memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

ANKH-III(アンクミニ)の導入

1ヶ月ほど前の日記で「以前から気にはなっていた製品(ルームアコースティック用)の中古の出物を見つけてしまった」と書きましたが、その正体はアンクミニです。



我が家のリスニングルーム(というかリビングルーム)はオーディオとビジュアルが同居しているので、スピーカーの間に55インチのプラズマテレビPanasonic TH-P55GT60)が置かれています。スクリーン前面はガラスのためかなり音を反射するわけで、対策としてアルテのピラミッドTVカバーを試してみたこともあるのですが、結果はイマイチでした。その最大の問題点は響きが減ること。これはピラミッドTVカバーでも、TVに布(バティック)をかけた場合でも同じで、これらの結果を受けてTVには何も対策を施さないことにしました。


ただ1つだけ気になっていたのがアンクミニの存在。音を吸収するのではなく拡散する構造なので、もしかしたら響きを減らさずにサウンドステージの改善ができるのではないかと考えたわけです。評判も良いですしね。
ただしアンクミニの定価は10万円なので導入に二の足を踏んでいたという次第。それが1ヶ月ほど前、HAL’s Circle のメルマガに中古(複数台使用していた方が手放された)が載っているのを発見!慌てて注文し、めでたく導入に至りました。


アンクミニは基本的には置き型なので「AVラックの天面最前部に置いてあるYSP-2200の上に置けば良いか」と安易に考えていたのですが、そう簡単には問屋が卸しませんでした。



さすが拡散式故に響きの量は減らなかったものの、サウンドステージが乱れてしまって奥行き方向への見通しが曖昧になります。より正確に言うならば、サウンドステージの上半分と下半分の聞こえ方が違っていて、上半分はこれまでとさほど変わらないんだけど、下半分だけ曖昧さが増した感じ。


アンクミニの高さは30cmなのでYSP-2200の上に載せた状態だとラック天面からの高さは35cmとなります。一方プラズマTVの全高は約82cmなので、TVのスクリーンの半分の高さにも届かないとうい状態。
さらに言うならばGuarneri mementoのウーファーよりも下に位置するため、TVスクリーン前面での反射音の大半(特に画面上側の反射音)に対しアンクミニは効果を発揮していないようです。


だとするならアンクミニの設置位置を上げるしかありません。とは言え脚の下に何か台を敷いて嵩上げするにしても、小さいものだと設置が不安定だし、かといって大きな箱のような物だと設置は安定するけど箱自体の反射音の影響が大きくなるため本末転倒です。


一番良いのは天井から吊り下げることですが、天井はコンクリートの直打ちなので穴を空けるわけにもいかず、仮に穴を空けて吊り下げ用のフックを敷設できたにせよ、TVスクリーンの前にアンクミニを常設するわけにはいかないので、例えば巻き上げ機構をつけて高さ調節ができるようにするとか、あるいはアンクミニだけ簡単に取り外しできるようにしておかないとならないわけです。


果たして効果がどの程度かもわからない状態でそんな大がかりなことができるわけありません。「これは万事休すかな...」と一旦は諦めたのですが、翌日になって良いアイデアが閃きました。



実はスカイラインを天井に設置(強力な両面テープで貼りつけた)する際、もし剥がれ落ちそうになった場合にテープの接着力が安定するまでスカイラインを押さえつけておけるようにと伸縮ポール(170~280cm)を買ったのですが、結果的には両面テープが思いの外強力だったために一度も出番はなく、輸送用の梱包も解かずに別の部屋に置いてあったのです。



このポールを物干し竿のように左右の壁の間に渡し、そこからアンクミニを吊せるのではないかというのが閃いたアイデア。ポールを最大の長さで使用する場合の耐荷重は8kgだけど、実際にはもう少し短い長さで使用するのでアンクミニ(2.5kg)程度であれば安全に支えることができそうです。


最大の問題はポールからアンクミニをどうやって吊すかということだったのですが、これも少し考えてS字フックを使うというアイデアに辿り着きました。これなら取り外しも楽ですし、紐で吊すよりは見映えも良いですからね。


方針が決まったので早速試してみました。


とりあえず伸縮ポールをTVスクリーンの最上部の高さあたり、ソファーに座ってTVスクリーンを見た際に画面に干渉しないギリギリの位置に設置。S字フックでアンクミニを吊すとこんな感じになりました。




早速試聴してみましたが、やっぱり上下でサウンドステージが異なる違和感を感じますし、奥行き方向の見通しは悪くなります。


ポールの設置位置はこれ以上下げられないので、S字フックを2個連結してアンクミニの位置を少し下げてみました。



多少はマシになったものの、まだ違和感があります。何となくですが、アンクミニがTVスクリーンの中央あたりにくるように設置するのが良さそうな気がしたので、amazonで長めのS字フックを調達し、後日再トライしました。




これまでの中ではサウンドステージの違和感が最も少なく感じます。少なくともサウンドステージが上下で異なるような感じはしません。
この場所が最善かなと思いつつも、念のためにアンクミニを外した状態と比較してみたところ、奥行き方向の見通しや前後の楽器定位はアンクミニを外した状態の方が明快だったのです...(ーー;)


ガ〜ン…orz


色々試してみたものの、以前ピラミッドTVカバーを試した時の結論と同様、TVスクリーンの前には何も置かないのがベストなようです。


一般的にはTVの左右にスピーカーを設置することが多いと思いますが、その場合はきっとTVスクリーンへの対策は効果的なんだと思います。しかしながら我が家の場合はスピーカーユニットの前面とTVスクリーンとの間の距離は90cmもあり、ある意味TVスクリーンが部屋の壁と同じ様な機能を果たしているため、一般論が通用しないのかなと。


念のためにに試聴曲のジャンルを変えて試しましたが、総じてアンクミニが無い方がサウンドステージは良好でした。


ではアンクミニは全く効果がなかったのかというとそう言うわけではなく、音がほぐれる感じはあるんですよね。響きの質自体も少し柔らかくなるようにも思うし、それがプラスオンされるのだったら良かったのですが、トレードオフとして奥行き方向に靄がかかったように見通しが悪くなってしまうのです。


TVスクリーンの直前ではなく、スピーカーの間くらいの位置に吊せば良いのではないかと思うのですが、その位置だと右側がガラスサッシになってしまい、またサッシの前にはカーテンが掛かっているのでポールは渡せないのです。


どういう形にせよTVスクリーンの前方に設置するのは諦めることにして、今度は発想を変えてTVの上に設置してみることにしました。ちょうどTVと天井の梁との間が窪んだ形になっているので音場が乱れるはずです。そこに設置すれば何か良い効果が得られるのではないかという目論見です。


ポールの設置位置を梁の前面下部に変更し、アンクミニを吊してみました。




早速試聴してみたところ、サウンドステージの乱れは感じません。また奥行き方向の見通しも良いままで、サウンドステージ自体が少し上方向に拡がったように感じます。トレードオフの悪影響は無くプラスオンの効果だけを感じるので、これまで試した中では間違いなくベストです!


と言うわけで、予想外に擦った揉んだしましたが、アンクミニの設置場所はTVの上部と相成りました。
設置方法の微調整(特に角度調整)によってもう少し改善できそうな気もするので、それは追々試してみることにします。


兎にも角にも、折角買ったアンクミニが無駄にならなくて良かったです♪