memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

Chord Dac64(初期型)


Chord社のパルスアレイ方式の小型D/Aコンバーターです。今使っている機器の中で最も古株となってしまいましたが、このDAC64の音はとても好きです。きっとパルスアレイ方式と私の脳との相性がよいのでしょう。ZIAのFusionというCDPもDAC部はパルスアレイ方式だったと思いますが、この方式のDACはこの2機種くらいしか記憶にないですね。人気がないのは何故なんでしょう? とても自然な音です。温かで艶やかな音。弦楽器をとても魅力的に表現します。それと意外といっては失礼ですが、低音に力があります。
DAC64の前はPerpetual Technology社のP1-A, P3-AというDDCDACを使用していたのですが、ステレオサウンドの後ろの方にあるモノクロページの新製品ニュースに小さく載っていたDAC64の写真を見たとき、そのデザインの完成された異質さに軽い衝撃を覚え、「これこそ自分が求めていたものかもしれない」と感じました。(振り返ってみると、これがゴーストが囁いた最初です。)
以来DAC64のことが頭から離れなくなってしまったわけですが、その後しばらくしてオーディオ店のS氏のところに試聴機が入ったということを知り、すぐに電話をして話を聞いたところ「すごく良いですよ」というお言葉。既にオーダーも入っているとのこと。加えて「今なら初期入荷分で納品できるかもしれません」との悪魔の囁き...。「聴きに行く時間もないし...聴きに行ったってすぐに発注するだろうから時間の無駄だし...もし今発注しないと随分待たされるかもしれないし...そしたらすごく後悔するだろうし...きっといい音だろうなぁ...。」との屁理屈を心の中に並べ立て、結局その日のうちに発注したわけです。
最初の頃はバッファを最大量で使用していたのですが、現在バッファは使用していません。バッファを使用した方が空間情報は多くなる感じで好ましい面も多いのですが、バッファなしの方が音のエッジが立つ感じで勢いがあります。またDVDを観るにはバッファをオフにしなければならないということもあり(オフにしないとセリフが遅れます)、その面倒さも(まあ本体後ろのスイッチを切り替えるだけではあるのですが...)バッファオフで聴いている大きな要因ではあります。
DACのアナログ出力ケーブルにはカルダス・ゴールデンリファレンス(RCA)を使用しています。一時期ワイヤーワールドのスーパー・エクリプス(BAL)を使用していたのですが、ガルネリ・メメントの導入に伴ってセッティングを検討した結果、カルダス・ゴールデンリファレンスに変更することにしました。WWの方がレンジが若干広く情報量もやや多いのですが(バランス接続という影響ももちろんあります)、艶っぽくて楽器の実体感がやや強いという点を評価し、現在はカルダスの方を使用しています。コンセントラ2(というか、ジェフのアンプ)はバランス入力の方が音が良いというのが定説ですが、今回は結果的にアンバランス入力の方を使用することになってしまいました。全く同じケーブルのRCAタイプとBALタイプを使って比較したわけではないので自信はないのですが、コンセントラ2の場合はアンバランス入力の方が楽器自体にフォーカスが当たる感じで実体感が強まり、バランス入力は低域の伸びがよく空間情報は多くなるけれど楽器の音に空間情報がからんでくるため全体としてフワッとした音に感じてしまうように思います。無論好みの問題ですし、それほど大きな差があるわけではありません。
〔注〕冒頭の写真でDAC64のバランス出力に刺さっているのはスーパー・エクリプスではなく、エクリプス3+です。このケーブルはSTAXのEAR SPEAKER DRIVER UNITに繋がっています。またデジタルケーブルのKS-2020はPADのRCA-BNC変換アダプタを介してDAC64のデジタル入力端子(BNC)に繋いであります。


話は変わりますが、今の機器バランスを考えるとDACのグレードアップというのは一つの課題だと思っています。ただDAC64の音を気に入っているのであまり真剣には考えていません。一つ興味があるのは、DAC64の音を維持しながらグレードアップを実現するという技〜“DAC64の2台使い”です。右chと左chにそれぞれ1台ずつ使うとのこと。どうもすごい音らしいのですが(特に低域の馬力が)、何故なのでしょう?オペアンプに対する電源の余裕ができるから?よく分かりません。まあ理屈はともあれ本当に効果があるのなら試してみたいと思いますが、こればかりはいくら私でも試聴せずに走り出すわけにはいきませんね。Chordがパルスアレイ方式の上級機(できればアップサンプリング機能がついたもの)を発売してくれるのが一番手っ取り早くて良いのですが...。
パルスアレイ方式ではありませんが、オラクルのDAC1000には興味があります。オラクルのCDPのデザインは素敵ですよね。このDAC1000はデザインという点ではイマイチな部分もあるのですが、音は私の好みの傾向のようです。アップサンプリング機能がついているし、デジタル入力が複数あるのもGood!しかもデジタル出力までついているのでアップサンプリングしてDAC64に入れ直しという手もあるかも。そしたら艶々な音になるかなぁ...。う〜ん、いいかもです。DAC1000は試聴機を借りて一度聴いてみたいですね。