memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

ヘッドホン&イヤホン再生環境再構築⑧ 〜 電源環境のブラッシュアップ

2月16日にR7に繋ぐDAC&ヘッドホンアンプとして導入したFiiO K9 Pro ESS。

100時間エージング時点での感想はこんな感じでした。

  • 基本的にはR7単体で聴く場合と同系統のニュートラルな音色で、そのオーディオ的スペックを高めた感じの音
  • 左右のchセパレーションが良く、サウンドステージも左右に少し広がった
  • 情報量はさほど差がないような気がするけど、解像感は高い
  • R7もノイズフロアが低いと思ったけど、K9 Pro ESSは無音時の静けさがさらに増した感じ
  • 量感はさほどでもないが締まっていて力強い低音
  • 中音(特にボーカル帯域)は少し張り出していて、薄いベールがかかった感じで透明感にやや欠ける
  • 高音は綺麗に伸びていて繊細な音(響き)もうまく表現できているけど、私の好みからすると若干大人しい感じ
  • サウンドステージ自体は狭いわけではないが、中音が張り出しているせいかボーカルが近くに聴こえ、結果として間近で演奏を聴いているような感じが強い(HD800ではなくEdition8で聴いているような感じ)
  • これはR7側の問題だと思うが、ピアノの高音にやや耳につく(キンキンする)帯域がある

FiiO K9 Pro ESSにより音のクオリティが1段上がったので導入したことには満足しているものの、ボーカル帯域の透明感がやや不十分な点、高音域がやや物足りない点が気になります。

R7のPEQで調整することはできるけど、できればPEQに頼らずに改善したいので電源環境を少し弄ってみることにしました。


まず行ったのがR7用のDC電源とK9 Pro ESSに給電しているコンセントボックス Oyaide MTB-4の改造です。

MTB-4は過去に何回かの改造を行ってきています。

  • 内部アース線の取り外し
  • ボックス内部に電磁波吸収シートを貼付
  • コンセントをOyaide R1とSWO-XXX Ultimoに交換したが、その後この2つのコンセントをアイソレーショントランスに移設したため、現在はMTB-4標準仕様のDX ULTIMOに戻している
  • IECインレットをETP-600CUに交換

今回行うのは次の2つ。

  • コンセントの片方をAC Silver1 に交換
  • IECインレットをOyaide POWER INLET PP(プラチナメッキ + パラジウムメッキ)に交換


AC Silver1は基本は素直な音だけど高域の伸びと透明感が期待できます。

POWER INLET PPはピラミッドバランスで滑らかさ(艶感)が期待でき、以前アイソレーショントランスのインレットをPOWER INLET PPに変えた時の印象がすごく良かったので今回も採用しました。






R7用DC電源とK9 Pro ESSをDX ULTIMOとAC Silver1のどちらに挿すかで音が変わりますが、比較の結果、DC電源をAC Silver1に挿す方がボーカル帯域の透明感が少し改善されて高音のバランスもやや強くなるので良い感じ。

ただ、狙った方向での改善ができたのは良かったのだけれど、まだ物足りない感じです。


そこで次に打った施策がK9 Pro ESSのヒューズ交換。

K9 Pro ESSのヒューズ(ミゼット)は0.5Aのスローブローなので、まずはお気に入りのIso Clean Powerのヒューズを調べてみたのですが、1Aからのラインナップとなっているため断念。

そこでオーディオ用ヒューズの0.5Aのものをあたってみたのですが、0.5Aのヒューズはほとんど見当たりませんでした。
※普通のヒューズであればいくらでもあるけど、オーディオ用と銘打っているものはほとんどない状況

海外に目をやれば、Synergistic Research、Telos Audio Design、Audio Magicの物がThe Cable Companyで入手できるけど、配送料込みだと安い物でも1万円を超えるし届くのに時間がかかるので今回は諦めました。

で、次善の策として考えたのが0.5Aではなくもう少し大きな容量(0.6Aとか0.7Aとか)のヒューズを探すこと。

大電流が流れた時の故障リスクは高まるけど、そもそも経年劣化以外でヒューズが切れる事態は経験したことがないので、まあいいかと。

だからと言って規格値の倍の1Aを使う勇気は無いので0.6〜0.7A位で探してみたわけですが、一つ見つかりました!

GUSTARD(SHENZHENAUDIO)が自社のオーディオ用機器向けに販売している高音質ヒューズで、容量は630mAです。

SHENZHENAUDIOの直販サイトの説明は次の通り。

  • Fuse is one of the important accessories indispensable for HIFI equipment. Gustard fuses use a combination of thick and thin alloys. It optimizes low and medium and high frequencies separately, increasing the range of hearing and reducing distortion. This fuse can also be used with other brands of products.
  • Sound characteristics: Balanced, clean, and smooth. High-frequency elongation is good and glossy. Medium frequency is strong and thick. Low frequencies are deep and powerful. You can also capture very subtle sounds (vibrations).

狙いとはちょっと違う音のような感じだけど、amazonで3000円だったからとりあえず試してみることに。




※このヒューズには方向性があるので取付方向に注意が必要です


10時間ほどエージングしてから聞いてみた感想はこんな感じ。

  • 芯はあるけど少し柔らかめの音で、艶感がある
  • 音の密度感が少し高まった
  • 情報量も少し上がった
  • 高音はキレイに伸びていて、低音は思っていたよりも深くて豊か
  • ボーカル帯域の透明感には改善がみられなかった
  • 弦楽器や女性ボーカルとの相性(ニュアンス表現力)はかなり良い
  • 音のキレやエッジ感に少し物足りないところがあるためRock系の音との相性はベストではない

音の基本スペックは上がるけど、ジャンルによって若干得手不得手がある感じかな。

でもストックのヒューズよりは良さそうなので使うことにしましたが、ベストではないのでそのうちSynergistic Researchのヒューズ(もしくはリスクは高まるけどIso Clean Powerの1A)を試してみるかもしれません。


とりあえずここまでやってから1ヶ月ほど経つのですが、ヒューズやIECインレットのエージングが進んだこともあり、85点くらいの音にはなってきました。

ちなみにヘッドホンは基本的にHD800を使っているけど、先日久しぶりにEdition8を使ってみたところ、これがドンピシャ!
Edition8の高音の強さが不満点を補ってくれてとても良いバランスになります。

しかしながらHD800の音場の広さと装着圧迫感のなさに慣れているので、Edition8だと音が近すぎるし、耳への圧迫感も気になってしまいます。

やはりHD800使用時の音をもう少しだけ良くしたいと思い、もう一つやってみることにしました。


これはヘッドホン関連機器の電源を取っているアイソレーショントランスですが、左側にOyaide XXX ULTIMO、右側にOyaide R1がついていて、現在はXXX ULTIMOから電源を取っています。

本当はR1から取りたかったのですが、MTB-4に給電している電源ケーブルのプラグが東京での使用環境に合わせたL字型のため、左側のコンセントしか使えないのです。
※右側はコンセントの下にトランス給電用電源ケーブルがあるため、L字型だとケーブルがトランス給電用電源プラグと干渉してしまい挿さらない。

なのでこのプラグを通常タイプのプラグに交換してR1から給電できるようにするという施策。

また、そもそもこのL字型プラグはオーディオ用ではないので、これをオーディオ用に交換するだけで音質アップが見込めるはずです。

早速amazonでOyaideの電源プラグを物色した結果、我が家でも2個使っているP-004のアップグレード版であるAP-004を使ってみることにしました。

P-004のハウジング部を音質的に強化した製品のようです。
※P-037のアップグレード版であるAP-037と迷ったけど、コンセントのR1がプラチナメッキ + パラジウムメッキなので、同じメッキ構造のAP-004の方にしました。
※P-004は情報量や解像力が高く、音全体のバランスが良いので気に入っています。


昨日の夜に届いたので、直ぐに交換作業を行いました。




とりあえずは現在と同じXXX ULTIMOの方に挿してエージングを行い、プラグ交換による音の変化を確認してみるつもり。

ちなみにエージング4時間時点での音を聞いてみましたが、音が重なった時の個々の音のディティールがより明確になり、一つ一つの音の強さが増して粒だちがよくなりました。

しかしながらまだ音像が少し大きく、透明感の向上もみられないので、本調子になるにはまだ時間がかかりそうです。

エージングが完了したら、R1の方に挿して音を確認し、XXX ULTIMOとR1のどちらを使うか決めたいと思います。