memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

Grace Design m903

昨年末にヘッドフォンオーディオシステムの新兵器として予約したブツはm903(m902からの買い替え)なのでした。

当初の予定だと12月下旬発売だったのですが、年末に中野のお店に問い合わせたら「セカンドスタッフの話だと、未確定だけど1月中〜下旬くらいらしい」という回答で、さらに一昨日セカンドスタッフに直接問い合わせた結果では「現在GraceDesignにて製品の厳重な動作検証等を行っており、完了次第出荷(時期は未定)」とのことでした。
出荷直前に何らかの不具合が見つかったのかもしれませんね。大事でなければよいのですが...。


セカンドスタッフさんのサイトに掲載されているm903の概要を引用しつつ、ネットで調べた情報を付加しておきます。


◆m903

◆m902

■ ” Next Generation DAC
極低歪、バランスのカレント to ボルテージ・コンバート
10dBものダイナミックレンジ・アップグレード

m902のDACはPCM1730Eでしたが、m903ではPCM1798が採用された模様。1798よりもS/Nが4dB良いPCM1792/4を使用しなかった理由は消費電力が高いため(1792/4は205mW、1798は115mW)。DACの電源部に採用しているシャントレギュレータの設計との兼ね合いみたいです。
I/V変換回路にはTHAT1570、LPF回路(※原文ではHPFとなっているのですが、LPFの間違いではないのかな?)にはOPA1612を使用しているようです。

■ ” ACCULINK USB 2 IN “
完全非同期のトランスファーモードによる「bit-perfect」プレイバック
24bit/192kHz オペレーション
MacOS=ドライバーレス、windowsOS=192kHz再生にはドライバーが必要)

m902のUSBインターフェイスは余り評判がよろしくなかったように思いますが(まあ発売時期が古いですからねぇ...)、m903はどうなんでしょう?少なくともスペック的には先端に近いところをキャッチアップしてきましたね。
おそらくこのUSBインターフェイスの機能強化がm903の最大の目玉だと思うのですが、残念ながら我が家では(今のところ)使う予定無し。

■ あたらしいボリュームコントロール設計
より高いヘッドルーム、低歪&ローノイズ

ボリュームコントロールにはCirrus CS3318を採用しており、PGA4311(m902)よりもノイズレベルが7dB低いそうです。T1とHD650はインピーダンスが高いので違いがわからないような気がしますが、E8使用時にはわかるかも?

■ ヘッドホン出力プロテクション回路
ゴールドコンタクト・リレー採用、電源投入時のポップノイズを除去

m902ではそこそこ大きなポップノイズが出ますから、それが無くなるのは良いですね。

■ バランス/アンバランス・ライン出力
個別にレベルコントロールが可能

プリアンプとして使う予定はないので個人的にはどちらでもよい話ですが、m902ではオプション扱いだったバランス出力(TRS)を標準搭載しました。
ちなみにこれらの出力は±9.5dBの出力補正が可能なので、プリアンプとして2セットのアンプ/スピーカーセットをコントロールする場合に2セット間の音量差を補正できるそうです。
またそれぞれの出力(バランス/アンバランス)は、L/Rバランス、ライン出力、電源オン時のプリセットボリュームレベルの調整が可能です。

■ アップグレードした ”S-Lock PLLサーキット”
さらに低いフェイズノイズ、極限のロージッター

基本的な構成はm902と同じだけれど、いくつかの重要な改良を行っているそうです。
・位相ノイズ(ジッター)が低いVCXOsを搭載。
・PLL回路の位相比較器を低ノイズのチャージポンプ回路にアップグレード。

■ 進化した “ X-feedサーキット”
より自然な低域バランスを実現

これもあまり関係ないですが、一部の楽曲で知覚される低域の減少感を補正する回路を搭載したとのことです。

■ 理想的なパワーサプライ設計
ヘッドホン/ラインアンプ/デジタル回路アイソレート

3つそれぞれに独立した電源供給回路を搭載。これは重要ですね。期待大です!

■ ” Sonic Performance“
マイケル・グレースの美学を結晶させたパーフェクトデザイン

デザインコンセプト自体は変わっていませんが、入力セレクタが大きくなって位置が若干右側に移動、またボリュームレベル等を表示するLEDがブルーからホワイトに変更されました(写真参照)。ちなみに入力セレクタにはスイス製のEAOロータリースイッチが採用され、回した時の感触がソリッドになったとのことです。


セカンドスタッフさんのサイトでは肝心のヘッドフォンアンプ回路について何も触れていませんが、どうやらm902からほとんど変わっていない模様。m902のヘッドフォンアンプ部分は評判良かったですから、ヘタにいじらないという判断ですね。ただし、出力保護回路を信号ライン上から電源ライン上に移したこと、独立した電源供給回路を搭載したことによるクオリティアップは期待できそうです。


まとめると、DACとUSBは一新され、アンプ部は従来よりも若干のクオリティアップに止まる、といった感じでしょうか。


今のところはUSBインターフェイスを使う予定がない私にとっては実に微妙な改良内容なわけで、実際、m902から買い替えるよりは新しいDACもしくはヘッドフォンアンプを買った方が良いのではないかと、さんざん悩みました。


その結果「やっぱり買い替えよう」と思ったのは、iPod+Transport+m902 という“コンパクトで美しくて高音質なHAS”というオリジナルコンセプトに戻せるものなら戻したいと思ったから。
そしてそれをもう一度実現する上で最大の問題点だったm902のDAC部が改良されたm903には期待が持てそうだから。もともとデザイン及びアンプ回路についてはお気に入りなので、DACさえ強化されれば全く問題ないわけです。


DAC強化のために追加導入したM1-DAC。その音自体は気に入っているものの、その存在がベッドサイドを物々しくしていることは気に入らないのです。加えて言うなら、T1とHD650との相性はよいもののE8との相性がいまいちであるところも気になります。

もしm903のDACと、E8、T1、HD650の3台との相性が良いようであれば、M1-DACはメインシステムに移設する(もしくは手放す)予定。そうすれば、“コンパクトで美しくて高音質なHAS”というコンセプトを再び実現することができます。
やっぱりベッドサイドはスッキリさせておきたいのです。


今の感じだと1月発売はなさそうなので、早くても2月中旬〜下旬、最悪3月にずれ込む可能性も無くはないと予想していますが、精神衛生上良くないので早いこと発売日だけでも確定させてもらいたいものです。
なおm902は下取りに出す予定なのでm902とm903を同時に比較することは出来ませんが、m903が届いた暁には感想なぞレポートしたいと思います。


【1/21追記:セカンドスタッフさんのツイートによると「GRACE designのあたらしいヘッドホンアンプ& DAコンバーターであるm903。そろそろ本国での出荷体制が整ってきそうであるとの情報が!初回は台数に限りがあります・・・お早めにご予約を」とのこと。どうやら2月には発売されそうな感じですね。】


【1/24追記:またまたセカンドスタッフさんのツイートですが「GRACE designの最新ヘッドホンアンプ&高性能DACが本国出荷間近との情報が!PCオーディオファンにも嬉しいキング・オブ・ヘッドホンアンプの登場が待ちきれません!」だそうです。】