memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

最近読んで面白かった本

本はコンスタントに読んでいるのですが、感想を書くのが面倒なのでブログで紹介するのがつい億劫になってしまいます。でもこのブログの目的は趣味領域の外部記憶装置なので、読んだ本、いや買った本は記録しておきたい!...というのは、情けないこと買ったことを忘れてしまい、同じ本を2冊買うということがまれにあったりするから...(^^ゞ そこで、今後は次のような方針で日記に記録していくことにしました。
◆購入した本はその時点で記録する。
◆読んで面白かった本は評価点(5段階)と短いコメントをつけて紹介する。

今日のところは過去数ヶ月ほど遡って面白かった本を紹介することにします。明日は最近買って積んである未読の本を記録しておく予定です。


マギの聖骨 (上)

マギの聖骨 (上)

マギの聖骨(下)

マギの聖骨(下)

【評価】★★★★★
シグマフォース・シリーズの第1作。米国防総省の秘密特殊部隊で殺しの訓練を受けた科学者で構成されるシグマフォースが、米国の安全保障にかかわる重要な科学技術の保護・入手・破壊に活躍するというお話。
特筆すべきは、本書で登場する科学、化学、キリスト教史、古代史、軍事兵器などは全て事実もしくは事実をふまえた記述であること。例を挙げると、遷移金属、m状態の金、非対称的高スピン状態、マイスナー磁場、超伝導体、NPLスーパーブラック、液体防弾スーツなどなど。
本書は、キリストの生誕を祝福しに訪れた東方の三博士(注:ガスパール、メルキオール、バルタザールの3人。ちなみにエヴァンゲリオンに出てくるスーパーコンピューター・マギの名称はここから来ています)として知られる「マギ」(注:マジックの語源とも言われています)の遺骨に隠された驚愕の秘密をめぐるお話ですが、文句なく面白い!最高です!
次作「Black Order」(2006年)は、進化論、知的設計論、ナチの秘密実験、量子論を絡めたお話だそうです。翻訳されるのが待ち遠しい!


昼は雲の柱

昼は雲の柱

【評価】★★★★☆
以前紹介した「死都日本」の著者・石黒耀さんのクライシスノベル第3弾。「死都日本」では霧島火山帯の爆発を題材としたお話でしたが、今回は「富士山」です。爆発に関するディティール描写の迫力もさることながら、「徐福伝説」「記紀神話」「火山神伝説」を絡めて描いてある点がストーリーに幅と深みを持たせています。古代の富士山が今のような姿ではなく、ツインピークスであったという事実も驚き!
ストーリーのダイナミックさという点では「死都日本」の方が一枚上手ではありますが、その点以外は文句なし!続編もあるらしいので楽しみですね。


M8(エムエイト) (集英社文庫)

M8(エムエイト) (集英社文庫)

【評価】★★★★★
これまたクライシスノベルですが、今度は「地震」のお話。『「東海地震」の前兆現象に日本が揺れる中、実はその背後で「首都直下地震」がその牙を剥きつつあった。その事実を察知した若き研究者・瀬戸口は被害を最小限に抑えるべく行動を起こすが...。定説 vs. 新理論、東海地震予知連絡会 vs. 気象庁、総理大臣 vs. 東京都知事、それぞれの思惑や判断が錯綜し、ついにXデイを迎えた首都東京はどうなるのか。』
ストーリーの面白さもさることながら、間違いなく訪れる首都直下型地震の予備知識を得るという意味でもお薦めです!


イントゥルーダー (文春文庫)

イントゥルーダー (文春文庫)

【評価】★★★★☆
本書は1999年に発刊された本なのですが、本書で描かれている新潟県・日の出町原発の耐震設計に関するお話は、記憶にも新しい柏崎刈羽原発の事故とうり二つであることに驚きました!もっとも本書では地震は起こらないので事故には至りませんし、「M8」のようなクライシスノベルではなくあくまでサスペンスではありますが、一級品であることには間違いありません!


ミッドナイトイーグル (文春文庫)

ミッドナイトイーグル (文春文庫)

【評価】★★★★★
私が高嶋哲夫さんの本を読み始めたきっかけとなったのが本書です。今日紹介した3冊の中では最も新しい作品であり、今年のお正月映画として公開されたのでご記憶の方も多いかと思います。
北アルプス山中に火球が落下。それを目撃した報道カメラマン・西崎勇次はその正体を探るべく落下地点に向かうが、その正体は米空軍のステルス爆撃機であり、その搭載物を巡って真冬の北アルプスで男たちの闘いが繰り広げられる』というお話。
真保裕一さんの「ホワイトアウト」が好きな方にはお薦めです!私は映画を見ていないので、DVDの発売が待ち遠しい!


アイス・ステーション 上 (ランダムハウス講談社文庫)

アイス・ステーション 上 (ランダムハウス講談社文庫)

アイス・ステーション 下 (ランダムハウス講談社文庫)

アイス・ステーション 下 (ランダムハウス講談社文庫)

【評価】★★★★☆
アメリカの南極基地アイス・ステーションの地下の海中洞窟で宇宙船と思われる物体が発見されるが、調査隊は謎の生物に襲われてしまう。急遽救出に向かう米国海兵隊偵察部隊だが、フランス軍最強の戦闘部隊から奇襲をうける。南極基地を部隊に繰り広げられる激しい戦闘、そして海兵隊偵察部隊と古生物学者は謎を解明すべく深海へのダイビングを決行するが、果たして宇宙船の正体とは...。』
ありがちなお話ではありますが、退屈することなく一気に読めます。アクション・戦闘シーンはなかなかもの。映画化して欲しい作品ですね。


グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

【評価】★★★★★
もともとSF(特にハードSF)は大好きなジャンルなのですが、私の読書傾向には波があり、ここ数年はSFを読みたくなるサイクルからは外れています。そんなわけでここしばらくSFはほとんど読んでいないのですが、この作品は友人に強く勧められたので読んでみました。
『仮想リゾート<数値海岸>の一区である<夏の区界>。そこではゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年が経過し、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。だがそれは、謎の存在<蜘蛛>の襲来により突如として終焉のときを迎え、僅かに生き残ったAIたちの絶望に満ちた一夜の攻防戦が幕を開ける。』
仮想世界のリゾートという設定自体は、今となっては特に目新しいものではありませんが、その世界を表現するために用意されている仮想理論とディティール要素は秀逸だと思います。ただしこの作品の面白さはそこだけにあるわけではなく、仮想と現実(AIと人間)との間の関係性、仮想現実というメディアを通して露わになる人間性の本質を描く美しくも残酷な描写にこそあるのでしょう。
「グラン・ヴァカンス」は「廃園の天使シリーズ」の第1作にあたり、第2作である「ラギッドガール」は「グラン・ヴァカンス」で描かれている<数値海岸>と<夏の区界>の成り立ちや登場人物に纏わる中短編集となっており、第1作の続編と言うよりは第1作を補完する作品となっています。「グラン・ヴァカンス」の世界観やテーマがさらに深く鋭く描かれており、作品としての切れ味はある意味で「グラン・ヴァカンス」を上回っていると思います。ぜひともセットでお読み下さい。


マリア様がみてる 30 キラキラまわる (コバルト文庫)

マリア様がみてる 30 キラキラまわる (コバルト文庫)

【評価】★★★★☆
ああっ、志摩子さんにこんな秘密があったなんて...。思い返せば伏線はいくつか提示されていたのに。その事実もさることながら、読み取れなかった自分の不甲斐なさにショックです!
祥子さまの運転は、予想通りというべきか、聖さまとは正反対でした。
そして本書最大の萌えポイントは、182〜184頁で交わされる、祐巳さんと瞳子ちゃん(そして可南子ちゃん)の短いスールトークでしょう!瞳子ちゃんのツンデレ炸裂です!この場面だけでもいいからアニメにして欲しい!