memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

CARY CAD-300-SEI ④:試聴を終えて...

午前中、雨が上がっていたのでセッティングをもとの状態、すなわちコンセントラ2へと戻しました。クロネコヤマトが引き取りに来る夕方までCaryを聴いていてもよかったのですが、午後から雨になるとセッティング変更ができないので、とっとと元に戻すことにしたわけです。と書きながら外を見ると、既に雨が降り出していました。う〜ん、よい決断でした。
「雨と何の関係があるんだ」と思われる方も多いと思いますが、実はオーディオラックの裏にドアがあってベランダからアクセスできるようにしてあるのです。これだとケーブル変更等が非常にやりやすくて便利なのですが、雨が降っていると機器が濡れてしまうのでセッティングを変更できないのでした。(^^ゞ
さて本題ですが、Caryには驚かされると同時にいろいろと勉強させてもらいました。こんなにも透明感があって、ニュアンスが豊かで、Vividな音というのは初めて聴きました。そして何よりもその「音の美しさ」。「ピュアでありながら温かい」という独特の美しさです。
また聴く前は「しっとり艶々」な音かと想像していたのですが、そうではないですね。勿論、艶はあるのですが「濡れたような艶」ではなく「磨き込んだアンティークの家具の艶」という感じでしょうか。「落ち着いた深みのある艶」とでも言えばいいかな。
それから試聴感想では触れませんでしたが、15Wという小さな出力ながら低音は力強く、オーケストラにも十分に対応します。もともとあまり大きな音では鳴らさない(鳴らせない)我が家では十分なパワーでした。低域の駆動力はコンセントラ2よりも強いような気がします。また残留ノイズも全く気になりませんでした。さすがに今時の真空管アンプは優れています。ただ、例えばオーケストラの演奏が始まる前の緊張感のある静けさ(ノイズフロアが低くないと表現できない)というような表現はコンセントラ2の方が優れていると思います。
というわけで、ヴァイオリン、チェロ、ギター等の弦楽器、ピアノ、そしてボーカルについてはこれまで聴いた中で最高の「音」だったと断言できます。そう、一つ一つの「音」は最高なのです。でもね...


2日目の試聴途中で気がついたのですが、どのCDを聴いても同じような印象を抱いてしまう部分があるのです。それは「音の熱さ」とでも言ったらよいのでしょうか、coolであるはずの、いやcoolに聞こえて欲しい部分まである種の温度感をもって表現してしまうのです。
昨日の試聴アルバムとして紹介したKeith Jarrett/Standards Liveの1曲目はECMのアルバム独特のcoolな空気感の中に熱い演奏が展開されるといった表現をして欲しいのですが、そのcoolさがwarmな感じになってしまうのです。Jacinthaのアルバムには当にベストマッチなのですがDiana Krallには微妙な違和感を感じてしまう。ヴォーカル表現自体は素晴らしいのですが、その場の雰囲気の表現が少し熱すぎるのです。(余談ですが、アンプ自体も熱すぎます。聴いているうちに室温がどんどん上がってきたのでさすがにエアコンを入れてしまいました。)
もう一つ、これは「音の熱さ」とも関連があるのですが、私の好みからすると「音が少し濃すぎる」ようです。ぶっ続けで何枚も聴いたという状況も影響していると思いますが、ちょっと聴き疲れしてしまいました。
話がぶっ飛んでしまって恐縮ですが、私は「天下一品」のこってりラーメンが大好きです。最近食べていないので食べたくてしょうがないのですが、やみつきになるくらい独特のこってり味です。でもいくら好きだからといって毎日は食べられない、いや食べたいと思わないわけです。このCaryの音はそんな「天下一品」のラーメンに通じるものがあるわけで、たまに聴くには最高なのですが、毎日聴くためのアンプとしてはちょっとつらいかなと...。
※今回、ACケーブルおよびインタコにCardasゴールデンリファレンスを使用したことが影響を与えている可能性は否定できません。本当は別のケーブルも試したかったのですが、アンバランスのインタコはこれしかなく、また他のACケーブルが1mしかないためCaryまで届かず、試すことができませんでした。この点はちょっと残念でした。


というわけで、午前中にセッティングし直したコンセントラ2を2日ぶりに聴きながらこの感想を書いているのですが、このコンセントラ2くらいの味付けが私には合っているのだなとつくづく思います。まあ、慣れもあるとは思いますが、毎日聴くアンプには、coolさも、warmさも、hotさも表現し分けてくれる幅の広さは必要ですね。そのことに気がつかせてくれたという点もCaryに感謝したいと思います。
もちろんコンセントラ2がベストなアンプだとは思っていないので、たぶん2年以内にアンプの買い替え、あるいはコンセントラ2をプリとして使用しパワーアンプを追加する予定でいます。(Sさん、お力添えの程よろしくお願いします。)できることならセパレートではなくプリメインである方が望ましいのですが(その意味でCaryには期待していたのですが)選択肢が狭いのでセパレートになってしまうかもしれません。いずれにせよ今後アンプ選びをする際、今回Caryが聴かせてくれたヴァイオリン、ピアノ、ヴォーカルの「音」は私にとって重要な基準になるでしょう。


そうそう、アンプ選びについてもう一つの選択肢を思いついたことを書き忘れていました。それはですね...


コンセントラ2を使い続けつつ2台目のアンプとしてCaryを手に入れること!

(^_^)

※Sさん。試聴の機会を与えていただき、どうもありがとうございました。(m_m)