memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

HD650の底力

W1000Xを待機モードにする代わりに1年ぶりに引っ張り出してきたHD650(with ALO SXC Cryo 18awg)。
初日は高域がマスキングされた感じの残念な音でしたが、2日目には随分クリアになってきて、3日目には完全に本調子を取り戻しました。
それからさらに3日間くらい毎晩聞き続け、その後T1を1日、E8を3日くらい聴いて思ったこと。


「HD650って結構やるじゃん!」


確かにT1、E8と比較すると情報量と分解能(繊細な表現力)において若干劣るものの、T1、E8とは明らかに異なるサウンド世界を持っていて、そのベクトルと完成度においてはT1、E8というハイエンド機種とも互角に戦えるだけの戦闘力を持っているように思います。


若干緩いながらもどっしり感のある低域に支えられたピラミッドバランスのサウンド、繊細さには若干かけるものの太くて力強く僅かに煌びやかさを感じさせる中域、刺激的な音は出さないながらも十分に伸びやかな高域。フラットバランスのT1、低域と高域が強調されたE8とは、サウンドバランスそのものが大きく異なります。


またどちらかといえばクール寄りでドライなT1、E8に対し、HD650はウォーム寄りで微妙にウェット。先に触れたピラミッド型のサウンドバランス、さらには自然な定位感(特に前方定位に優れる)と広いサウンドステージという特徴と相俟って、聞いていて実に安心感のある心地良いサウンドを奏でてくれます。
特にクラシックを初めとするアコースティック系サウンドやボーカルは非常に良いですね。


T1との比較で面白いなぁと思ったのは、女性ボーカルの聞こえ方の違い。全ての女性ボーカルがそうだというわけでもないのですが、T1の方がHD650よりも女性の年齢が3〜5歳くらい若いように感じます。言い方を変えると、HD650の方が女性の声が艶っぽく(また少し太く)聞こえ、T1の方が可憐に(繊細な感じに)聞こえます。メインシステムでの聞こえ方を基準とすると、どちらが標準的というわけではなく両方ともに特徴的(ベクトルは反対向き)なような気がします。


以前使用していた時よりも良い感じで鳴ってくれるので「何でかなぁ」と考えてみたら、どうもM1-DACとの相性の良さが奏功しているみたいです。特に低域の量感などはM1-DACの恩恵も大きそう。
初日の残念な音を聞いた時には「HD650を売り払ってHD800に行くか」という考えもチラッと頭をよぎりましたが、今の音ならその必要はないですね。


先日書いたように、できればM1-DACは外してm903(DAC+アンプ)に集約したいと思っていますが、HD650+M1-DACの音を聴くとM1-DACは外せないかなぁ。まあ、実際に聴いてみないとわかりませんけどね。


ちなみにm903が届いたらHD650でトライしてみようと考えていることが一つあります。もしうまくいけばHD650もm903で鳴らすことになるかもしれません。その話は次回にでも。