- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/06
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暖かい春の日差しのなか出掛けた桑原崇と奈々、沙織の棚旗姉妹のお花見は、いつしか日本三大怨霊として畏怖され続ける平将門の名所行脚へと一転。『神田明神』『将門首塚』からはじまり、茨城県そして成田山までを巡りながら、崇によって少しずつ解き明かされていく歴史の謎。『繋馬』の家紋が示唆する驚愕の真実とは。〜「BOOK」データベースより〜
「百人一首の呪」で始まった高田さんのQEDシリーズも12作目を数えます。今回は平将門に纏わる謎でしたが、特に事件は起こらず歴史ミステリーだけです。ただ「QED〜ventus〜熊野の残照」で登場した神山禮子が再び登場し彼女がつとめている病院を揺るがす大事件に(次回作以降で)巻き込まれていくこと、また「熊野の残照」と同じ和歌山を舞台とした「神器封殺」で登場した「毒草師」と称す御名形史紋が今後も登場しそうなこと(注:今回は登場していません)を考えると、今回の作品はそれら大きな話の中の一部だと思われます。また「QED〜ventus〜鎌倉の闇」を含めた“ventus(注:ラテン語で「風」)”シリーズの第3作という位置づけ(?)でもあるようです。
このような背景はあるものの、一つの作品としてみると小振りな作品ですね。以前ほどのパワフルさは無くなってきているように思います。だからこそ大きなテーマを背景に小テーマを小出しにしてきているのかもしれませんが、歴史という名の常識に新たな見方を提供してくれるQEDシリーズは、私にとって楽しみな作品であり、できるだけ長く続いてもらいたいものです。
個人的に「神社・寺社」に関わる謎を扱った小説にはすごく興味があります。
ちなみに西風隆介さんの「神の系譜」シリーズにも越谷市の「浄山寺」というお寺が出てきます。うろ覚えですが、このお寺は徳川家の「葵の紋」と天皇家の「菊の紋」の2つがついている珍しい(らしい)お寺で、吹上御所の真北に位置していることから「真の日光の役割(=かつては江戸、明治以降は天皇家を守護する役割)」を担っていたのではないかという仮説が展開されていたりします。(注:家康は江戸の真北=日光に座して江戸を守護している〜天子南面す〜という説がありますが、実は日光は江戸の真北ではなくやや西側にズレた位置にあります。)
「神の系譜」シリーズはここ数年新作が出てこないのですが、QEDシリーズ同様に楽しみにしている作品です。
- 作者: 西風隆介
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2000/04
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