memento

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運命の書(ブラッド・メルツァー)

運命の書〈上〉

運命の書〈上〉

運命の書〈下〉

運命の書〈下〉

アメリカ合衆国大統領専用車を三発の銃弾が襲った。弾は大統領の心臓をそれ、狙撃犯は逮捕されたが、側近の一人は無惨にも命を落とした。その八年後…。フリーメイソンの謎やアメリカ第三代大統領ジェファーソンも使ったという暗号を盛り込み、息もつかせぬ展開で全米の睡眠時間を奪ったノンストップ・サスペンス・スリラー。

【評価】★★★☆☆


「運命の書」というタイトルから、フリーメイソンに伝えられる秘密の本か何かが登場するかと思いきや、全くの肩すかしでした。確かにフリーメイソンに纏わる秘密〜ワシントンDCの都市計画の中にフリーメイソンの象徴である“コンパスと直角定規”やペンタグラムが隠されている、など〜には多少触れられていますが、メインストーリーに直接かかわってくる謎ではないので、ストーリーに深みがでません。要するに、フリーメイソン絡みの情報が演出的に散りばめられた普通のサスペンスと言えます。
そんなわけで当初期待していたベクトルの小説ではなかったのですが、その点を除けばまずまずの面白さかな。


ホワイトハウスを頂点とした逆五芒星


◆議事堂を頂点とした“コンパスと直角定規”

※図は著者HPより拝借。
http://www.bradmeltzer.com/masons_washington.php


ただし700ページは無駄に長すぎ。無駄をそぎ落として400ページほどでまとめたら、結果的にもっとスピード感が増して、手に汗握る展開になったと思うのですが。そうなっていたらもう少し評価を高くしてもよかったのに...。
それと帯に「ダ・ヴィンチ・コードの次に読むべきものはこれだ。」とかデカデカと書いてありますが、やっぱり「ダ・ヴィンチ・コード」とは比較になりません。むやみに読者を煽るのは止めて欲しいものです。


ところで「訳者あとがき」によれば、ダン・ブラウンの“ロバート・ラングドン・シリーズ”の新作も“フリーメイソン”がテーマらしい。きっとこっちの方が面白いに違いありません!期待して待ちましょう!