λに歯がない（森博嗣）

λに歯がない (講談社ノベルス)

密室状態の研究所で発見された身元不明の4人の銃殺体。それぞれのポケットには「λに歯がない」と記されたカード。そして死体には…歯がなかった。4人の被害者の関係、「φ」からはじまる一連の事件との関連、犯人の脱出経路―すべて不明。事件を推理する西之園萌絵は、自ら封印していた過去と対峙することになる。ますます快調Gシリーズ第5弾。〜「BOOK」データベースより

う〜ん、どうなんでしょう。S&Mシリーズは総じておもしろかったのですが、このGシリーズはどうも肩すかしを食らわされている感じです。確かにミステリー仕立てにはなっているのですが、それは単なる環境設定に過ぎなくなっちゃってますね。
まあ、個人的には謎解きよりも犀川創平（＆海月及介）、西之園萌絵、真賀田四季が放つゾクゾクするような鋭利な会話（だけ）を楽しみにしているので最早謎解きはどうでも良いのですが、今回は（も）その「会話」がやや物足りなかったと言えます....「λに歯がない」改め「λに歯ごたえがない」

ただ、萌絵の心理面について取り上げられていること、犀川と萌絵との関係において若干の変化(進展？）が見られたことが収穫ではあったので、まあ良しとしましょう。

森さんの本は「迷宮百年の睡魔」と「少し変わった子あります」の2冊が積ん読状態にあって一体いつ読み始めるのかと自分でも困ってしまうのですが、森さんにおかれましては、できることなら少しGシリーズに集中していただいて、「すべてがFになる」くらいの密度の濃い作品を書いていただきたいものです。（ファンになった弱みで読み続けはしますけど...）

ところで、このシリーズってたしかQシリーズだったと思うのですが、いつのまにかGシリーズと呼ばれているのですね。ちょっとビックリ。途中で方針を変えるのは、何か森さんらしくないような...。境界条件が変わったのでしょうか？