memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

ステイ

ニューヨークの精神科医サムは、新たな患者として青年ヘンリーを診ることになった。つかみどころの無いこの青年は、「3日後の21歳の誕生日に自殺する」と予告し行方をくらましてしまった。失踪する直前に、サムが忍び持っていた結婚指輪にヘンリーが異様に興味を抱いていたことがどこか気になる・・・。それはサムが自殺未遂を起こした恋人ライラに渡せぬままになっているものだった。ヘンリーを救おうと彼を追うに従って、やがてサムの現実が奇妙に歪み始める・・・。〜DVDストーリー紹介より


◆評価:なんとも不可思議な感覚の、ある意味美しい映画。ストーリー展開も、映像も...。謎解きが好きな方、不思議なお話が好きな方、「死」というものに興味がある方にお薦めします。


観ているうちにだんだんと辻褄が合わないシーンが出てきて「一体全体どういう設定なんだ?」と考えさせられます。雹が降ることを予言する青年、突然繰り返される場面、螺旋のモチーフ、既に亡くなっている人物との出会い、繰り返し登場する見知らぬ人物たち、そして盲目の老人の光を取り戻す不思議な力...。
双子の若い女性が何度か出てくるので最初は「パラレルワールド」ものかとも思ったのですが、それでは全ての説明がつきません。「生まれ変わり」では時代的・時間的な説明が難しい...。それに「ステイ」というタイトルの意味もよくわかりません。いろいろと考えながら最後のシーンを迎えたわけですが、そこで漸く腑に落ちます。「なるほど、そういうことですか...」
観る前にネタバレしてしまうと全く面白くないと思うのでここでは触れませんが、映画としては「サイコスリラー」というよりも「サスペンスタッチの、不可思議でちょっと心をうつストーリー展開の映画」という感じです。ストーリーはもちろん違うのですが、ケビン・コスナー主演の「コーリング」を見終わった後に受けた感じにちょっと近いかも。映像的には少しデイヴィッド・リンチ的なところもあります。クライマックスでユアン・マクレガーがブルックリン橋に着いたあたりの映像的演出は凄く幻想的で綺麗ですね。その演出の意図、そしてシーンの切り替えで多用される映像効果の意図なども、この映画の設定を理解すると全て納得がいきます。ちなみに特典映像を見るとこの映画の設定・企図がより理解できます。私はそれを見て得心がいきました。
万人受けする映画だとは思いませんが、なかなか印象深い映画ではありました。こういう映画、私は好きです。


コーリング [DVD]

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