memento

audio&visual, headphone&earphone, bicycle, music, animation, book, wine...趣味領域の外部記憶装置です。 <since 10 aug 2006>

オーディオに対するスタンスについて

これから何回かに分けて、現在のシステムを構成している機器についての想いとか、音の感想とか、あるいは役に立つかもしれない情報とかを書きとめていきたいと思いますが、まず最初にオーディオに対する私自身のスタンスを書いておこうと思います。
「自分にとってのオーディオって何だろう」とあらためて考えてみたのですが、次の4つの役割・機能を複合的に持った領域のように思えます。
 1)心地よい「音」を楽しむための装置
 2)心地よい視覚空間を演出してくれる家具
 3)知的好奇心を満たしてくれる領域の一つ
 4)自分自身を表現する手段の一つ
まずは説明しやすい2)ですが、これは文字通りの意味です。私は基本的に「美しいもの」が好きです。だからオーディオに関してもデザイン要素は重視します。以前はそうでもなかったのですが最近はこの傾向が強くなってきており、現時点では「いくら音が良くてもデザインが気に入らなければ選ばない」と言い切れます。「音」の出ていない状態のオーディオ装置は私にとって重要な家具(インテリア)なのです。だからといってさすがにデザインだけでは選びませんが...。「音」と「デザイン」のウェイトは1:1でしょうか。いや、もう少し「音」のウェイトの方が高いかな。無論、どちらの要素をも満たすものがベストなわけで、ガルネリ・メメントはそう言う意味においてまさに現時点でベストなスピーカーと言えます。
次は4)にしましょう。音楽を好きな人はたくさんいますがオーディオを好きな人は非常に少ないですね。今の日本におけるオーディオというカテゴリーのポジションは、自分自身がそう在りたいと思っているポジションあるいはアイデンティティに近い存在と言えます。「マイナーなんだけど足を踏みいれた人に何かしらの感動を与えられる存在」。そういう領域に関わっている自分をアピールすることで、自分自身がそうでありたいということを表現したい、そんな感じでしょうか。(残念ながら足を踏み入れてくる人は少ないですが…)さらに言うならば、使用している機器も自己表現の手段です。書きながら思いましたが、「デザイン」にこだわる理由も「家具」としての機能以外に「オーディオに詳しくない人に対してもアピールしやすい」という意識が働いている結果のような気がしてきました。
残るは1)と3)ですが、これは密接に関係しているので一緒に説明したいと思いますが、その前に「音」と「音楽」について触れておく必要があります。私は会社でiPodで「音楽」を聴きながら仕事をすることがあるのですが、その場合は「音」ではなく「音楽」を聴いています。ちなみにクルマの中で聴く場合も「音楽」を楽しんでいます。しかしながら自宅のシステムで聴くときは、正直なところ、「音楽」を聴いているのか「音」を聴いているのかよくわかりません。どうもiPodで聴いているときとスタンスが違うように思えてならないのです。同じCDを聴く場合でも何か別の行為をしているような気がします。
このことを前提として話を進めますが、1)の「心地よい音に包まれるための装置」という意味は当に文字通りの意味で「音楽」ではなく「音」を聴くための装置という意味です。私は弦楽器、特にヴァイオリンが好きなのですが、ヴァイオリンの演奏というよりもヴァイオリンの「音」を聴いているような気がします。そして美しいヴァイオリンの音色に包まれていると本当に気持ちが良くなります。そんな時は大抵寝てしまいます。もちろん素晴らしい演奏があるからこそ、そして素晴らしい楽曲だからこそ、美しいヴァイオリンの音色が楽しめるのだと思いますので全く「音楽」とは関係ないと言うつもりはありません。ど素人が弾くストラディバリの音色を楽しめるわけがないですよね。そう言う意味では、私は「音楽」というインフラの上に「音」という存在を位置づけているのでしょう。それ故、自宅のシステムで聴く行為とiPodで聴く行為が違ったものに思えるのかと。
※インフラが「音」でその上に「音楽」があるんじゃないの、と言われる方もいらっしゃると思います。その方にとって「(良い)音」とは「音楽」をより深く楽しむための手段だと思うのです。私の場合は「(良い)音」を楽しむためのメディアが「音楽」ということなのでしょう。少なくとも自宅のシステムを聴く場合には…。

そして、その「音」が自分のイメージする「音」に聴こえなかった時、非常にフラストレーションがたまり、何とかしなければと思う訳です。セッティングをいじったり、ケーブルやインシュレーターの組み合わせを替えたり、あるいは新しいアクセサリーを購入したり、それでもだめなら機器自体を購入したり…。これらの行為のモチベーションの半分は不満の解消ですが、もう半分は知的好奇心です。オーディオをやられている方ならきっとわかると思うのですが、今まで聴こえなかった音が聴こえた時の感動、あるいは何度となく聴いた同じCDが別のCDのように聴こえた時の驚き。ちょっとしたセッティング変更やケーブルを替えただけで音が変わってしまう不思議。これらのことを「おもしろい」と思う気持ちというのは間違いなく知的好奇心だと思うのです。そして好奇心にはゴールというものがありません。少なくともその好奇心が続いている限りは。
以上のような4つの役割・機能を複合的に持った存在が私にとってのオーディオです。そしてこれら4つの側面から少しずつ「より心地よいもの」を目指した結果が今のシステムという訳です。当然このシステムが終着点だとは思っていません。これからも「より心地よいもの」を目指して私は取り組んで行くのだろうと思います。
オーディオに対するスタンスは人それぞれです。これからこのブログで書いていくことは(言わずもがなのことではありますが)私のスタンスにおける感想であり意見です。特に機器の選び方に関しては、先に書いたように必ずしも「音」優先で選んでいないのであまり参考にはならないかもしれません。しかも私は他の方のシステムを聴くという経験が非常に乏しいですし、オーディオショップでいろいろと試聴するということも(ほとんど)しないので、非常に限られた経験や知識しか持ち合わせません。そう言う意味では、私の意見なぞただの偏見の固まりのような気もします。とは言うものの、そもそもブログとはそういうものだし、もしかしたらどなたかの参考になるかもしれないので、拙い日本語を駆使してなんとか書いていきたいと思います。