前回の中間レビューが40時間経過時点だったので、次は100時間経過時点で中間レビュー#2を書くつもりだったのですが、風邪をひいてしまってとても試聴する気分にはなれなかったため、24時間エージングを進めていました。風邪の症状が多少おさまって、ようやく試聴するモチベーションが出てきた頃には既に推奨エージング時間である200時間を超えていたため、予定を変更して最終レビューとさせていただきます。
エージング完了後の音を一言で表すなら、「凄い!」というのが正直な感想です。価格が価格なのでそれなりに期待はしていましたが、結果は期待を上回るものでした。まさかDAPを変えただけでここまで音が変わるとは!
音場の広さという点を除くと、ヘッドフォンオーディオシステム〔HAP-Z1ES+OPPO Sonica DAC+P-700u+HD800:Z1ESはミュージックサーバー、Sonicaはネットワークプレーヤーとして使用。両機はWi-Fiで接続〕に勝るとも劣らないんじゃいかと...。
こんなことなら最初からWM1Zを買っておけば無駄なお金を使わずにすんだかもしれませんが、Walkman A25から初めて徐々にステップアップしてきたからこそこの音の凄さが理解できるのだとも思います。もし最初からこの音を聴いていたら、ここまで感動しなかったのではないかと...。
音についてもう少し具体的に触れてみたいと思いますが、所謂オーディオ的なスペックに関して言えば、ほとんど文句をつけるところはありません。40時間経過時点に比べ、情報量、解像力、透明感が向上し、高音の伸びと抜け感も十分な水準に到っており、低音もさらに深さが増しました。
もちろん、この音よりもさらにオーディオ的なスペックが上の音は存在すると思います。でも、個人的には今の水準で十二分に満足できるので、今後さらに追求するとするならそれはオーディオ的なスペックではなく個人的な音の嗜好性だと思います。音の嗜好性という点において言うなら、もっと自分の好みの音に近づける余地はあると思うんですよね。
なので、以下の感想はその音の嗜好性についての感想を書き留めておきたいと思います。スペック的な視点ではもはや書くことはありませんから。
- レンジが広くて音の響きが粒子的に拡散するけれども音の厚みがやや薄いといったハイエンド的な音とは反対の、中低音に厚みがあって音の構成要素がアナログ的に滑らかにつながっているような密度感のある音。
- 柔らかさをうまく表現するのでアコースティック楽器の音の質感が良く、またノイズフロアが低いので響きの消え際まで美しい。
- 比較するならエレクトリック系の楽器よりはアコースティック楽器の方が得意だが、エレクトリック系楽器が不得手というわけでは決して無い。あくまで相対的に言えばという意味。
- 音場はHD800程広大では無いが、閉塞感が無く立体的で自然な音場が展開する。言葉で書くと大したことないように感じるかもしれないけど、一つ一つの音の定位と解像力が優れており、個々の音のつながりが自然で、残響音が最後まで聞き取れるノイズフロアの低さがあってこそ表現できる立体感そして自然な音場表現なのではないかと。これって相当凄いことだと思う。
- 音楽のノリとか楽しさがよく伝わる。オーディオ的な凄さよりも音楽の楽しさの方についつい意識が向いてしまう音。
- とは言え、録音の粗とか直ぐにわかってしまうので、聴いていて楽しいアルバムとそうでないアルバムの差が大きい。
- 個人的な好みでは、もう少し弦の音の艶っぽさ艶めかしさが表現できるとベストなのだが、これは今後のチューニングの課題かな。
中間レビューの際にも書きましたが、音の方向性がうちのメインシステムに似ているので奏でる音に全く違和感がなく、スッと心に入ってきます。従ってビックリするような目新しさは無いのだけど、一つ一つの音のクオリティが高いので十二分な満足感が得られます。
結果論ですが、思い切って買ってよかったなと...。
今後の展望としては、もっと艶っぽさが表現できるようなリケーブルの導入が第一目標となりますが、T8iE IIとは別方向のイヤホンが一つあっても良いかなと思ったりなんかして...(^_^;
SONY デジタルオーディオプレーヤー ウォークマン WM1シリーズ ゴールド NW-WM1Z N
- 出版社/メーカー: Sony
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る