memento

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劇場版・エースをねらえ!

劇場版 エースをねらえ! [DVD]

劇場版 エースをねらえ! [DVD]


アサルトDがあまりに酷かったので、口直しと言うことで久しぶりに「劇場版・エースをねらえ!」を観ました。この「劇場版・エースをねらえ!」は「エースをねらえ!」のリメイク版である「新・エースをねらえ!」の人気を受けて1979年秋に公開された作品(当初の予定では夏休み作品)で、監督は出崎統さんです。
27年前の作品なのにいつ観ても感動を禁じ得ません。確かに画にしても音にしても古さを感じることは否めないのですが、観ているうちに、不思議とその古さすらこの作品の世界観の一部であると思われてきます。その意味で、非常に完成度の高い作品と言えるのではないでしょうか。


基本的には「宗方コーチの死」までのストーリーなのですが、90分という時間枠の中でかなりスピーディーに話が展開していきます。原作なり、TV版なりを観ていないと話しについて行けないかもしれませんが、逆に基本のストーリーを知っていると、あれだけの話をよくもまあ90分にまとめたものだと感心するとともにその完成度の高さに驚きを隠せません。
また原作のストーリーを完全になぞっているわけではなく劇場版として脚色していますので、原作にない(TV版にもない)シーンがいろいろと出てきます。その辺りも劇場版の見所だと思います。例えば、宗方コーチが「岡ひろみ」を選んだ理由を緑川蘭子に語るシーンとか、岡ひろみをジュニア選抜に加えるかどうかを決めるためにお蝶夫人(竜崎麗香)と行う試合とか...。
細かい話をし始めるときりがないのですが、TV版は観たけど劇場版は観ていないという方は、ぜひ一度ごらんになって下さい。TV版とはまた違う良さを感じていただけると思います。


原作、TV版(2作品)、劇場版、OVA(「エースをねらえ!2」「エースをねらえ!ファイナルステージ」)からなる「エースをねらえ!」という作品群は、私にとって「へこたれそうになったときに勇気を与えてくれる」大切な作品達です。それぞれに良さがあるのですが、いつ見ても涙を抑えられないのは、やはり原作コミックスでしょうか。読み切るのに時間はかかりますが、読んだ後は心が清々しい気分になり、やる気と勇気が湧いてきます。
基本的にスポーツもの(例えば「スラムダンク」「YAWARA」「F(エフ)」「バリバリ伝説」...)に対してはそのように感じることが多いのですが、「エースをねらえ」だけは別格かもしれません。それは単にスポーツもの特有のカタルシスという側面だけではなく、人としての在り方、生き様にまで踏み込んだ作品だからだと思います。「エースをねらえ!」はそれだけの深みを持った作品と言うことでしょうか。


蛇足ですが、TV版、劇場版では岡ひろみのCVは高坂真琴さんですが、OVA2作品は水谷優子さんになっています。個人的には高坂さん演じる岡ひろみの方が好きですね。
一方、一番カッコいいと思うシーンはファイナルステージ第9話「クィーンズカップ‘90開幕」で岡ひろみが田村プロ相手に新打法を試合で初めて成功させ逆転勝利を収める一連のシーンです。その新打法の作画はカッコいいですねぇ(下のDVD-BOXの画は新打法の作画の一部です)。基本的にファイナルステージは岡ひろみと藤堂貴之の青春ラブストーリー的要素がかなりのウェイトを占めているのであまり好きではないのですが、第8話〜最終話(12話)までは画的にもストーリー的にも大好きで(ただし原作とは全く違う話になっていますが)、特に作画のカッコ良さという点では一連の作品の中でも一番かもしれません。