DP-X1Aのエージングが完了したので、AK70と比較試聴してみました。
【各種設定】
●イヤホン:AK T8iE II(付属の2.5mm4極バランスケーブル)
●DP-X1A
・ロックレンジ:標準より2目盛り狭く設定
・アップサンプリング:なし
・フィルター:Slow
・イコライザー:なし
・バランス接続:ACG(アクティブコントロールグラウンド)
●AK70
・イコライザー:なし
全体的な印象としては、音自体のクオリティの差はほとんど感じませんでした。DP-X1Aの方が格上の音がするのかと思っていたのですが、そんなことはないですね。
ただし音の違いはあります。以下、AK70と比較したDP-X1Aの印象を書き留めておきます。
- 一番違うのは深い低音が出ること。また量感もAK70に比較してやや多い。このことが音自体のスケール感の大きさにつながっている。
- ピアノの音は、ソリッドなAK70に比べるとアタックに僅かな柔らかさを感じる。
- 楽器の位置が少しだけ近く、また音の線が少し太い。
- 音色の差はほとんど感じないが、曲によってはDP-X1Aの方が若干明るく感じたものもある。
- サウンドステージもさほど違いを感じない。
- 情報量や解像力、音の繊細さは同水準。
- ほんの僅かだがAK70よりも透明感がある。
- DP-X1Aは少し小さめの音量で聞いた時も低音の痩せが少ないので、結果として全体のバランスが良く感じる。
DP-X1Aは音質関連の調整項目が多いので、あくまで前述の設定の場合の印象である点にご注意の程。
今回は比較試聴だったのでアップサンプリングはかけませんでしたが、普段使用する際には96kHzにアップサンプリングしています。アップサンプリング周波数を高くすると空間情報は増えますが、音が繊細になって力強さは弱まります。DP-X1Aは192kHzまで上げられますが、バランス的には96kHzがちょうど良いかなと。
私は基本的にアップサンプリングはしない派(44.1kHで聞く派)なのですが、DP-X1Aはアップサンプリングをオフにしても自動的に48kHzにアップサンプリングされてしまいます。だったらと言うことで48kHz、96kHz、192kHzを比較してみた結果、96kHzのバランスが一番良いかなと思った次第。
またロックレンジを狭くすると音像がシャープに引き締まります。付帯音で拡がった音像がキュッと絞り込まれる感じなのですが、一番狭くすると音が不安定になるため、それよりも一段広い(標準よりは2目盛り分狭い)状態にしています。
ちなみにこの状態だと所謂ハイレゾ音源(DSDを含む)は音が途切れるので、ハイレゾ音源を聞く場合は標準にしています。
DP-X1Aを使ってみて一番意外だったのは、2種類のバランス接続での音の違い。一つはBTL(一般的なバランス接続)でもう一つはACG(Onkyo独自のアクティブコントロールグラウンド)です。ACGの説明をOnkyoのサイトから引用します。
「ACG駆動」は、バランス駆動の特殊な方式で、COLD側アンプの増幅能力を使ってGNDをアクティブにドライブし、揺らぎのない理想的なGNDをキープすることに特化します。通常のアンバランス駆動に対して、高いセパレーション性だけでなくバランス駆動で得られるパワーアップ分を、“安定性”強化に使うことにより、非常にクリアで実在感のあるサウンドが得られます。
最初はBTLの方が良いに違いないと思っていたのですが、実際に聞いてみると上記の説明の通りで、このACGはとても気に入りました。サウンドステージや音の分離感はBTLの方がやや良いのですが、ACGの方が音の“ノリ”とか“タメ”が良く表現され、音の立体感や躍動感が良く出ます。逆に言うとBTLは音の強弱がややノッペリして単調に聞こえます。何を重視するかで評価は変わると思いますが、私はACGの方が断然好みでした。
と言うわけで、会社で使用するのはDP-X1Aに決定。筐体が大きいのは気に入りませんが、音の良さには代えられませんからね。
ただし筐体の小ささは別にしても、DAPとしての操作性についてはAK70の方が断然使いやすいです。会社のデスクで使うのであればDP-X1Aの大きさでも我慢できますが、電車の中や屋外で聞く場合には圧倒的にAK70の方が良いですね。
そういう意味ではDP-X1AとAK70の使い分けができて結果オーライだったかもしれません。