memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

Wadia521 試聴#2 〜意外な感動


Wadia521の試聴2日目。一応明日の夜も試聴できますが、今日中に結論出すつもりで臨みました。

延べ十数枚のCDを聴きましたが、CDによって印象に残った点は異なります。それらをまとめて総合的な感想を記したいと思います。


◆響き(残響音)が豊かでサウンドステージも広く明快
例えばピアノトリオのピアノのエコーがホールに漂っているその滞空時間が長く感じます。サウンドステージについては左右に若干拡がった感じですが、その面積の拡がりよりはサウンドステージの密度というか楽器と楽器の間の空気感というか、そちらの表現力の高さの方が印象的。透明感があり見通しが良い点もGoodです。

◆しっかりとした芯が通った力強さを持った音
中心にあたかも鋼の芯が通っているかの如き音故に弱音でも楽器がその存在をしっかりと主張しています。ヴァイオリンにしてもピアノにしても音が立っている感じ。また音像は小さく締まっています。エネルギー感(浸透力)はありますがパワフルな音という感じではありません。

◆きめが細かく滑らかなテクスチャー
アナログ的とまでは言いませんが、所謂デジタルっぽいザラついた硬質感は皆無。Jacinthaの艶っぽいボーカルなんか最高です。

◆楽器の分離感、定位感が素晴らしい
弦楽四重奏のそれぞれの楽器が綺麗に分離し、サウンドステージ内の3次元的位置が明快に感じ取れます。ゴンチチのギターの立体感も素晴らしい!

◆スケールが大きくダイナミックな音
サウンドステージの広さという意味もありますが、ピアニシモとフォルテシモの間の抑揚表現というかうねり感が印象的。

◆弱音の表現の美しさ
音の消え際の表現が非常に美しいです。ピアノなんか最高です!


大体こんなところでしょうか。ちなみに昨日のコメントにも書いたのですが、基本的には暖色系の音だと思います。ただしECMレーベルのクールな感じはちゃんと表現するので、Caryのアンプのような熱い音ではありません。相対的にはDAC64の方が若干温かい音のような気がしますが、大きな差はないかも。

それから同軸デジタル入力(AET SIN DG 75 EVO)とTOS入力(AudioQuest Optlink-5)の比較ですが、TOS入力の方が透明感は高いです。同軸の方は中音域のエネルギーがあって彫りが深い感じ。個人的には同軸デジタル入力の方が好みです。
一方RCA出力(NBS King SerpentIII)とXLR出力(WireWorld Super Eclipse5)ですが、これは一長一短あるでしょうか。RCAの方はサウンドステージがやや狭く中音域への凝集感とエネルギー感があり、XLRの方はサウンドステージが拡がって高域から低域までフラットな感じ。低域の分離感はXLRの方がちょっと良い感じなので交響曲などはXLRの方が良いかなとも思うのですが、小編成の場合は明らかにRCAの方が好み。ソースによって使い分けるのもよいかと...。(ケーブルの差異が含まれますのでご注意の程)


試聴はいつものようにクラシック、ジャズを中心としたアコースティック系の音源で行いました。
この時点でほとんど買う気になっていたのですが、冷静に考えて価格比で初期型DAC64の約3倍弱の音かというと、当然ですがそんな差はありません。確かにほとんどの点においてWadia521の方が上なのですが、DAC64だけ聴いているとそれはそれで良いと思えてしまいます。それだけDAC64の音のバランス、そしてC/Pが良いと言うことでしょう。
まあ個人的にはDACを買い替えるつもりで試聴しているので「この結果であれば問題なし」という感じだったのですが、その後聴いた一連のCDによって「問題なし」が「絶対買い替える!」という思いに変化してしまったのです。


事の発端は試聴の最後に何気なく聴いてみた「Sting/Nothing Like The Sun」の「Englishman in New York」。これが笑っちゃうくらい気持ち良いのです。音が良いとか美しいとかいうような理性的/情緒的な次元を超えて、生理的に気持ちが良いのです。
「これは!」と思いついて「Pink Floyd/Wish you were here」「The Christians/Colour」を引っ張り出してきて聴いてみたのですが、やっぱり気持ちいい! 今は昔、初めて聴いた時の感動が甦ってきて思わず胸がドキドキ、ドキドキ。
それならばと「Led Zeppelin/Remasters」から「Stairway to Heaven」を聴いてみたら、これはもう堪りません。「何だこの哀愁漂うギターの響きは!」てな感じで、もう完全にノックアウト。


決めました。直ぐに買います!.......ただしローン審査が通ったらですが。(^^ゞ