memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

DMR-BWT3000 #3

少し間が空いてしまいましたが、BWT3000のレビュー第3回は画質/音質および関連機能についてです。
ただし、感想に関してはこれまで毎日のように使用してきたBW800に関する脳内記憶との比較ですのでご注意の程。また50インチのリアプロSONY KDS-50A2500)を距離2m強にて視聴している状態での感想となりますので、これもご注意の程。(100インチのプロジェクタであれば判別できる違いも、我が家の環境では判別できない可能性が大きいということが言いたいわけです。)


能書きはこれくらいにして、レビューを始めましょう。

まずはHDDへの録画/再生についてです。
HDDに録画したDRモード、HXモードのアニメを前提とした感想となりますが、DRモードに関しては、正直なところBW800との違いがわかりません。そもそもBW800のDR画質については満足していたものの、最新機器なので更に良くなるのかなと思っていただけにちょっと残念でした。
DRモードの音質に関しても同様で、違いがわかりません。ただしデジタル出力に関しての感想であって、アナログ出力ではない点にご注意下さい。
HXモードの画質に関しては若干良くなった気がします。色の濃さ、あるいは密度感みたいなところが僅かに向上している感じ。
またHXモードの音質も良くなっています。特に高域が伸びやかになった点が印象的。BW800のHXモードの場合は圧縮音声で記録されますが、BWT3000はオリジナルのAACで記録されるようになったので、やっぱり違いがありますね。


次に市販のBlu-rayディスクの再生に関して。
アニメ(東のエデン・劇場版II)をBW800とBWT3000で再生して比較してみましたが、残念ながら画質/音質ともにほとんど差を感じませんでした。
普通の映画(シャーロックホームズ、White Out)をBWT3000で再生した印象でも(これはBW800との比較はしていません)、特に画質が良くなったという印象は受けませんでした。

一方、DVDディスク(アニメ:Murder Princess)の再生に関しては、画質が向上しているように感じます。BW800は(Blu-rayは別として)DVDの再生画質が悪かった(BW800の購入当初に一応テストしてみた)ので、その後DVD再生にはUX-1のみを使用してきたのですが、BWT3000では結構見られる画になっているように思います。特にノイズ処理が上手になり、画の滑らかさが向上したような...。
ホントかなぁと思って同じ箇所をUX-1でも再生してみたのですが、画に関してはやっぱりいい勝負をしてますね。これならBWT3000を使ってもよいかも。
ただし残念ながら音についてはUX-1の方がかなり良い(特に低域の骨格の太さやスケール感での違いが大きい)ので、やっぱりDVD再生にはUX-1を使うことになりそうです。


というわけで、HXモードでの録画再生、DVDの再生については改善が見られたものの、DRモードでの録画再生、Blu-ray再生については特に違いを感じませんでした。


録画/再生に関するレビューの最後に、デジタル音声出力の不具合に関して触れておきます。
BWT3000のデジタル出力(SPD/IF)は同軸/光の2系統ですが、個人的に光の音は好きではないので必然同軸出力をWadia521につないだわけです。
実はWadia521には入力切替の際の自動レジューム機能がついていて、入力を切り替える際には音量(アナログ出力レベル)が一度小さくなり、そして入力が切り替わると音量が徐々に大きくなるのですが、何故かBWT3000の同軸出力をWadia521に入れると(入力を切り替えたわけでもないのに)自動レジューム機能が勝手に働いて音量が大きくなったり小さくなったりを繰り返してしまいます。(入力を切り替えたとWadia521に誤認させるような何らかのノイズがのってしまっているのかもしれません。)
念のためWadia521の入力端子を変えてみても結果は同じ。ちなみに光出力の方は正常に再生されます。
BW800では何の問題もなかったのでBWT3000の不具合である可能性が大きいのですが、もしかすると例の相性問題という可能性もあります。そうなると、メーカーサイドが故障として認定するかどうかはわかりませんし、折角設置したものを送り返すのは実に面倒。できればこのまま使い続けたいわけです。


そこで何か良い対策はないかと考えた結果、BWT3000の同軸出力(SPD/IF)をSRC2496経由でAES/EBUに変換してWadia521に入れることを思いつきました。もしかすると変換の過程で正常な信号に戻るかもしれません。
で、早速やってみたところ、ものの見事に正常に再生されました!
音声そのものにノイズが混じるというような症状であればクレームをつけるのですが、光出力だと問題はないわけだし、この不具合に関してはWadia521との相性のような気がしてなりません。気持ちの悪さは残りますが、とりあえずSRC2496経由であれば問題は起きないので、このまま使い続けることにしました。




ちょっと話が逸れてしまいましたが、レビューに戻りましょう。次は画質/音質関連機能に関する感想です。
まずは画質関連機能ですが、再生設定における「画質モード(シネマ、アニメとか)」は画の感じがかなり変わって面白いです。アニメモードだとエッジがシャキッとして色の彩度が上がり全体的にパキッとした画になります。シネマだと逆にしっとり感が出て明るさも抑えた落ち着いた感じの画になります。これは結構使えそうです。

超解像」も違いがすぐにわかるくらい効果が大きい機能ですが、確かに解像度は上がるものの、その分エッジが荒れてノイズ感も強調されるので、少なくともアニメでは使い物にはなりませんでした。元々の画質が良い実写映画であれば使う価値があるかもしれませんが、私には必要のない機能のようです。

他にも幾つかの画質系機能(「ディティール・クラリティ」とか、「HDDノイズオプティマイザー」とか)がありますが、はっきりとした効果が認識できなかったのでデフォルト設定のままにしてあります。


次に音質系ですが、ほんの少し期待していた「真空管サウンド」(柔らかくて透明感のある音が出たりすると素敵!)は、周波数レンジが狭くなる(高域が伸びなくなる)というネガティブな印象しか感じず、使い物になりませんでした。
まあよく言えば聴きやすくなると言えなくもありませんが、単に高域をロールオフさせてダイナミックレンジも抑えただけの音のような気がします。ちなみに1〜3のレベル設定がありますが、これは音の質の方向性(真空管の種類や回路方式)の違いではなく、単にイコライジングレベルの差だと思います。


「デジタル リ.マスター」機能は「真空管サウンド」とは逆に高域が不自然にきつくなる感じで、やっぱり聴くに耐えません。
こんな誰が使うのかわからないような機能は搭載せず、基本的な音質を高める方向でコストをかけて欲しかったです。


その他の機能の中で触れておくべきは「シアターモード」ですね。
ディスク再生の際にHDD等の余計な回路の電源を切ってノイズを抑えるという機能で、これまでのオーディオ経験から類推するとこの手の機能はそれなりの効果があるはず。ON/OFFの切替が面倒ではありますが、Blu-rayディスク(東のエデン、White Out)でもってON/OFFの効果を試してみました。
結果、画に関しては気持ち透明感が高まり、音に関してはノイズフロアが僅かながら低くなるような気がしました。所謂S/N比が高まった感じですが、明らかに違いがわかる程の効果ではなく、何となく違うかなぁ(でも確かに違うと思うなぁ)というくらいだったので、少しガッカリ。
普通であれば「たとえ僅かでも効果があるなら使用する」のですが、以前にも触れたようにこの「シアターモード」は使い勝手が悪いので(ONの状態では予約録画ができないので)、普段は使用しないことになると思います。


最後に、編集機能に関して触れておきましょう。
BW800と比較して非常に使い勝手が良くなった点が2つあります。

1つ目は自動チャプター機能(2番組同時録画の場合は両方とも対象となる)です。チャプターの位置精度自体は必ずしも高くはないのですが、ゼロ状態からチャプターを打っていくよりは、既に打ってあるチャプターの位置を修正する方が効率的ですね。

2つ目はHX、HGモードで録画した番組編集の場合でも1フレーム単位でのフレームバックができるようになったこと。BW800の場合、HX、HGモードで録画した番組では、1フレームごとに進めることはできても、戻る場合はGOP(?)の切れ目まで戻ってしまいます。
従って、一度GOPの切れ目まで戻り、そこから何フレーム進めれば編集ポイントになるかを数え、再びGOPの切れ目まで戻り、先ほどカウントしたフレーム数から数フレーム引いたフレーム分進めてチャプターを打つ、という面倒な作業をしていました。
BWT3000では(BWを使用している友人に確認したところでは800のすぐ後の世代くらいからは既にフレームバックができた模様)フレームバックができるようになったので、作業が随分と楽に!
これら2つの機能のおかげで、チャプター編集作業時間は従来に比べてかなり短縮できるようになりました。




以上で3回にわたったBWT3000のレビューは終了です。
基本的な画質/音質に関しては期待していたほどの進化は認められませんでしたが、長時間モードでの2番組同時録画、チャプター編集に関わる機能の強化、無線リモコンといった、ユーザビリティの進化は期待以上!ただしリモコンのボタン配置等、個人的に改善して欲しい点はいろいろありますけどね。
冷静に振り返るならBW880で十分だったとも思いますが、何故かさほど後悔はしていません。やっぱり最上位機種を買ったという満足感なんでしょうね。


次回は番外編として、Panasonicのシアターバーを取り上げる予定。