(前回のつづき)
2本の12AX7をEHからTESLAに換装したPL-Lは私の期待を上回る音でした。敢えて一文で表すならば「臨場感を伴ったリアルな音」です。
一方“しなやかさ”や“艶”といった私が期待していた“真空管らしさ”(そのおおもとはCaryの体験にあるわけですが)はあまり感じられず、“情感溢れる音”というよりはむしろ“理性的/分析的な音”のように思えます。恐らくこれがTESLA、というかそのオリジナルであるTELEFUNKEN ECC803Sの特徴なのでしょう。
「臨場感を伴ったリアルな音」というのはそれはそれでWelcomeです。でも、できることならばもう少し柔らかで艶のある音になってくれはしないものだろうか...。
そこで打った次の手が、12AT7を交換すること。
TESLAの購入先に相談をして、在庫の中からMULLARD ECC81(中古管)を選択しました。MULLARDに関しては他にも良いビンテージ管があるはずですが、まずは傾向を掴むために手頃なところで妥協です。
土曜日の午前中に到着したので直ぐに交換し、2時間ほど温めてから試聴してみました。
TESLAに交換した時のような劇的な変化はありませんでしたが、ほぼ期待通り“ふくよかで艶のある音”に変化。変化というよりはこれまでの音に“ふくよかさと艶”が付加された感じです。一方で情報量やサウンドステージに関してはさほど変化(低下/縮小)したようには思えません。これは嬉しい誤算でした。
しかしながら世の中良いことばかりではなく、また別の問題が発生。ふくよかになった(中低域のレベルが少し上がった)のはよいのですが、中低域の明瞭度が若干低下しボーカルの中域〜低域が少し曇って聞こえる場合があります。全体としては好みの音に近づいてきているのですが、あと一息という感じでしょうか。
MULLARDのバーンインによって改善される可能性もありますが、逆に悪化する(さらに中低域が膨らんでくる)可能性もあります。そこでさらなる手を打っておくことにしました。
(つづく)