素敵なデザインのコーポラティブハウスにて専用設計のオーディオルームで音楽を楽しまれているkohorogiさん。以前Guarneri Homageを使われていたということや家が比較的近いということもあって、先週土曜日にお宅にお邪魔してシステムを聴かせていただきました。
◆kohorogiさんのブログ
物神事記
◆kohorogiさんのリスニングルーム
http://d.hatena.ne.jp/kohorogi/about
◆オーディオ機器
Goldmund Eidos 38
Accuphase DP-100
Accuphase DG-48
Goldmund 20ME
Jeff Rowland Coherence
Jeff Rowland model 8SP
Wilson Benesch Bishop
オーディオルームに入ってまず目に飛び込んでくるのがWilson BeneschのBiship。実物を見るのは初めてですが思っていた以上に背が高いです。正面から見るとウーファーの裏側が見える(2本のウーファーを向かい合わせに取り付けたアイソバリック方式)という独特のルックスも相俟って、凄い存在感!
そして中央にはJeffの8SPがその銀色の巨体を妖しく煌めかせ、まさにハイエンドシステムというオーラを放っています。
試聴用に持ち込んだCDを10枚弱ほど取っ替え引っ替えして聴かせていただきましたが、最も印象に残った点はそのサウンドステージの広さ。スピーカーが正面の壁からかなり離して(2m弱位?)セッティングしてあるということもあり、スピーカーの後方に非常に綺麗なサウンドステージが展開します。
個人的には、奥行きの深さに比べて左右方向の広がりが相対的にやや狭いという点が少しだけ気になりましたが、その広大かつ正確なサウンドステージは実に魅力的。
私のレファレンスディスクでもあるハイドンの弦楽五重奏をかけた時に、楽器の配置(特に前後の位置関係)がものの見事に浮かび上がってくる様は、良い意味でショックを受けました。このサウンドステージは我が家では逆立ちしても実現できませんね。
- アーティスト: ウィーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団,ハイドン
- 出版社/メーカー: プラッツ
- 発売日: 2002/12/21
- メディア: CD
- クリック: 2回
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次に印象的だったのは中高域の弱音表現の美しさ。暗騒音の少なさもありますが、ピアノやヴァイオリンの音が消えゆく間際の表現が実に繊細で美しいのです。サウンドステージの広さと正確さ、そして音の余韻までも楽しめるこのサウンドは、私の理想の80%位を満たしている音だと思いました。残りの20%は、多分ヴァイオリンの音色の好みの問題かな。何だかんだ言ってもやっぱりソナスのヴァイオリンの音が好きなんですよね。(^_^;)
その他にも色々と感じたことはあるのですが、最後に今回最も参考(勉強)になった点は、音量に関するスタンスの違い。
オルフィさんにも言われたことではありますが、私にとっての適正音量はどうも一般的なオーディオファイルの方々に比して異常に小さいようです。今回試聴させていただくにあたり、試聴音量は私自信が調整させていただいたのですが、その音量と、kohorogiさんが普段お聴きになる音量とでは相当な開きがあり、曲にもよりますがCoherenceのボリューム表示では少なくとも10dBは差がありました。
試しに宇多田ヒカルのCDをkohorogiさんが普段聞く音量にしてかけていただいたのですが、私にとっては音が大きすぎて曲を楽しむことができない状態。確かに迫力はあるのですが、自分が普段試聴する際のポイント(サウンドステージという枠組みで演奏全体をやや俯瞰的に捉えつつ、個々の楽器の音色や情報量をチェックする)をうまく把握することができません。
同じ曲を聴くのにどうしてこうも音量が違うのだろうと不思議だったのですが、試聴後に近くの居酒屋で飲みながら話をさせていただいた時に何となく理由がわかってきました。
純粋に楽曲を楽しむという点はちょっと脇に置いておいて、オーディオ的観点から何をポイントに試聴しているかという点に限って言うならば、お互いの楽しみ方のスタンスが基本的に異なっているようです。誤解を恐れずに敢えてデフォルメしていうならば、私は音の全体的な佇まいを楽しんでいるのに対し、kohorogiさんは音量を上げることによって個々の音に内包される微細な情報を拡大し引き出して楽しまれているようです。
絵画を見る際、少し引いた位置から全体として画を捉える見方と、画にぐっと近づいて細かな筆致や微妙な色づかいを見る見方があるように思いますが、その違いに近いのかもしれません。
無論どちらが正しいという性質のものではなく、両方の見方をもって多角的に楽しむとことが必要なのでしょう。ただし絵画の場合この2つを楽しみ方を同時に行うことはできないわけです。全体を見るためにはある程度画から距離をとらなければならないし、細かな部分を見るためには画に近づかなければならない。この場合の画と自分との距離が、オーディオでは音量に相当するのでしょう。そしてその2つの楽しみ方のバランスをどこでとるかという違いが、自分にとっての適正音量として現れるのかなと思います。
ただし絵画を楽しむのとは異なり、オーディオの場合にはこの両方をかなりの水準で実現することは可能なのかもしれません。そのためにはシステムもさることながら、適切なアコースティックチューニングが施されたそれなりに広いリスニングルームが必要だとは思いますが、残念ながら宝くじでも当たらない限り私には無理ですね。(T.T)
10月には我が家の音をお聴きいただく予定ですが、音量も含めてkohorogiさんの音とは相当違うのであまり参考にはならないかもしれません。せめてGuarneriの弦の音だけでも楽しんでいただけるよう、この連休の間にブラッシュアップしておきたいと思います。
kohorogiさん、素敵な音を聴かせていただいてどうもありがとうございました。