで一旦感想をまとめておこうと思います。
■操作性
そもそもNT-505を導入した最大の理由がOpenHome対応だったので、iPad(第6世代)上のTEAC純正アプリ HR Streamerあるいはその実体であるLUMINによる操作は予想通り快適です。反応速度もそこそこ速いし、必要な機能はほぼ揃っている感じ。
HR StreamerとLUMINの機能上の違いは、プレイリストを独自の名前で保存する際のやり方くらいですかね。これはLUMINの方がシンプルで使いやすいと思います。
本体のメニュー操作は、メニューボタンとソースセレクタ(回転式&Push操作)で行いますが、メニューボタンを押して(あるいはメニュー選択等の操作をして)から7秒間何もしないとソースセレクトモードに戻ります。この7秒というのが個人的には少し短いという印象。実際に操作している途中で、ソースセレクトモードに戻ってしまうことが何回もありました。
メニュー操作中にメニューボタンを押せばソースセレクトモードに戻れるのだから、せめて10秒くらいにするとか、あるいは無操作時にソースセレクトモードに戻る機能自体をなくしてしまっても個人的には良いと思います。
例えばFilterを切り替えて音の評価をする時など、ずっとFilter選択メニューが表示されている方がやりやすいわけで、一々ソースセレクトモードに戻ってしまうのは鬱陶しくて仕方ありません。尤もリモコンのFilterボタンを押せば(順送りではあるけど)Filterが切り替えられるのでまあいいんですけどね。
概ね大きな不満が無い操作性の中で、唯一気に入らないのがディスプレイのDimmer(ディスプレイとクロックシンクLEDの明るさ切り替え)です。これには、BRIGHT、SLIGHTLY BRIGHT、DARK、AUTO OFF の4段階があって、その点に不満は無いのですが、一般的なAV機器だとDimmerを設定すると常にその明るさになる(操作時に一時的に明るくなるものもあるが、操作が終わって一定時間経つと設定した明るさに戻る)のが普通なのに対し、NT-505はというと、ネットワーク再生時に表示されるNETという文字が、音楽を再生している時(一時停止時も含む)には設定した明るさになるけれど、再生が終わると一番明るいモードになってしまいます。例えAUTO OFFにしていても。
我が家ではベッドルームに設置しているのでDARKにしており、再生中は設定通りのDARKになっているので気にならない表示が、アルバムあるいはプレイリスト再生が終わると表示が一番明るいモードになってしまうため気になって仕方ありません。なので再生が終わったらもう一度アプリの再生ボタンを押して直ぐに一時停止にするという対処をしています。こうするとディスプレイとクロックシンクを示す青LEDがDARKの状態で維持されます。
でもどう考えてもおかしな仕様なので工場出荷設定にリセットしてみたのですが、何も変化は無かったのでやっぱりこれが仕様ということなんでしょうかね?
ディスプレイ周りで言うと、DARKモードにした時にNETという表示のEとTの上の横線がかすれて表示されるとか、接続していないソース(例えばOPTICALとかCOAXIALとか)を選択すると、ディスプレイの右下にcheckという表示が出てそれが点滅し続けて鬱陶しいとか、不満は色々あります。
check表示なんてそもそも余計なお世話だし、たとえつけるにしても5秒間は点滅させてその後は表示したままにするとかすればまだ鬱陶しさは減るのに...と思います。Esotericの機器にはそんな不満は感じなかったけど、TEACはUIの設計が雑というか洗練されていないですね。ファームウェアを弄れば改善できることが多いと思うので今後の対応に期待したいところです。
それ以外にも、ボリュームノブを回した時の質感が悪い(高級感を出そうと思って抵抗を強めにしたのだと思うが、所謂高級機のしっとりした重さとは違い、ゴムで抵抗感を出しているようなチープな質感)とか、ヘッドフォン端子が3.5mmしかないとか不満はありますが、貶してばかりというのも何なので良い点も書いておきましょう。
まずは、XLR出力時の極性(2番HOTか3番HOT)が選べること。実は我が家のXLRケーブルは購入した時点の機器構成上、極性変換(2番→3番)のものが多いので、極性が選べるのは地味に助かります。
またBluetoothの対応コーデック(SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC)が豊富な点、特にLDACに対応しているのがSONYのWalkmanユーザーとしては有り難いです。
ネットワーク入力時にMQAのデコードができるのも良いですね。余談ですが、折角MQAのデコードができるので試しにMQAのCD(Donald Fagen/The Nightfly)を買って通常版のCDと比較試聴してみたけど、想像していた以上に音が違いました。勿論良い意味で。これなら今後MQAは普及するなと思います。
話を戻しますが、10MHzのクロックが入力できること、PCMとDSDのフィルター特性を別々に選べること、アップコンバードできることも、(使うか使わないかは別として)自分の好みに音を変えられる余地があるという点では良いと思います。
結局のところ、ソフト(UI)はイマイチだけど、ハードは優れているということですね。
■音質
個人的には気に入っている点ですが、これと言った個性(音の特徴)が無いのが特徴かと。ただし音自体のスペック(情報量とか解像力とか)は高いので、特段の不満を感じさせない良い音だと思います。
Sonica DACに感じた情報量とか解像力の強調感?(頑張ってます感?)もないし、かといってつまらない音かというとそんなことはないし、肩肘張らずに純粋に音楽を楽しめる音って感じかな。
Soundgenicをプレーヤー&ストレージにして、USBでSonica DACにつないだ時の音との比較で言うと、情報量や解像力はさほど違いが無いように思いますが、ノイズフロア(無音時の静けさというか黒さ)はNT-505の方が優れているように(聴感上は)感じます。それ故か、演奏している空間の存在感がSonica DACよりも濃く感じます。サウンドステージ自体の広さもNT-505の方が上下により広くなったように思います(HD800使用時)。
ただしNT-505とSoundgenicは、Sonica DAC使用時とは異なりネットワーク接続なのでその影響はあると思います。(Sonica DAC使用時に試してみた時にはネットワーク接続の方がUSB接続よりも若干音が良かったので)
ヘッドフォン故ということもありますが、メインシステム(聴く際の音量は普通の人より小さいです)だと聞き取れないような細かな音とか、あるいは曲による音作りの違いとかしっかり聞き分けられるし、個人的には不満点をほとんど感じないので、色々な点でバランスがとれた良い音なんだろうと思います。所謂ハイエンドの音とは違うけど、エントリー機器のレベルではないミドルクラスレベルの良い音だと思います。
次にアップサンプリングとPCMフィルターを色々と試してみた感想を書いておきます。
まずアップサンプリングですが、PCM入力時に、OFF、2x、4x、8x、DSD256、DSD512が選べます。個人的にはこの手のアップサンプリングって音は繊細にはなるけど線が細くなるという印象を持っているので全く期待していなかったのですが、意外にも、8xにした時のみ線が細くなる感じがほとんどなく、かなり気に入りました。現在は8xに固定して使用しています。
方や、DSDへのアップコンバートは音が不自然に変わってしまって全然ダメですね。メインシステムのMeitner MA1 DACも内部でDSDにアップコンバートしていますが、それとはレベルが全く違うという感じ。
次にPCMフィルターですが、FIR(Sharp、Slow)は不自然に響きが多くなるので却下、Short Delay(Sharp、Slow)はFIRほどの違和感は感じないけど音のバランスがしっくりこないので却下。唯一、使ってもいいかなと思ったのはLow dispersionで、これが一番違和感が少なくて音のバランスも一番しっくりきました。
とは言え、普段はNon Filterで使うことがほとんどで(違和感を全く感じないので)、高音に僅かなとげとげしさを感じるアルバムを聴く時のみ、Low dispersionに切り替えています。加齢で耳の能力(特に高音)が衰えてきているのでNon Filterで問題ないということなのかもしれません。
クロックシンクに関しては以前触れたとおりで、我が家のルビジウム外部クロックではほとんど効果を感じません。余力があればCG-10Mとか欲しいですけど、まあ今の音に不満が無いので買わないかな。
あと、NT-505はBulk Pet転送に対応しているのでこれは使ってみたいのですが、Soundgenicが対応してくれないことにはどうしようもありません。だからと言って対応しているNASを買うつもりも無いし、今さらPC Audioに戻す気も無いので、残念ですがあきらめるしかないですね。
■その他
音質向上のためにやったことは次の通り。なおケーブルについてはヘッドフォンシステム全体として現在も試行錯誤中です。
- 純正インシュレーターを外してクリプトンのIS-HR50に変更
- 電源インレットからのHOTケーブルにファインメットビーズを取りつけ
- 筐体の天板がペラペラとは言わないけど思っていたよりも薄かったので、天板裏側に振動ダンプ用鉛シートを貼り付け(ただしこのままだと電磁波が内部反射しそうな気がするので、さらに電磁波吸収シートを貼り付ける予定)
まあ、やらないよりは多少マシかなという感じですが、実は最も大きな効果があったのはヘッドフォンシステムの給電に使用している中村製作所のアイソレーショントランス(NSIT-160TW)のインレット交換でした。NT-505とは直接関係ありませんけどね。
もともとはNT-505のインレットを交換しようと思ってOyaide Power Inlet PPを入手したものの、以前書いたようにNT-505のインレットはネジ止めではなく爪止めだったため交換を断念。でも折角入手したので交換できる機器はないかなと思って試してみたのがアイソレーショントランスだったという次第。
これが効きました!低音の量感が増えてピラミッドバランスに近くなり、音(特に高音)のテクスチャーの肌理が細かくなり、サウンドステージも僅かに拡がった感じ。高音がややおとなしくなった感はありますが、雑味が減った故かなとも思います。やっぱり電源って重要ですね。
と言うことで、主にUIに対する不満はあるものの、音および機能については想像していた以上の水準でした。これでこの価格なら、人気があるのも納得です。
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