DATUMのセシウムクロックはMUTEC/iClockの基準クロックとして接続され、iClockからMETRONOME(DAC)に対して24.576MHzのワードクロックが供給されるというシステムになっています。
※予備のDATUM4040Aの内部。奥に見える長方形の金属ケースがセシウムユニットだそうです。ルビジウムユニットよりもかなり大きいです。左側中央にある四角い金属ケースは水晶発振器。
iClockは8.0kHz〜24.576MHzのワードクロックを出力することができるのですが、このうち何故か22.579MHz(44.1KHz×512)と24.576MHz(48.0KHz×512)の2つの周波数に関してのみ出力が不安定になります。オシロスコープで見ても波形が安定しません。
この不具合はドイツの代理店から届いた当初から起こっているそうで、代理店にクレームをつけたそうなのですがとんちんかんな回答が返ってきたらしく、そのままの状態になっているとのこと。
そこで、本来はJASONへのクロック供給用(JASONは外部クロックを受けられるようにメーカーにて改造したそうですが、ハンダ付けの仕上がりが気に入らずにやり直したそうです。ちなみにMETRONOMEとは供給するクロック周波数が異なるとのこと)として並行輸入したパルスジェネレーター(クロックジェネレーターとして使用するそうです。デモ機を借りてテストしてみた結果、クロックジェネレーターよりも音が良かったこと、細かな調整が可能、という理由で購入)を本日のオフ会に使用するはずだったそうなのですが、そのパルスジェネレーターが通関に手間取って間に合わなかったという次第。
というわけで残念ながら本来のセシウムクロックの効果は体験できなかったのですが、24.576MHzのクロックを受けるはずのMETRONOMEが何故か半分の12.288MHzのクロックでもロックするとのことなので(ただしツイーターに耳をつけると“サーッ”というノイズが乗っているのがわかる)、折角だからその音を聞かせていただきました。
●音の立体感が素晴らしい。オルフィさんの音はもともと奥行きが深く立体感に優れる音ですが、それがさらに精緻になります。
●音像がピシッとします。でも、しなやかなんです。
●サウンドステージの見通しが良くなります。響きの微かなモワつきがとれて透明感のある響きに。
●これは意外だったのですが、何故か音色が増えたように感じました。カラーコントロールで彩度を上げた感じというか...。
ノイズの悪影響はあるはずなのですが、それを上回る効果感でした!素晴らしい!
iClockの不具合が直って24.576MHzのワードクロックをMETRONOMEに供給し、さらにパルスジェネレーターでJASONにクロックを供給し、iClockとパルスジェネレーターにはセシウム外部クロックにてレファレンスクロックを入力する、というオルフィさんが当面目指しているシステムが完成した時、果たしてどんな音に進化するのでしょうか?人ごとながら、ワクワクしますね。
当日はセシウムクロックの効果実験以外にも、
●ガルネリのサランネット(ゴム製の簾みたいなやつ)のゴムの材質による音の変化の実験。純正のゴムは響きを吸い過ぎてしまうとのこと。ちなみに翌日我が家のガルネリのサランネットを外して聴いてみたのですが、響きもさることながら音像がピシッと締まったのが印象的でした。
●ホーザンの消磁器によるCD消磁実験。同じCDを2枚用意しての比較ですが、確かに透明感が増しました。我が家にもアコリバの消磁器がありますが、効果感が小さいのと何となく高域が硬くなるような気がしたのでここ数年は使用していませんでした。でもホーザンの消磁器では特にデメリットは感じません。自宅に帰ってから早速楽天にて発注しました...(^_^)
●とあるノイズ吸収シートの効果実験。JASONの上にかぶせても、バッテリー電源の上にかぶせても、何をしても響きが減って音が死にました...(^_^;)
●オルフィさんが特注した銅箔の効果実験。METRONOMEの真空管2本のうち1本に巻き付けて効果を検証。先のノイズ吸収シートのように響きが減ることはなく、透明感が高まりました。
などの実験をしていただきましたが、実は個人的に最も興味深かったのがヴァイオリンを置くことによる倍音強化の実験。
何も大層なことはなく単にヴァイオリンをスピーカーの間に立てるだけなのですが、これがビックリするくらい効果があるのです。
基本的には響きの深みが増すという効果なのですが、何故かはわかりませんがサウンドステージの見通しも良くなります。単に倍音を付加しているというよりは、不要な響きを吸い取っているかの如く感じます。
無論この効果は共鳴作用によってヴァイオリンの胴が発する倍音が付加された結果だと思いますが(演奏中にヴァイオリンのf字孔に耳を近づけると微かに音が聞こえます)、ヘタなケーブル交換よりもよほど効果があると感じました。
面白いのは、ヴァイオリンを置く高さを変えると音が変化すること。床置きではなく20cm程度の台の上にヴァイオリンを置くと、響きが更に華やかになります。でも個人的には少し響きが過剰に感じました。床置きくらいが丁度良いみたい。
またドイツ製のヴァイオリンから中国製の安いヴァイオリンに変えると、効果が半減します。何も置かないよりは良いのですが、明らかに響きの質/量ともにドイツ製の方が上。
弦楽器系を中心としたアコースティック音楽との相性がベスト(ていうか、アコースティック系以外には使えない?)とは思いますが、先入観にとらわれることなく色々試してみると面白いかも。
このヴァイオリンの効果がとても気に入ったので、すぐには無理なのですが、プリアンプ導入後の次なる目標として“数十万円程度の中古ヴァイオリンの導入”を検討することにしました(^_^)
試聴終了後、一力にて美味しいラーメンをご馳走になり、桶川駅まで送っていただいてお開きとなりました。
帰りの電車の中でオルフィサウンドを思い返してみたのですが、前回お伺いした際には響きの量的な側面での印象が強かったものが、今回はその響きが質的に進化しているように感じました。にもかかわらず、楽器の基音と倍音とのバランスが凄く自然なところが素晴らしいです。オルフィさんのお話しの中では倍音に関する言及が多いのですが、もととなる基音がしっかりとしているからこそあのオルフィサウンドが成立しているように思います。(きっとオルフィさん的には当たり前すぎて言及するには及ばないのでしょう)
翌日、ガルネリのサランネットの実験も兼ね、久々に我が家のサウンドをじっくりと聞いてみましたが、オルフィサウンドとの差はどんどん広がっているようで、少し悲しくなりました。
ま、同じ道を歩めるわけでもないので、私は私なりにボチボチとマイペースでやっていきたいと思います。
最後になりましたが、オルフィさん、どうもありがとうございました。<(_ _)>
プリアンプを導入した暁には、ぜひ我が家の音を聴きに来て下さい。少なくとも前回来ていただいた時よりはマシな音になっているはずですので。
その際には、おいしいイタリアンをご馳走させていただきますね。