先日のブログで「実際に使ってみるとiPad mini4の最大のメリットは軽さだ」という趣旨のことを書きました。また「当初はiPad air3が発売されたらそちらをメインにするつもりだったけど、iPad mini4メインで十分なんじゃないか」とも。
人によって感じ方は違うと思いますが、自分がそう感じた理由がスペック(数値)に現れているのかどうか気になったので計算してみました。具体的には表示情報量と重量の関係を見てみることにします。
iPad air3がどうなるかはわからないけど、これまでのiPad miniシリーズとiPadシリーズは1024×768ポイントの論理画面サイズである点が共通しており、画面の大きさは違えども表示される情報量は同じでした。無論画面が大きい方が文字も大きくなるので見やすくなるけれど、その分本体サイズが大きくなるため重量も増えるというトレードオフの関係ですね。
そこで「重量1gあたりの情報量(縦×横のポイントを掛けた数値を重量で割る):Points Per Gram」を計算してみました。ちなみにiPhone以外はWi-Fiモデルの重量を使用しており、モデル名の末尾に*がついているのは私が購入したものです。
(注)ここでは情報量を論理的な画面サイズ(ポイント)で計算しています。解像度(表示密度)ではない点にご注意の程。例えば、iPad、iPad air、iPad mini4で同じWebサイトを表示させた時、画面に表示されるサイト領域の大きさは同じなので、3機種の表示情報量は同じであると考えます。厳密に言えばiPad airやmini4のようなRetinaモデルはppiが2倍(ピクセル数だと4倍)になっており、緻密に表示される分情報量は多いと言えます。でもそれを考慮するとややこしくなるので、論理的な画面サイズをもって情報量としました。なおPPGは私の造語ですので悪しからず。
モデル | 重量 | ポイント | PPG | 画面サイズ | ppi |
iPad* | 680g | 1024*768 | 1157 | 9.7inch | 132 |
iPad2* | 601g | 1024*768 | 1309 | 9.7inch | 132 |
iPad air* | 469g | 1024*768 | 1677 | 9.7inch | 264 |
iPad air2 | 437g | 1024*768 | 1800 | 9.7inch | 264 |
iPad mini | 308g | 1024*768 | 2553 | 7.9inch | 163 |
iPad mini2/mini3 | 331g | 1024*768 | 2376 | 7.9inch | 326 |
iPad mini4* | 298.8g | 1024*768 | 2632 | 7.9inch | 326 |
iPad Pro | 713g | 1366*1024 | 1962 | 12.9inch | 264 |
iPhone6s | 143g | 667*375 | 1749 | 4.7inch | 326 |
iPhone6s Plus | 192g | 736*414 | 1587 | 5.5inch | 401 |
第3と第4世代のiPadとiPhone6s/6s Plus以前のiPhoneは割愛しましたが、iPad/iPhoneの全ての機種の中でiPad miniシリーズのPPGスコアが群を抜いて高くなっており、中でもmini4のスコアは初代miniを凌ぎ、2632と全機種中最高のスコアになっていることがわかります。
私がこれまでメインで使用してきたiPad airと比べると、グラムあたりの情報量は1.57倍(情報量は同じなので重量比とイコール)にもなっています。ちなみにiPad airはiPad2の1.28倍なので、iPad2からiPad airに買い替えた時以上のインパクトがiPad mini4にはあったということです。私がiPad mini4に感じた驚きが、PPGという数値から裏付けられたと言えます。
とりあえずの目標は達成しましたが、折角なので他の機種も見てみましょう。
本日発売されたiPad ProのPPGは1962で、miniを除くiPadシリーズの中では最も大きなPPGとなっています。 画面サイズが12.9インチとノートPC並になって情報量も増えたけど、その分重くもなったiPad Pro。個人的にはメリットの方が大きいのかデメリットの方が大きいのかよくわからないモデルだったのですが、PPGで見る限りはiPad air2以上のグラムあたり情報量なので、情報量と重量のバランスはフルサイズのiPadシリーズ以上に良いと言えそうです。
とは言うものの、713gという重量は初代iPadよりも33g重いだけなので重すぎて使えないということはないにしても、今使っているmini4の約2.4倍の重さだと考えると、やっぱり自分で使いたいとは思いませんね。
ちょっと意外だったのはiPhone6s PlusのPPGが1587と意外に低いこと。ppiは401と全モデル中で最高の表示密度で、ポイントもiPhone6sより大きいにもかかわらず、PPGはiPhone6sをかなり下回ってます。どうも納得がいかないので少し考えてみました。
仮にPPGをiPhone6sと同じ1749に設定し、ポイントを736*414のままで計算すると、それを達成するための重量は174gになるんですね。しかしながら実際の重量は192gと20g弱も上回っており、アップルらしくありません。
逆に今の重量のままでPPG1749を達成しようとするとポイントを770*436くらいに設定することが必要です。ここでちょっと調べてみたのですが、iPhone6s Plusの液晶デバイスは物理ピクセルが1920*1080のものを使用しています。他のRetinaデバイスの場合、物理ピクセル=論理ピクセルで、論理ピクセルの縦・横それぞれ1/2となるようにポイントが設定されています(縦1ポイントを2ピクセルで表示。縦横で考えると4ピクセルで1ポイントを表示)。
しかしながらPlusの場合は
ポイント(736*414)→<3倍にスケーリング>→論理ピクセル(2208*1242)→<0.87倍にダウンサンプリング>→デバイス物理ピクセル(1920*1080)
という関係になっていました。結果として他の機種のようにピクセル等倍(論理ピクセル=物理ピクセル)が実現できていません。
なんでこんなややこしいことをしているのかはわかりませんが、推察するに、
- 5.5インチを実現するために使える液晶デバイスの選択肢が1920*1080しかなかった(先にデバイスが決まってしまった)
- それを他のRetina機種と同様のロジックで使おうとするとポイントが960*540になってしまうが、5.5インチでこのポイントだと表示が小さくなりすぎて実用に耐えない
- 仕方が無いので実用的なポイント(それが結果としては736*414)に合わせてスケーリングを行った
ということなのではないかと思います。PPGをiPhone6s並にすること(ポイントを770*436あたりに設定すること)は技術的には何の問題も無いけれど、実用性を鑑みてあえて736*414に抑えたのでしょう。その結果、情報量と重量の関係が悪くなってしまったというわけです。
Androidとの対抗上5.5インチ前後の機種を出さざるを得ないという戦略的判断があり、他のiPhoneやiPadとは違う仕組みを採ってまでも強引に実現したわけですが、本当にiPhone Plusが必要だったのかどうかについては個人的には疑問です。どのみちポケットには入らないのだからiPad miniで対応すれば良かったのではないでしょうか?
まあ経緯はともあれ、結果として重さの割に表示情報量が少ない端末になってしまったわけです。
最後に、近い将来発売されるであろうiPad air3ですが、仮にポイントが従来モデルと同じ1024*768だった場合、PPGが2000を超えていたら買ってもいいかなと思います。今使っているairが1677なので約2割増となり、そのくらいの違いがあると軽さを実感できそうですからね。
仮に目標PPGを2000に設定すると重量は393gとなるので、iPad air2の重量を10%カットすることが必要ですが、実はiPad mini3からmini4になった時の重量カット率が約10%なので十分に実現可能なのではないでしょうか。そう考えると、iPad air3が果たしてどんなスペックで出てくるのか、ちょっと楽しみになってきました♪