仮想アースver.2の試聴結果については昨日の日記の通りですが、試聴過程の中でメインシステムの音自体がどうも気になってきました。
その背景にはPC-Triple Cの自作電源ケーブルを導入したヘッドフォンオーディオシステム(HAS)の音が非常に良く、同じCDを聞いてもメインシステムよりHASの方がかなり良く聞こえるという事実があります。メインシステムとHASを単純に比較するのはナンセンスではあるものの、例えばピアノの1音1音の聞こえ方一つをとってみても、明らかにHASの音の方がしっくりくるのです。
そんなこともあって、仮想アースも気にはなるけど、それ以前にメインシステム自体の音を納得のいくものにすることが先だろうと思うに至った次第。
とは言え、今年度はお金をかける余力はないので、やれることはセッティングを変えることしかありません。となればケーブルアロケーションを再検討するか、あるいはインシュレーターを含む機器設置方法を再検討するかですが、まずはケーブルアロケーションの再検討から試してみることにしました。
HASと比較したメインシステムの感想(問題点)は以下の通りです。
- 中音域が過剰になりすぎている。若干もっさりとして少し鈍重な感じ。
- 高音域のキレと繊細感が今ひとつ。
- 低音域は伸びや量感ともに問題なし。
- 若干ウォームな温度感は今のままが良い。
- ピアノの響きの透明感がやや物足りない。
- シンバルの音の金属感が少し弱い。
- ヴァイオリン等の弦楽器の音は問題ない。
- ボーカルにはさほど不満はないが、若干重いかも。
- 打楽器のスピード感は(システム構成を考えると)まあ及第点。
こうしてみるとポイントは中音域にありそうですね。バランス的に過剰になっていることが高音域に悪影響を及ぼしているように思えます。さらには、最近低音の量感に満足できるようになってきていることが(つまりは低音の量感が以前より増えたことが)、他の帯域に悪影響を及ぼしているかもしれません。
それともう一つ気になっている(反省している)のは、使用しているケーブルの個性の強さ。とりわけ2本のBL2がバランスを崩している原因のような気も...。
と言うわけで、ケーブルアロケーションを以下のように変更してみました。
【従来配置】
Oracle CD2000mk3:BL2
↓ Valhalla
MA1 DAC:Andromeda
↓ WW PEI
PL-L:AC LANDA RH
↓ Valhalla
SS-010:BL2
【新配置】
Oracle CD2000mk3:BL2
↓ Valhalla
MA1 DAC:AET SIN AC
↓ Valhalla
PL-L:AC LANDA RH
↓ WW PEI
SS-010:Andromeda
※狙い
- Oracle→過去の経験から手持ちのケーブルではBL2が圧倒的に良かったので変更無し。
- SS-010→BL2も悪くないんだけど、標準ケーブルであるAndromedaに一旦戻してみることに。
- PL-L→ここは変更の余地があるけれど、とりあえず現状のAC LANDA RHのままで。
- MA1 DAC→現状ケーブルだけで入れ替えを考えると必然的にBL2になるのですが、ここに癖は少ないけど基本能力は高いSINをHASからコンバートしてくるというのが今回の目玉。SIN ACをDACに使うかPL-Lに使うかは迷いましたが、まずは従来からの変更点を減らす意味でPL-LはAC LANDAのままとし、SIN ACはDACに使用しました。
- 音声系については、CDT〜DAC間、DAC〜プリ間をValhallaで統一します。必然的にPEIはプリ〜パワー間に移動。
BL2の影響を減らし、代わりにSIN ACを入れることで、中音〜低音域を抑えてバランスを改善します。またSS-010を標準のAndromedaにすることでSS-010本来の音に戻します。さらに音声系ではCD-DAC周りをValhallaにすることで、CDシステムとしての音の統一感を狙います。
つまりは厚化粧を落とし、さらには個性のぶつかり合いを減らすことで、これまでよりもナチュラルな状態にしようという試みです。
(だったらACケーブルは全て付属ケーブルに戻すという考え方もありますが、付属ケーブルは一度も使ってないのでエージングしなければならないし、何よりクローゼットの中の元箱に入れた状態なので出してくること自体が大変なのです。)
それからCDを取っ替え引っ替えして2時間ほど試聴。MA1 DACの電源を一旦落としたこともあってか最初はフォーカスが甘い感じだったものの、時間が経つにつれて徐々に改善され、最終的には従来とはかなり異なる音になりました。
- HASに比べると中音域がまだ若干強い感じはあるものの、もっさり感や鈍重な感じは大きく改善された。
- 相対的に高音域の存在感が強くなり、バランス的には随分まともに(普通に近く)なった。
- 高音域の繊細さが上がった。
- 響きの透明感が増した。
- 高音の伸びがスムーズになった。これまであまり意識したことはなかったけど、実はピーキーな部分があった高音域がフラットになったような印象。
- でも金属音はまだ物足りない。Guarneri mementoのスタンド台座後部2カ所に入れているスパイク(黒檀)&受け皿(HR石英)のどちらかをメタル製にすれば金属感が強くなると思うのですが、できればそうせずに何とかならないかと。
- ピアノの音はHASの音に近づいた。若干耳につくようなキンキンとした響きがなくなった(これってBL2の音だったのかも)。でもまだHASの音には及ばず(音の芯が弱い)改善の余地がある。
- 低音は、意外なことに量感が減ったという印象はないし、下への伸びも悪くない。ただしベースの音は若干緩くなった。BL2による彫りの深さが減ったから?
- サウンドステージが広くなり、楽器の分離感も少し良くなった。
- 女性ボーカルの艶っぽさは若干後退したが、まあ許容範囲かな。
こういうのは後から気づくわけですが、これまでの音ってどこか無理して出している部分があったのかもしれません。今は肩の力が抜けてすんなりと鳴っている感じがします。その分、良くも悪くも個性は弱くなっており、最初聞いた時は拍子抜けしてしまいましたが、聞き込むにつれて「これはこれで良いんじゃないか」と思えるように。この状態で1週間ほど聞いてみて、違和感があるかどうか確かめてみます。
今後の取り組みとしては、
- MA1 DACとPL-LのACケーブルを交換してみてどちらが良いかを確かめる。
- MA1 DACとPL-LのACケーブルを両方ともSIN ACにした時の音を確かめる。
- 2に加え、さらにOracle〜DAC間のデジタルケーブルをSIN EVOにした時の音を確かめる。
をやってみる予定。尤も2と3は改善策と言うよりも、SIN比率を高めるとどうなるかという興味本位の実験です。
改善目標はピアノの音をHASの鳴り方に近づけることと金属音の再現性の2点ですが、何となくこの2つは関連している気がするので、どちらかを解決できれば自ずともう一方も解決するのではないかと思います。
なおメインシステムから外したBL2は、HASのWadia521に使うことにしました。できることならP-700uでもBL2を使ってみたいのですが、PC-Triple CのACケーブル(1m)は長さ的にWadia521には届かないので、入れ替えて使うことができないんですよね。やっぱり無理してでも3m購入して、1.5mを2本作っておけば良かったかなぁ。
ちなみにStatementの代わりにPC-Triple CのACケーブルを入れることで折角NBS比率を下げたのに、BL2が入ったのでまた逆戻りというか、実質的にはNBS色がより濃くなってしまいました...(^_^;)