- 作者: レヴグロスマン,Lev Grossman,三川基好
- 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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休暇中に公爵家の蔵書を整理することになった銀行員のエドワード。そこには『キムメリア人の国への航海』という、14世紀に書かれた幻の古写本があるはずだという。もしそれが発見されればものすごい価値を持つという書物だ。いったいそれはどんな書物なのか?本当にここにあるのか?そしてなぜ公爵夫人はそれを捜しているのか?エドワードは中世学専攻の女子学生マーガレットの力を借りて、すべての謎解きに挑むのだが…。
【評価】★★★☆☆
伝えられている内容から、後世に作られた偽書なのではないかという疑惑を持たれている「キムメリア人の国への航海」。もしも偽書ではなく本当に書かれていたとしたら、そしてそれが現代に存在しているとしたら、計り知れない価値を持つといわれる。
その幻の本を探すというのが「コーデックス」のメインストーリーですが、それだけだったら他にも似たような小説はいくつもあります。この「コーデックス」が面白いところは、幻の本の探索ストーリーと、「キムメリア人の国への航海」という本に記されているストーリーという本来全く別であるはずのストーリーが、友人に薦められて始めた「モーモス」というPCロールプレイングゲームの中での不可思議な体験が介在することにより、徐々に錯綜してくるところでしょう。
特に、幻の本を探す過程で訪れたいくつかの場所が、何故かゲームの中に登場するというくだりは、「ディック的展開になるのか!」と少し期待したのですが、残念ながらちゃんとしたオチがありました。(^_^;)
“ダヴィンチコードを凌ぐ傑作サスペンス”という謳い文句はどうかと思いますが、総合的には“まずまずの面白さ”といったところでしょうか。『本』に纏わる小説が好きな方にはお薦めかも。