memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

CEC TL3N #3

TL3Nの導入後、一週間が経過。エージング時間も90時間を超え、音も落ち着いて聴いたのでUX-1との比較試聴をしてみました。
UX-1との比較は初日にほんの少しだけやってみましたが、その時点では「やっぱり違うなぁ」という印象でした。情報量、解像度、サウンドステージの広さ、透明感といったスペック的視点においてはUX-1の圧勝。でもTL3Nの滑らかさやまとまり感も悪くない感じでした。何にせよ、初日の音で比較するのは論外なので急ぎエージングを進めてきたという次第。


その後、毎日短時間ながらもTL3Nの音を聴いてきましたが、先に挙げたようなスペック的なものはどんどん良くなり、TL3Nだけを聴いている限りにおいて特に不満は感じないというところまできました。正直なところ、現時点でUX-1との差がどの程度あるのか全くわからないという状況で試聴に臨んだわけです。


※システムに関して
TL3NおよびUX-1ともに44.1KHzの外部クロック(T氏製ルビジウム周波数基準ユニット+Antelope OCX)でワードシンクを行っています。TL3Nは当初ACケーブルにJPS Labs Digital ACを、音声デジタルケーブルにKS-2020を使用していましたが、試聴時点ではCARDAS Golden Reference PowerとWireWorld GSA5に変更となっています。



●TL3Nの感想

  • ボーカルのサ行がややハスキーでピアノの高音が僅かに耳につくところはあるものの、周波数レンジとバランスにおいてUX-1と大きな差があるとは感じない。(注:ハスキー感はデジタルケーブルのGSA5の影響が大だと思われます)
  • 音の骨格は僅かながらUX-1の方が頑強で、低域の重量感もUX-1の方が僅かに強く、締まっている。逆にTL3Nは低域が僅かながら軽く感じるのだが、弾力感と量感がある。
  • 響きの質は若干異なっており、TL3Nは滑らかで、UX-1の方はTL3Nに比べれば粒子感を感じる。響きの量は若干UX-1の方が多く、結果としてUX-1の方は響き(の粒子)が楽器からフワッと拡散していくような感じでその分空間の広がりが大きい(スケールが大きい)ように錯覚するのだが、実際のサウンドステージの広さに大きな差はないと思う(もしかすると僅かながらUX-1の方が上下と奥行きが広いかもしれない)。
  • 敢えて言うなら、温度感(温かみ)はほんの僅かにTL3Nの方が高く、色彩感はUX-1の方が僅かに強く、透明感はUX-1の方が少し高いが、大きな差ではない。
  • 最も差を感じたのが解像度で、UX-1は楽器に近寄って音のテクスチャまでも表現するような“拡大鏡的”側面を感じるのに対し、TL3Nは楽器から一歩引いて音全体を捉えるような感じ。結果として解像度はUX-1の方が高いが、TL3Nの音は収束感というか音のまとまり感(整理された感じ)が強く、どちらが良いとは正直言いかねる。ヴァイオリンはUX-1の方が好きだが、ピアノの音はTL3Nの方が好き。
  • なお音像は収束感が強いTL3Nの方が僅かに小さく感じるが、逆にスケール感はUX-1の方が僅かに大きい。


なんとも歯切れの悪い感想になってますが、要するに微妙な差はあるものの、初日に感じたような大きな差は感じなかった、ということです。本体価格差にして7倍くらいの差があるわけですが、実際の音の差は想像していた以上に少なかったです。正直、こんな結果になるとは思いもしませんでした。それだけTL3Nが優れている(コストパフォーマンスが高い)ということなのでしょう。
もしくは9年目に突入したUX-1にガタがきていて、本来持っていた性能を発揮できなくなってきているのかもしれません。とりあえずTL3Nもあることだし、UX-1をオーバーホールに出した方が良さそうですね。


そんなわけで、TL3Nが予想外に良かったことは無論Welcomeなのですが、大問題なのはUX-1との音のベクトルにあまり差が無かったという点(我が家のシステムでは差が出なかっただけで、他のシステムではもっと差が出るかもしれません)。何にせよ同じような傾向のトランスポートを2台持つ必要はありません。たとえ情報量や解像度で劣っても、UX-1にはない柔らかさと滑らかさを出してくれればそれで良かったのに、現実はそうそう目論見通りにはいかなかったという残念な結末です。
今後は、追加投資はせずに手持ちにあるアクセサリーとセッティングによって、“どれだけ柔らかい方向にもっていけるか”をテーマに、チューニングにトライしてみたいと思います。




と、ここまで書いておいてなんですが、UX-1とTL3Nの差が小さすぎるのがやっぱり気になります。Wadia、PL-L、Sonus、NBSと、かなり個性的な音の機器が多いシステムなのでトランスポートの差が出にくいのかもしれませんが、もしかするとセッティングに何か問題が生じているのかもしれません。
ということで、TL3Nのチューニングにかかる前に、セッティングチェックをしようと思います。

  • ケーブル接点のクリーニング
  • インシュレーターのセッティング確認
  • ラックのポールの締め付け
  • スピーカーのセッティング確認


スピーカーセッティングはこれまで巻き尺と耳でやってきたので、精度を上げるために所謂レーザーセッティングにトライしてみようかなと。でも追加投資が必要なのでどうしようか迷っています。


経過はまた後日ということで。
【追記:やってみました。レポートはこちら。